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2018年11月議会で12/7に田中のぞみ議員が行った個人質問の、事前提出した原稿(全文)です。
7月豪雨災害に関して、市当局の課題抽出・検討委員会による「骨子(素案)」が示されました。様々な課題が網羅され、改善の見通しも示されていました。その中で今回は、「避難所の開設・運営」について、質問します。
今回の豪雨災害を経て、避難指示(緊急)が発令された地域では、災害種別に適合する「指定避難所」の全てが開設されるべきだと考えます。北区では、特に小学校の場合で34校のうちわずか6カ所しか開設されませんでした。その地域の全市民に「速やかに避難すること」を「指示」するわけですから、到底足りていません。『岡山市避難所運営マニュアル』では、担当の市の職員や施設管理者の被災も想定し、地域住民にもカギを保管できるよう、一定のルールを定める、とあります。
しかし先の9月議会では「地域住民に指定避難所の開設をお願いする場合は、カギの管理責任や施設管理の面で課題がある」との答弁で、あくまでも市職員が開設する方向性を示し、また、小学校でなく中学校を多く開設した理由を、「収容人数が多いから」と答弁されました。さらに、今回の骨子案では「避難所の開設に時間がかかる」という課題は挙げられていますが、開設しない指定避難所があった課題については触れられていません。
(1)9月議会では同様の指摘がいくつかありました。市の職員が開設する事にこだわるから、大は小を兼ねる発想で開かない指定避難所ができたと考えます。今後の防災体制の大きな課題ではないですか。なぜ検討課題とされていないのですか。
(2)避難所運営マニュアルにあるとおり、大災害では同時多発的に市職員も被災します。指定避難所の開設は、地元でできるようにしておくべきです。「カギの管理責任や施設管理の面で課題がある」との答弁ですが、既に小中学校の体育館のカギは地元住民二人にお渡しする運用ではないですか。どんな課題があるのかお示し下さい。
(3)指定避難所ごとにカギ保有者は限定し、開設ルールをあらかじめ協議しておく、開設した場合に災害対策本部に連絡する、運営は基本的に住民で行うなど、ルールを決めることで、公民館など他の「指定避難所」にも応用できます。カギ保有に関しては、個人ではなく消防団機庫でもいいのではないか、という意見もあります。具体的な検討状況をお示し下さい。
全国でも先進的と評価された「岡山市男女共同参画社会の形成の促進に関する条例」(以下、さんかく条例)の改定にあたり、その内容を9月議会で「性の多様性を尊重する視点と女性活躍推進の具体的な取り組みを盛り込む」と答弁されています。
しかし、具体的に改定の中身を見ると、文中の「男女」の表記をほぼ全て「性別等」に置き換える一方、第2条の(語句の定義)において「男女共同参画」の言葉はそのままに、定義を「性別、性自認、性的指向等に関わらず、すべての人が」と、性的マイノリティへの施策も含むと変更しています。
これは非常に市民に分かりにくく、隣の市町村や国の「男女共同参画」の定義と、同じ言葉なのに指す意味が違うわけです。文字面からも男女間の格差や差別の解消としか読めません。
そもそも、女性が抱える非正規雇用率の高さや、賃金格差、政治家・管理職割合の低さ、M字カーブ、家事分担の固定観念や特に女性に多いDVなど、女性が抱える社会的な課題の解決はまだまだ遠く、このようなジェンダーギャップ指数後進国である事を打開しようとする「男女共同参画」と、性的マイノリティの方々の抱える生きづらさの根底にある偏見や差別を解消しようとする課題は質が違い、これは市民の中にも漠然と根づいています。
2つの違う性質の課題を一緒にして市民に一定浸透している「男女共同参画」の定義を変えるべきではないと思います。国立市や世田谷区に似た定義がみられますが、こちらはむしろ性的マイノリティや多文化共生にフォーカスした条例を新たに策定した印象です。審議会委員等の男女の割合にまで言及してきた先進的な岡山市のさんかく条例には馴染まないし、混乱します。
第4条「市の責務」も第5条「市民の責務」も、「男女共同参画」を促進することのままです。「従来の性別の考え方を変える」と言われるけれど、表題は「男女」のままなわけです。例えば授業でも扱ったりする小中学生にこの条例の性格が率直に伝わるのか、疑問です。
他自治体も今回の改定には注目しています。政令市として、恥ずかしくない、市民に分かりやすい条例として頂きたいと思います。
(1)9月議会答弁の「性の多様性を尊重する視点」とは具体的にどこに反映されていますか。
(2)性的マイノリティの方が抱える課題は、改定案の示す「性自認や性的指向等を理由とする偏見や差別の解消」だけですか。
(3)(割愛)
(4)そもそも、好きな人との結婚も許されない性的マイノリティの方々の生きづらさの解消は人権課題であり、男女共同参画とは別に条例制定を行うべきではないでしょうか。
