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私は日本共産党岡山市議団を代表して、平成27年陳情第27号以下26件の陳情に対する委員長報告に反対の立場で討論します。
●路面電車の駅前乗入突出よりも、市全域の公共交通充実こそ優先すべき●
まず、平成27年陳情第27号 路面電車駅前乗り入れ平面案の早期実現について から、平成27年陳情第36号、第41号、第42号、平成28年陳情第8号から第10号、第15号から第19号は、路面電車をJR岡山駅前広場へ平面乗り入れすることに関して早期実現や調査・検討の予算を議決することについての陳情です。
路面電車の岡山駅の乗り入れについては、確かに利用している方にとって、便利にはなると思いますが、今急いでしなければならない事業かというと疑問が残ります。特に、市民の移動権や交通権を守るためには、どの地域に住んでいても公共交通の利用ができるように市がきちんと位置付けなければなりません。バス停や鉄道駅から遠い交通不便地域に住んでいる市民は20万人、うち高齢者は5万人もいます。まずそこにしっかりと手立てをうつべきです。昨年度の一般会計のうち地域公共交通にかかわる支出は約0.03%で9,000万円足らずでした。新年度は8,189万円でさらに減っています。
今回の路面電車の岡山駅平面乗り入れは、当初10億円かかるといわれていました、そのうえ、岡山駅前広場をミニ後楽園のように改修するデザイン案が選定され、さらに20億円、30億円かかるような方向で進んでいます。いま急いでここに多額の税金を投入するのでなく、交通政策としては、路面電車の延伸・環状化、市全域のバスの充実などを考えるべきとの意見を申し上げて反対の理由とします。
●今年10月の消費税10%は中止を●
次に陳情第3号と第5号はともに、今年10月の消費税10%への中止を求める意見書の提出について です。
安倍政権が強行しようとしている消費税の増税には、全国の労働者、中小業者、消費者だけでなく、企業経営者や知識人など幅広い層から懸念と批判の声が上がっています。3月11日に共同通信が行った世論調査では54.4%、半数以上の方が増税に反対で、84.5%もの人が景気回復を実感していないと答えています。
消費の落ち込みに対して政府が打ち出した対策は、買うもの、買う場所、買う方法によって5通りもの税率になり、消費者にとっても業者にとっても大混乱が予想されます。プレミアム付き商品券の発行も、現金で買う分を商品券で買うだけで消費拡大の効果はないと指摘されています。
そもそも消費税は赤ちゃんから高齢者までかかる税であり、また所得の低い人ほど負担が高くなる仕組みとなっています。消費税に頼らなくても、大儲けしている大企業や大資産家に適切な負担を求めることや、5兆円も超える軍事費にメスを入れるだけでも財源は確保できます。なによりも市民の暮らしや社会保障に税金を使い家計を温める経済政策をとるべきです。そのためにも増税しないことが一番の景気回復への近道です。よってこの陳情を採択し、国に対して10月からの増税中止を求めるべきです。
●岡山市議会も日本国憲法の原則が生かされるよう意見すべき●
次に、陳情第6号 憲法を壊す「9条改憲」に反対し、憲法を生かすため、国に対する意見書の提出について です。
政府は戦後、日本国憲法制定後から、「戦力不保持」を定めた憲法9条2項の制約から「自衛隊は我が国の自衛のための必要最小限度の実力組織であって戦力にあたらない」とする合憲論を主張し、海外派兵、集団的自衛権の行使、武力行使を目的とした国連軍への参加をできないとしてきました。安倍政権のもと集団的自衛権の行使容認や、安保法制いわゆる戦争法を強行してこの見解に大穴をあけましたが、少なくとも建前では憲法9条での制約を認めています。
しかし安倍首相は、自衛隊がいつまでも違憲だというのはかわいそうだと憲法9条に3項を設け、自衛隊を明記する改憲に固執しています。自衛隊を明記するだけと言いますが、たとえ戦力不保持を定めた2項を残したとしても、2項の死文化に道を開き、海外における武力行使が無制限になる恐れがあります。
