議会質問・ニュース

【陳情討論の原稿】 2023年9月議会 林じゅん(230919)
[ 09月19日 ]

23年09定 陳情討論(230919林)

 


 

日本共産党岡山市議団の林潤です。会派を代表して、

陳情第28号 岡山市の水道料金を値上げしないよう求めることについて、

陳情第29号 現行の健康保険証を引き続き使用できるよう求める意見書の提出について、

陳情第31号 来年度からの水道料金の値上げをしないよう求めることについて、

の3件について、委員会報告に反対し、採択を求める立場で討論を行います。

 

陳情第28号と陳情第31号は、水道料金を値上げしないように求めるものです。

陳情第31号では、冬の暖房、夏の冷房、日々の食料品の出費に気を揉んでいる庶民の生活が述べられています。

食品、水光熱費、ガソリン代など様々なものが値上がりしているところへ、水道代まで上がるとなると生活の見通しが立ちません。

物価高騰に対して、学校給食の保護者負担、保育施設の食費、指定管理者の電気代などに支援の予算が組まれています。当然の措置です。

もしも水道料金が上がった場合、食材費や電気代と同様に支援が必要ですが、支援の要因を市が作り出すことになります。

また陳情第28号は、市内事業者の経営の困難さを述べています。

水道料金が上がれば、市内事業者のコストが上がります。価格に転嫁されれば、市民生活の負担に繋がります。

水道事業審議会に出されている値上げ案では、統制令で水道代を利用者に転嫁できない一般公衆浴場は値上げ幅を抑えることになっています。

医療や介護も患者、利用者の負担が定められており、水道料金の値上げを転嫁することはできません。

透析で大量の水を使う医療機関や利用者の入浴がある介護施設は経営が大変になるでしょう。

いずれも転嫁はできません。求められるのは、水道料金を値上げしないことです。

安全な水を安定して供給することは市民の命と健康に関わる重要な事業です。

その認識は、市長とも議員各位とも一致していると思います。

問題は、そのための財源のあり方です。

市は、企業会計の独立採算、受益者負担に拘りますが、下水道事業には収支不足を補填する繰り入れが行われています。水道事業も電気代高騰の支援が行われています。

国は繰り入れを禁じてはいません。企業会計も独立採算と受益者負担だけではないやり方は可能です。

人口が減り、水の使用量が減る中で、水道料金だけで巨大なインフラを支えようとすれば、際限なく値上げせざるをえません。老朽化だから仕方ないという声がありますが、企業債による先送りでは解決できません。8年経てば、あるいはその前にも再度の値上げの話が出てきます。

今議会の日本共産党岡山市議団の質問で、水道事業の運営を維持していくために必要な金額は年額にして35億円ほど、市の一般会計の1%程度であることを明らかにしました。

水道はすべての市民の生活を支えています。その公共性に鑑みれば、税金を使うのは当然です。

水道事業を持続可能なものにするには、インフラの維持・更新には一般会計を使うようにするしかありません。

どちらの陳情の提出者も、水道局が経営努力をしてきたこと、老朽化している水道施設の維持・更新には大きな費用が必要なことは理解しています。その上で、暮らしと営業のためには、水道料金の負担増は死活問題として、値上げしないように求めています。

6月議会と今議会で、自民党、公明党からも値上げによる市民負担を抑えるように求める質問が出されました。市民から値上げに対する不安の声が届いているのではありませんか。

8月24日には、岡山市の水道料金を考える会から、値上げしないように求める2438筆の署名が市に提出されました。その後も1000筆以上、集まっていると仄聞しています。

水道料金を値上げしないで欲しい、と言う声が広がっていることの表れです。

市民の暮らしの大変さを考えれば、値上げすべきではありません。

両陳情を採択して、市長に値上げしない決断と、そのために水道事業会計について独立採算と受益者負担からの転換を求めようではありませんか。

よって、両陳情の採択を求めます。

 

陳情第29号は、2024年秋の健康保険証の廃止を行わず、現在の健康保険証が引き続き使用できるようにすることを求める意見書の提出を求めるものです。

マイナンバー制度が始まって以来、国は国民にマイナンバーカードの普及を目指してきました。同時に国会での議論を経て、マイナンバーカードの取得は任意とされました。

国民に取得を促すために、国が2兆円以上の事業費で一人最大2万円分のポイントをばらまき、巨額の広告費を掛けてマイナンバーカードの利便性をアピールしてきました。

自治体に対しては、住民のマイナンバーカードの取得率に応じて交付金に差をつける脅しのようなやり方をとり、住民に対するサービスに差をつけた自治体もあります。

こうした様々な飴と鞭でも個人情報の漏洩の危惧やマイナンバー制度自体への不信から国民の取得は国の思惑通りには進みませんでした。

そこで国がひねり出したのが健康保険証の廃止です。

6月2日に参議院で2024年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードのオンライン資格確認に一本化する法案が成立しました。

医療を受けるのになくてはならない健康保険証の廃止は、事実上のマイナンバーカードの強制です。

法案が成立してからも、マイナンバーカードを保険証として利用する際のトラブルが相次ぎました。

8月時点で、協会けんぽで40万人の紐付けがされていないことが明らかになりました。

別人との紐付けも発生しています。医療に関する間違いは、命に関わります。

医療機関でもトラブルが発生しています。オンライン資格確認ができず窓口で10割負担を求められたり、別人と間違われたりしています。医療機関自体も必要な機器の使用や維持のリスクを抱えています。デジタル化自体が負担になる地方の開業医が廃業する報道もあります。

こうしたトラブル、リスクに対して、国が打ち出してきた対策の一つが、当面はマイナンバーカードを保険証として使う際にも念のために健康保険証を持参することでした。

それならば最初から保険証を持って受診すればすみます。マイナンバーカードは不要です。

マイナンバーカードを持っていない、あるいは保険証と紐付けしていない人には資格確認書を送るとしています。

私は、6月議会で資格確認書を市から全員に送ることを提案しました。現時点で全員に郵送ということは考えていないとの答弁でしたが、その後の国から資格確認書をプッシュ型で送る案が出てきました。

それならば最初から保険証を送付すればすみます。

保健福祉・協働委員会の審査では、資格確認書を送ってくるのだから保険証を送ってくるのと変わらない、という話があったと聞きます。

その変わらないことをするにも新しいシステムと新しいカードが必要になり、費用が掛かります。

それならば最初から保険証を残せばすみます。

任意であるマイナンバーカードを事実上の義務化で押し付けることが目的だから、似たような別のことをする無駄を重ねるのです。

現行の保険証の廃止は、困っている人ほど医療から排除されかねない国民皆保険の根幹に関わる問題です。

よって、本陳情の採択を求めます。

 

議員各位のご賛同を賜りますよう、お願い申し上げまして、討論を終わります。