議会質問・ニュース

【データ】 原稿 2021年6月議会 菅原おさむ個人質問(210617)
[ 06月18日 ]

【印刷用PDF】質問原稿(印刷用) 菅原おさむ210617

6月17日に菅原おさむ議員が行った個人質問の最初の質問の原稿です。


1 プラごみ等による海ごみ問題について

プラスチックごみを中心とした海ごみが世界中で大問題になっています。近年、世界のプラスチック生産量は年間4億トンを超え、年間800万トン以上が海に流出していると推計され、2050年にはプラごみが海の魚と同量になると言われています。

様々な問題が明らかになっているプラごみ等による海ごみ問題を解決しようと様々な取組が行われています。

岡山県内では、海ごみの実態や状況について民間団体による調査、海ごみの回収について海岸や河川などでボランティアや行政などによる回収、日生漁協などによる海底ごみの回収、内海や港湾での行政による回収などが行われています。

発生源対策としては、企業の自主的な規制、代替品の使用などとともに、国によるレジ袋の有料化もおこなわれています。これらは海ごみ問題の解決にとって重要な活動です。

国会では、プラスチック資源循環促進法と、瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)の改正が成立しました。瀬戸内法は1973年、水質保全を柱とした臨時措置法として施行されました。2015年の改正で、栄養塩をコントロールし「豊かな海」をつくることと、プラスチックなどの海ごみ対策について追加されましたが、今回の改正では、栄養塩管理についてより具体化しただけでなく、プラごみについて国と自治体が連携して除去や抑制対策に取り組むことを「責務」と位置付けたのも特徴です。

岡山市も、プラごみ削減に向けた検討を始めています。

私は、これらの流れを受け、市には、焼却中心のプラごみ処理を資源循環へ転換することや、海ごみ問題を大本から解決するための科学的な戦略を立て、それを着実に推進することが、これまで以上に求められていると考えています。その立場から以下、質問します。

(1)海ごみの削減という点では、現状を明らかにし、戦略を持って対策を進めていくことが必要です。①海ごみとともに、海に流れ出す前の河川ごみも含め、その実態や状況を明らかにすること、②海ごみ・河川ごみの原因や発生源を明らかにすること、③できるだけ早い段階で回収・処理し、海ごみにしないことの3点に即して、岡山市の海ごみ削減のこれまでの取組を具体的にお示しください。内海や港湾のごみ回収を市として行っているかどうかもご説明ください。

(2)地域では、用水にプラごみ等がたまり、生活環境が悪化することを恐れた周辺住民の方がやむなく回収している事例があります。個人の責任によらない用水のプラごみ等の除去について、市としてどんなことを行いますか。

(3)民間では様々なとりくみが行われています。市の役割と責任、市民や事業者の役割、ボランティアグループの役割と市の支援策について、市としての考えをお示しください。

(4)陸域で発生したごみや河川内のごみの対策も重要です。現在、回収された河川ごみ、海ごみを処理する責任は、市町村が担っています。一方、道路、用水路、河川の管理主体は、国、県、市町村と様々です。以前から提案していますが、早い段階でごみを回収するために、県や国とも総合的に連携する仕組みづくりを、市の方から働きかけてはいかがでしょうか。

(5)海ごみ、特にプラごみの発生源対策として、①使い捨てプラスチックなどを大幅に削減・禁止すること、②プラスチックなどの製造、流通、販売、消費、廃棄の全体を通しての対策が重要です。これには、製造事業者、流通事業者、小売店、市民・消費者、そして自治体、すべてが連携し協力し合うことが重要で、これら関係者同士の橋渡しができるのは自治体だと思います。
すでに、もっとも身近でプラスチックの中でも極めて大きな割合を占め、適切に回収できればほぼ完全にリサイクルできるペットボトルについて、事業者と連携して資源循環スキームを構築している自治体も生まれています。岡山市としても実現する必要があると思います。現在の検討状況も含め考えをお示しください。

(6)いくら安価で便利なものであっても、環境に有害な製品は作らせない、過剰包装をなくす、そのような製品は買わない、などといった取組がすすむよう、市として関係機関に強く働きかけるとともに、市民や事業者への啓発も重要だと考えますが、いかがでしょうか。

(7)プラスチック資源循環促進法を受けて、これまでの市の「熱回収」と称するプラごみを含む焼却中心のごみ処理から、資源化する方向へ向かっていくことが必要と考えますが、この点についての検討状況はどうなっていますか。模索している方法等があれば、合わせてお示しください。

 

2 学校給食の公会計化について

岡山市教育委員会は、教職員が本来の専門性を活かし、子ども一人一人と向き合う時間等を確保するため、学校単位で行っている給食会計を会計化するとして、今年度予算に電算機業務委託料2550万円を計上しました。

