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地方自治法改正案が衆議院で5月30日に賛成多数で可決されました。これから参議院での審議が始まります。
今回の法改正は、大規模な災害や感染症の流行などの際に、国が自治体に対応を指示できるようにすることが主な内容とされています。
このことについて、今朝の新聞各紙が社説で言及しています。
「地方自治法 社説」で検索してヒットした複数の記事から、それぞれの新聞名、社説のタイトル、社説の最終段落の一節を抜き出してみました(順不同)。
ざっと一読したところ、今回の地方自治法改正案を肯定的に評価しているものは1つもありません。
各社説は、
・指示権を行使する状況について国が具体的に示そうとしておらず、政権の恣意的な指示権行使につながりかねない
・地方分権の流れに逆行する
・国と地方は対等とされている憲法の大原則を崩すものとなる
などの問題点を指摘し、立法事実がなく法改正すべきでない、少なくとも今国会での成立は見送るべき、参院は徹底審議を、などと主張しています。
「地方自治」というと固い話題、遠い話題と思われがちですが、この法改正が実現したらその前後で地方自治のあり方は大きく変わります。
ぜひ、この問題に関心をお寄せください。あなたのご意見もお聞かせください。
【毎日新聞】「国の指示権」拡大法案 疑問置き去りの衆院通過
https://mainichi.jp/articles/20240531/ddm/005/070/120000c
危うさをはらむにもかかわらず、法案は審議入りから20日余りで衆院を通過した。ことは国と地方の基本原則に関わる。参院は審議を徹底することで、立法府としての責任を果たすべきだ。
【琉球新報】地自法指示権拡大 自治介入の懸念拭えない
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-3141669.html
自治・分権に逆行するような地方自治法改正を受け入れるわけにはいかない。
【中國新聞】国の指示権拡大、衆院通過 参院で問題点洗い出せ
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/472928
改正案は衆院を通過したが「再考の府」の参院で問題点を洗い出し、なぜ改正が必要か、政府の本当の狙いは何なのか、徹底的な議論で明らかにする必要がある。少なくとも指示権の乱用を防ぐ手だてが保障されない限り、今国会での成立は見送るべきだ。
【東京新聞】国の指示権拡大 地方自治を後退させる
https://www.tokyo-np.co.jp/article/319416
無論、非常事態時に「調整役」が必要になるのは確かだ。国に限らず、知事会や広域連合なども想定され得るが、あえて指示権を持ち出す必要はあるまい。東日本大震災や能登半島地震でも、そうした調整が奏功し、多くの自治体から支援の手が差し伸べられたことを思い起こしたい。改正案は地方現場の気概や意欲を奪って、自治体を「指示待ち」体質にしかねない。地方自治の理想への歩みが水泡に帰すことを危惧する。
【山陽新聞】国の指示権拡大 改正の必要性が見えない
https://www.sanyonews.jp/article/1560519
必要性が見いだせない改正と引き換えに、長年かかって積み上げてきた地方分権改革の成果がないがしろになりかねないのは、看過できない。
【京都新聞】自治体への指示 国の権限拡大は撤回を
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1263230
国と地方が「主従」に後戻りしかねないという危機感を持ち、自治体はもっと声を上げるべきだ。
【愛媛新聞】自治法改正案 国と地方の対等な関係ゆがめる
https://www.ehime-np.co.jp/article/news202405310008
(有料記事)
【朝日新聞】自治法改正案 疑問は残ったままだ(5月29日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S15945528.html
地方制度調査会の答申が首相に手渡されて約5カ月。地方の声を十分くみ取って審議が進んできたとはいえない。地域の問題は地域で考えることが基本だ。地方自治の理念を後退させてはならない。
【朝日新聞】国の指示権 何のための「特例」か(4月20日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S15916130.html
緊迫化する安全保障環境を理由に、政府は地方の自己決定権を奪うような政策を現に進めてきた。米軍普天間飛行場の移設問題で、沖縄県の民意を押し切って着工したのは最たる例だ。憲法に有事の際の緊急事態条項を設けようという政権の動きの先取りだとする批判も強い。もしそうした本音が背景にあるなら、成立させるわけにはいかない。