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みなさんこんにちは。日本共産党岡山市議団の東つよしです。2つの議案について、委員長報告に反対する立場で討論します。よろしくお願いします。
甲第177号議案 令和4年度岡山市一般会計補正予算(第4号)中歳入第19款国庫支出金第2項国庫補助金第4目衛生費国庫補助金第15節生活保護費補助金 社会保障・税番号制度システム整備費等補助金429万円、歳出第3款民生費第15項生活保護費第1目生活保護総務費第12節委託料、電算機業務委託料429万円、及び債務負担行為補正(令和4~5年度)357万5千円 は医療扶助オンライン資格確認導入事業に関わるものであり、反対です。
国は来年度中に生活保護の医療扶助へのオンライン資格確認制度を導入します。生活保護受給者の資格情報や医療機関等の情報を社会保険診療報酬支払基金のオンライン資格確認システムに登録し、マイナンバーカードを用いてオンライン資格確認を行う、平たく言えばマイナンバーカードで保護受給者の医療の利用の監視をしやすくしようというものです。そのためのシステム改修が本予算です。
今回のシステム改修により、全ての生活保護受給者はマイナンバーカードを使うかどうかに関わらず医療の利用の履歴が残ります。この履歴は、個々の病院でも検索が可能であり、生活保護が終了した後でも消えることはありません。
今、政府は行政だけが持っている全国民の医療の履歴をビッグデータとして企業に開放し、「儲けのタネ」として企業の利益につなげることを狙っています。
今まで個人情報保護法制では、「個人情報」の取り扱いにあたって「利用目的をできる限り特定し」、第三者提供は「あらかじめ本人の同意を得る」ことを、原則としてきました。収集した個人情報を、本人の同意を得ずに、当初とは異なる目的のために流用したり、無断で第三者に提供したり、必要以上に大量の個人情報を収集したりすることは違法とされ、一定の規制が設けられていたのです。しかし第2次安倍政権以降、「オープンデータ・ビッグデータの活用の促進」という名で抜け穴が作られてきました。2015年、民間事業者を対象とした「個人情報保護法」を改定し、「特定の個人を容易に識別することができないものに加工している」とすれば、本人同意を得ずに、販売も含んだ外部提供できる「匿名加工情報」制度を設けるなどの動きです。
プライバシーにかかわる情報を、本人の知らぬ間に、目的外流用、外部提供することは許されません。個人情報は、「個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもの」(個人情報保護法第3条)であり、プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権です。政治は、もうけのために抜け穴をつくるのではなく、「自己情報コントロール権」を確立することこそが必要だと考えます。
本補正予算は、全国民の医療に関わる個人情報をもうけのために流用される危惧がある中で、生活保護受給者の情報管理を進めるものであり賛成できません。なお、生活保護受給者の頻回受診などの問題は、現在も適切な指導が行われていると認識しています。
マイナンバーカードの事実上の強制という点も問題です。保健福祉・協働委員会では、生活保護の医療扶助へのオンライン資格確認制度によって、生活保護を受ける人がマイナンバーカード取得と受診での使用を義務付けられるわけではないとしつつも、市は啓発推奨するということでした。ケースワーカーから「マイナンバーカードをとって病院で使ってください」と言われて「それって義務じゃないですよね。やりません」と言える受給者がどれだけおられるでしょうか。マイナンバーカードの取得は本来任意です。保護を受けていることをもってマイナンバーカード取得を迫ることは受給者の自己決定の権利を奪う差別につながると考えます。
政府は、マイナポイント2万円分のキャンペーンをはったり、健康保険証を2024年秋に廃止しマイナンバーカードと一体化させる方針を表明するなど、アメとムチでマイナンバーカードの普及を躍起になって進めています。
しかしマイナンバーカードを保険証として使うことには保護受給者であってもそれ以外の人と同じように申請の手間がかかります。
病院窓口は、来年4月にはマイナンバーカードを保険証として使えるようにすることが義務付けられています。しかしまだ対応していない窓口が残されています。機器購入には補助があっても維持費などは別途かかります。往診はどうするかなど不透明な部分も残されています。医師や歯科医師らが加入する全国保険医団体連合会の調査では「廃業する」という声が寄せられています。マイナンバーカードの事実上の強制は、医療現場にも要らぬ負担を強いて地域医療をこわしかねないと指摘いたします。
生活保護行政にマイナンバーカード取得をもちこむ必要性はなく、却って困難をもちこむものであると指摘し、甲第177号議案 令和4年度岡山市一般会計補正予算(第4号)中の医療扶助オンライン資格確認導入事業に関わるものは反対すべきであるとうったえます。
甲第235号議案 工事請負契約の締結について は浦安・芳泉認定こども園の園舎新築工事の税込み6億3,030万円の契約案件です。
岡山市は36の中学校区ごとに市立認定こども園をつくり、それ以外の市立幼稚園、保育園を統廃合民営化する方針です。岡山市は待機児童のほぼ解消を宣言する一方で、保育園未入園児童は628人残されています。このような中で市立幼稚園、保育園を統廃合民営化することは適切でないと、方針そのものに反対しています。本議案は市立浦安幼稚園と市立芳泉幼稚園の統合により認定こども園を建設するための契約案件です。
浦安幼稚園と芳泉幼稚園はそれぞれすぐ近くに小学校があり、小学校体験などの幼児教育と小学校教育の連携や接続がスムーズにできる物理的な条件が存在しています。離れた場所に建てる統合園では、この利点が失われてしまいます。
現在、浦安幼稚園には浦安小学校区内だけでなく笹ケ瀬川の南から通っている子どももいます。中学校区ごとに1園の認定こども園という方針では、学区内でも近くに園がなくなるだけでなく、在住学区外に通うことになる幼稚園児がうまれてしまうものです。自転車での通園は、さらに雨でも降ろうものなら大変です。統合園になればさらに1キロメートルあまり遠くなります。統合園は幼稚園児に相当する1号児は160人、保育園児に相当する2号児3号児は55人の計215人定員です。駐車場利用は2号児3号児がメインで、1号児は遠方の子なら利用できる場合はあるようではありますが、例外扱いです。駐車場は15台分ですが、保護者から足りるのか、確保を求める声を聞いております。
統合園により、2号児3号児の受け入れを行い、障害児保育拠点園として10名の枠ができるにしても、今の園がもつ利点や利便性を損なうことはよしとできません。
市立園は市有財産であり、市民全体の財産です。それぞれの園をどうするかは広く市民的な議論に委ねられるべきものと考えます。しかし各地で実際にやってきたことは、市が市立園の統廃合民営化の方針を不動のものとして地域に迫り、住民への説明や決定を地域に作らせた協議会に負わせ、市としての説明や合意形成の努力を果たしていないものだと思っています。市立幼稚園については、統廃合民営化でなく、それぞれの園が今はたしている役割を評価し、すべての園での3歳児預かりを行って空き教室の活用と就学前教育の需要を満たすことなど、すべきことがあると考えます。以上の理由で甲第235号議案は反対すべきであるとうったえます。
以上です。議員のみなさんの賛同をお願いいたします。