文部科学省は、学校給食の公会計化について、2019年に「学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について」という局長通知を出しています。

また、教員の業務負担軽減等の観点から、学校給食費を地方公共団体の会計に組み入れる「公会計制度」の導入と、徴収・管理を学校ではなく地方公共団体が自らの業務として行うことを「一層推進いただくようお願い」しています。

市教育委員会が制度開始を目指している2023年4月まで、あと2年もありません。口座振替の手続きなど、開始前に一定の準備や周知の期間が必要とも考えますが、制度の全容もおおもとの考え方もまだよく見えません。

教職員の負担軽減は必要なことで、私達も一貫して求めてきたところです。一方で、先行自治体の中には、給食費の滞納者に対する取り立ての法的根拠を確立するための導入としているところもあると聞いています。

岡山市において公会計化の導入を進めるに当たっては、学校現場の事務的負担軽減の観点とともに、取り立て前提の機械的な対応としてはならないことや、憲法と学校給食法の理念に基づいて、食育の一層の充実、さらには給食費の負担軽減や無償化の観点も盛り込むべきとの立場で質問いたします。

(1)公会計化の概要について

ア 岡山市教育委員会が考える学校給食の公会計化の目的と期待する効果は何ですか。

イ 現状の学校現場での給食会計業務に関する負担は、どの職員にどういう負担がどの程度掛かっているかご説明ください。

ウ 児童生徒と保護者にとっては、何がどう変わるのか、ご説明ください。

エ 行政として、新たにどういう費用や事務が発生するのか、ご説明ください。

オ 滞納は「福祉的支援が必要かもしれないサイン」ととらえるべきであり、安易に「法的対応」すべきではないと考えますが、ご所見をお示しください。

カ 新たな制度について、どんな段階で、どういう説明を行うことを考えていますか。保護者と学校それぞれに分けてご説明ください。

キ 公会計化の制度構築にあたって、制度案を固める前に、広く市民や保護者の意見を聞く考えはありますか。

(2)学校給食における「食育」の考え方と実践にあたって

岡山市立の小中学校では、長年にわたって栄養職員や調理職員や学校関係者、地域の生産者の方々が努力してこられました。

地域の生産者の方から食材を調達してその学校オリジナルの給食を作る「自由献立」や「バイキング給食」などのお楽しみ給食や、地域の方を招いて一緒に食べる「招待給食」、畑に出かけて行って農業体験をするなどということを聞いてきました。

「地産地消」というとき、市教育委員会は岡山県内を想定しているとのことですが、より身近で日常的に直接的に交流できる学区内や地域を想定することも大切です。

今年度から5年間の国の「第4次食育推進基本計画」では、一番目に「食育推進」が位置付けられ、「農林漁業体験の推進、生産者等や消費者との交流促進、地産地消の推進等、食の循環を担う多様な主体のつながりを広げ深める食育を推進する」などとあります。

一方、食育の取組において学校側の要となる栄養職員は、非正規化がどんどん進んでいます。2012年度には90.5%だった正規率が、2021年度には53.8%まで落ち込んでいます。

経験の蓄積や地域の方とのつながりの継続性などが難しく、学校独自の取組が減っているとも聞いています。

これらを踏まえ質問いたします。

ア 各学校における「お楽しみ給食」などの「自由献立」の取組は、どう変化していますか。10年前と現在の取組学校数をお示しください。

イ 学区内や地域で食材の一部を調達している学校の数を、10年前と現在の比較でお示しください。合わせて、公会計化後でもこうった食材調達は可能かどうか、お考えをお聞かせください。

ウ 食材の調達に関して、公会計化によってどういう変化が起きるか、岡山市教委の想定や先行市の状況があれば、お示しください。

エ 「地産地消」を「県内産」よりきめ細かい範囲で取り組みませんか。

(3)学校給食の負担軽減・無償化をめざして

岡山市では、学校給食費の保護者負担の中に、燃料費を含めています。このことなどによって、現在は、年間で最大1万円近い給食費の差があるとお聞きしています。

国は、「学校給食の実施に関する事務処理および指導の指針について」で、光熱水費については学校の設置者が負担することが望ましいと示しており、全国的には、保護者からは食材分だけを徴収している自治体があります。

また、子育て支援や若い世代の移住定住促進などを目的に、学校給食費の減免を行っている自治体もあります。相生市は「若年層流出を食い止めた」などと報道され、県内でも備前市が第2子半額、第3子からは無料などの動きもあります。

これらを踏まえ質問いたします。

ア 燃料費を市負担とするよう改めませんか。

イ 公会計化を進めていく際には、学校給食の負担軽減や無償化についても合わせて検討すべきと考えますが、ご所見をお示しください。