そして安倍首相自身が党大会などで発言し、憲法9条を変えることを時期まで決めて宣言したことは、首相の立場として「憲法尊重擁護義務」に反する憲法違反の大問題です。加えて、立法府に対する行政府の不当な介入であるという点では、三権分立の原則にも反しています。今回、岡山市議会で首相を後押しする発言があったことは、憲法を理解していないという点でとても残念です。世論調査でも6割の方が憲法9条を変えるべきでないという結果が出ています。
戦後70年以上にわたり日本が海外で戦争をしてこなかった大きな力は、憲法9条の存在と、唯一の戦争被爆国としての平和を愛する国民の願いと粘り強い運動でした。岡山市議会としても日本国憲法の国民主権、基本的人権、平和主義の原則が生かされる政治をするためにも国に対して意見書を出すべきだと申し上げます。
●本人同意なしに個人情報を提供しないことは当然のはず●
次に陳情第7号 同意なしの個人情報の提供を行わないことについて です。
この陳情の趣旨は「本人の同意なしに個人情報を提供しないこと」を求めること、つまり、住所・氏名・生年月日、マイナンバー等を、自衛隊を含め第三者に個人情報の提供をしないことです。よってなんらこの趣旨を採択することには問題がありません。
しかし今回、この陳情のきっかけとなったのは、安倍首相が、自民党大会や国会答弁で「自衛隊の新規募集に対して都道府県の6割以上が拒否している悲しい実態がある」と述べたことです。自衛隊を軍隊のように位置づけ、名簿を自治体に強制的に提出させることを当然のように考える首相の発言自体が大問題です。また憲法9条改定の口実にしていることも看過できません。
住民基本台帳法には、自衛隊への情報提供の義務規定はありません。この陳情のいう「本人に同意なしに個人情報の提供はしないこと」というのは当然のことであり、今後もこの立場をつらぬくべきです。よってこの陳情を採択すべきです。
●種子を守る県条例を制定して食と農の安心・安全確保を●
最後に陳情第8号 種子法廃止に伴い岡山県の取り組みが後退しないよう岡山県に条例の制定を求める意見書の提出について です。
この陳情は国の種子法廃止を受けて、県の取り組みが後退し食料と種子の安定供給が損なわれることを危惧し、県に条例制定を求める内容です。
米、麦、大豆の種子の生産と普及を都道府県に義務付けていた種子法が2018年3月で廃止され、そのことによって行政の取り組みの後退や、将来的な種子の高騰、外資系企業の独占などを懸念する声が続出しています。
そもそも国による種子法廃止は、種子の市場化が目的です。
今まで、米、麦、大豆、については、各都道府県が責任を持って種子の開発・増殖をしてきました。それは、一つの品種が開発されるまでには10年、増殖には4年という膨大な歳月と労力が必要であるからで、しっかり取り組めるよう税金でまかなってきたのです。
しかし、種子法廃止でその根拠が失われます。予算の支えがなければ、地域や気候にあった品種の多様性が失われることになります。
また、廃止により、種子ビジネスを行う企業とすれば利益優先で同じ品種を効率的に広めることに重きがおかれます。
そのうえ、膨大な開発費を回収する必要が出てくるので、F1種という一世代に限ってのみ作物ができる品種を販売することが中心となり、毎年農家は企業から種を買わなければならなくなります。民間企業の種子の価格はこれまでの県で推奨されてきた品種と比べると5~10倍になりかねません。
種子の価格の高騰は消費者にも跳ね返ってきます。価格の高騰や安全な供給体制が整わないなど問題だらけです。安心できる食を守るためにも、本来は種子法の復活が必要ですが、せめて条例をつくるべきです。
県は、要綱があるので何も変わらないと言いますが、要綱だけでは根拠が不十分です。しっかりと条例に明記し、それを根拠に予算付けや人員の確保、体制の確立につながることが必要です、よってこの陳情を採択すべきと考えます。