議会質問・ニュース

【討論原稿】 2021年11月議会 職員一時金引き下げ議案(東)
[ 11月30日 ]

【印刷用】 一時金引き下げ議案への反対討論(211130東)


11月30日に岡山市議会2021年11月定例会が始まりました。

この日、岡山市職員の一時金を0.15か月(再任用職員は0.1か月)引き下げる議案が出され、党市議団と羽場頼三郎議員が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

東つよし議員が党市議団を代表して、議案に反対する討論を行いました。

討論の全文をご紹介します。


日本共産党岡山市議団の東つよしです。私は、甲第212号議案「岡山市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について」について委員長報告に反対する討論を行います。

 

本議案は、市職員給与の引き下げをおこなおうというものです。今後の一時金について、正規職員は0.15ヵ月分、再任用職員は0.1ヵ月分引き下げる内容です。会計年度任用職員も連動して0.1ヵ月分下がることになります。

 

青森県のむつ市は、「本年度の市職員の期末手当について、…県人事委員会の勧告に従わず、据え置く決定をした」と報道されました。

むつ市長の宮下宗一郎氏は「新型コロナ対応とワクチン接種、大雨災害対応などで業務負担が大きい中、職員は卓越した働きをしてくれた。今はコロナ禍からの景気浮揚の局面で、消費マインドを下げる減額は考えられない」と説明したと報じられています。減額したのは市特別職と市議会議員の期末手当のみだということです。

他にも、職員の給与引き下げを行わなかった自治体として、埼玉県和光市や千葉県多古町を聞いております。

 

私もむつ市長とおなじ思いです。コロナ禍のもとで明らかになったことは、自治体職員が命を守る上で大きな役割を果たしているということでした。保健所職員をはじめ、コロナ禍のもと奮闘を重ねてきた市職員に対し、議会が給与引き下げで応えることには、賛成できかねます。特別職である市長、副市長等の給与と、議員報酬引き下げは反対ではありません。

 

岡山市人事委員会は勧告で「民間の支給割合と職員の支給月数との均衡を図るため」としています。ただ、民間の支給割合が下がったのはコロナによる経済の打撃が大きな原因です。政治が行うべきはコロナの支援の拡充や一人ひとりの賃上げの努力であり、市職員の給与引き下げではありません。コロナという異常事態のもと、どれだけがんばっても収入が減っては、全体の奉仕者として働く士気を下げかねません。引き上げこそすれ、引き下げはあってはならないと考えます。

 

11月12日、国の給与関係閣僚会議で、国家公務員制度担当大臣が「人事院勧告は、民間準拠に基づくものではありますが、その一方で…民間被用者の給与にも事実上影響を及ぼします」と述べました。公務員の給与引き下げが民間の賃下げ要因になりうるのです。官民の引き下げスパイラルを招いてしまえば、岸田総理の言う「成長と分配の好循環」など吹き飛んでしまいます。本議案で減らされる給与額の合計は、正規職員5億円、再任用職員は2000万円です。この分財布のひもがきつくなるのです。ここで引き下げは踏みとどまって、経済立て直しに一役買ってもらってはどうでしょうか。

 

コロナの感染拡大が繰り返された中で、深刻な影響を受けた地域経済を回復させること、民間ではたらく方々を含めて、労働者や市民の所得を引き上げることに、国も自治体も一層力を尽くすことこそ求められています。住民に寄り添い、必要な手立てを的確に打つ公務労働に、誇りと矜持をもち働き続けることができるよう、また、本市の未来を担う若者たちに、公務員という職務が、困難に直面しても、やりがいや魅力ある仕事と感じられるものとして選んでいただくためにも、民間準拠のみを根拠として給与を引き下げてはならないと考えます。

 

コロナの中で業務量もそれに付随した精神的負担も明らかに増している中で、限られた人員体制でも懸命に業務に精励している市職員の期末・勤勉手当を引き下げる理由はどこにもないことを指摘し、議員のみなさんの賛同をお願いしまして、本議案に反対する討論といたします。