(5)男女共同参画の条例で「従来の性別の考え方を変える」というなら、従来の「男女間格差や差別をなくす」事に加えて、「性には多様性がある」という事を新たに付加するところからでないと、小中学生には分かりません。タイトルから「男女共同参画と性の多様性尊重社会の形成の促進に関する条例」とするなど、市民に一定程度浸透している「男女共同参画」とは整理して、性的マイノリティの課題に真正面から向き合う条例と中身にしませんか。
(6)条例制定を次の2月議会とする理由は何ですか。当初は2年かけて来年度に改定すると発表していました。改定が来年度になる事に支障があれば、具体的にお示しください。
(割愛)
(1)平成29年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」が10月に示されました。中学校の暴力行為は連続して減少する一方で、いじめ、不登校は増加し、小学校では暴力行為、いじめ、不登校のいずれもが過去最多となったとのことです。子ども達にとって学校が安心できる場になっているのか、何が起きているのか深く分析して頂きたいと思います。
子どもを取り巻く環境は、SNSやゲーム社会の進展、子育ての孤立化、子どもの貧困問題など非常に多様化しており、学校に通う子ども達が潜在的に抱える課題は複雑化・複合化し、個人情報の壁によって見えにくくもなっています。一方で学校現場は、教職員の長時間労働が社会問題になっており「学校がブラック職場になっている」と指摘されています。その背景には、研修が増え、共通学力テストの導入や、教員免許更新制度、人事評価、学校評価など多くの施策が付加されてきたことがあります。日本共産党は11月9日に、「学校をよりよい教育の場に」として、教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を求める提言を発表しました。読んで頂けたでしょうか。
暴力行為、いじめ等問題行動や、不登校は子どもからのSOSのサインです。いかに早く気づき、学びの場を保障できるかは、今後の学校の大きな役割だと思います。
ア.教育委員会は、小学校の暴力行為の増加について、教師の指導のあり方や指導体制に課題があると分析されていました。どのように改善する方針でしょうか。
イ.教師の指導力は研修等で簡単に上がるものではありませんし、「指導」は「管理・統制」とはき違えられる事もあると危惧します。一人ひとりの子どもと真摯に向き合う力と時間こそが指導力の向上に直結すると思いますが、ご所見を。
ウ.警察との連携の中で、警察官が学校に常駐するような状況は、児童・生徒から見た教員への信頼を損なう場合があると思いますが、お考えをお聞かせ下さい。
エ.生活支援が必要な子どもが急増しています。今の学校現場には福祉の専門家こそ、常駐するべきです。こども相談主事に加え、スクールソーシャルワーカーの全校配置を求めます。
(2)不登校支援について、おたずねします。
教育機会確保法が施行されて1年半が経ちました。法の大きな特徴は「学校を休んでもよい」ということと「学校以外の場の重要性」を認めたことに加え、教育機会確保施策の実施と財政措置を義務づけたことです。昨年度末の岡山市の不登校児童・生徒は794人でしたが、「適応指導教室」の入室者数は1割の76人で、この利用率は横ばいです。
ア.不登校児童生徒のうちで、恒常的に不登校になっていると考えられるのは何人ですか。
イ.教育機会確保法で「休養の必要性」が示され、不登校は問題行動ではない、と明記されました。不登校が「不適応者」という前提の「適応指導教室」という表現は検討しませんか。不登校の「未然防止」という言葉も問題行動と連動するという意見があります。検討しませんか。
ウ.法の成立を受け、小学校の学習指導要領には「不登校児童については、(中略)登校という結果のみを目標にするのではなく、(中略)社会的に自立することを目指す必要がある。」と記述されました。学校復帰を至上命題としてきたこれまでの方針を転換し周知しなければならないと思いますが、法施行後、不登校支援の方向性について新たに明文化したこと、具体化したことはありますか。
エ.法の示す「学校以外の場」として、市内にはいくつかのフリースクールやフリースペースがあります。通ってくる中学生が急増しているそうですが出席扱いにはなりません。岡山市の出席扱いとなる条件をお示し下さい。また、現在の「適応指導教室」入室人数をそれぞれお知らせ下さい。
オ.あるフリースペースは一回500円の利用料金で、毎日の子ども達の居場所づくりを10年以上続けています。全ての子ども達が社会的自立を果たしていきました。子ども達は学校に行くのは苦しくても学習したい意欲はあります。文字が読めない障害があっても、タブレットや特殊教材なら分かる子もいます。なんとかその子にあう学習の機会を保障したい、と願っても安定的な人件費を確保するためには、利用料金を上げるしかありません。あるフリースクールは入会金別で1ヶ月5万円、別のフリースクールは約3万円です。生活保護世帯の子も多く、気軽には通えません。
総合教育会議を主催されている市長にお尋ねします。不登校の子ども達の学習機会の確保は喫緊の課題であり、自治体の義務です。岡山市として、どのような支援が必要なのか本格的に検討するべきではないでしょうか。