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【陳情に対する討論の原稿】 24年11月定例岡山市議会(林じゅん)
[ 12月13日 ]

陳情討論241213原稿【林】


 

11月定例岡山市議会 陳情 反対討論

日本共産党岡山市議団の林潤です。

会派を代表して、

陳情第36号 誰もが安心できる年金制度への改善を求める意見書の提出について

陳情第40号 正規職員の採用増を求めることについて

陳情第41号 中学校・高校における35人学級の実現を求めることについて

陳情第42号 幼稚園・認定こども園の学級定数を3歳児10人,4歳児15人,5歳児20人以下に見直すことをもとめることについて

陳情第43号 特別支援学級の学級編成基準を7人以下にすることを求めることについて

の5件の陳情について、採択を求める立場で討論します。

 

陳情第36号は、年金の引き下げに反対し、充実を求めるものです。

年金を充実させることは、現在の高齢者の生活を支えるとともに、現役世代の展望になります。年金は減らされるばかりとなったら将来が見通せません。

本陳情では、第一にマクロ経済スライドを廃止し、物価上昇を上回る支給額に引き上げることを求めています。

自公政権は2004年の年金制度改定で「100年安心」の名目で、マクロ経済スライドを導入しました。これまで2015、2019、2020、2023、2024年度の5回、発動しています。

マクロ経済スライドでは、賃金と物価の変動率で年金額の変更が決められます。

「名目手取り賃金変動率」か「前年の物価変動率」のどちらか低い数値が用いられ、さらにスライド調整分が引かれます。

額は増えたとしても物価の上昇より小さく、実質では年金は目減りすることになります。

今の年金で暮らしが大変なのに、物価に追い付かない制度になっています。100年安心どころか、来年が不安です。

2024年11月25日の第21回社会保障審議会年金部会で「現行の年金制度では、マクロ経済スライドによる給付調整により、賃金や物価の伸びより年金額の伸びが抑えられている」として、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の終了の必要性を議論しています。第3回では、終了により将来的に99.9%の方の給付水準が上昇するとされています。

つまり国もマクロ経済スライドの下では年金は物価に追い付かず、なくすべきものと認識していると言えます。

本陳情では二つ目に、支給年齢を65歳以上に引き上げないように求めています。

やりがいや年金のプラスαのために働くことは本人が元気で、自ら選ぶなら構いませんが、年金が出ないから働かざるを得ない、という制度にしてはなりません。

三つ目に、最低保障年金制度の実現を求めています。

高齢者は誰もが何らかの形で社会を支えてきました。加入年数や保険料の納付にかかわらず、国が最低限の年金を保障すべきです。

四つ目に、毎月支給を求めています。

家賃や水光熱費、その他、定期的な支払の多くが毎月払いです。働いている場合は、給与も月払いが多数です。

年金も生活サイクルに合わせて、毎月支給にした方がやり繰りも考えやすくなります。

五つ目に、年金での投資をやめて、保険料の軽減や支給額の充実を求めています。

公的年金の積立金を市場運用する年金積立金管理運用独立行政法人が、国内外の軍事産業に巨額の投資をしていることが日本共産党のしんぶん赤旗の調べで分かりました。

世界では軍事産業への投資を避ける動きがあります。国内でも、りそなホールディングスは核兵器や対人地雷・クラスター弾などの開発・製造先への融資を禁じる方針を発表しています。ところが年金積立金を運用する法人には、軍事に関する指針はありません。

年金積立金を運用する法人が2023年度末に保有していた軍事企業の株式時価総額は、防衛省の23年度の契約額(中央契約)上位20社だけで6兆632億円に上っています。

年金積立金を運用する法人は国内軍事企業に限らず、米国の核兵器関連企業など6社の株式に4,700億円もの投資をしています。

民間の投資会社ならお金を出す個人が投資先を選ぶこともできますが、年金の掛け金はとにかく払わざるを得ません。

国民と企業の納めた保険料を原資とした年金積立金には、軍事産業に投資したくない人の掛け金も含まれています。

特に岸田前政権が大軍拡を決め、武器の開発を進めようとしています。政府の軍拡方針を年金の掛け金で支えるのは問題です。

また年金は安定が重要です。一時の利益が上がったとしても、反対に損失の危険は拭えません。

年金積立金は250兆円と最高の額になっています。投資は止めて、支給を充実させるべきです。

 

陳情第40号は、正規教員の増員を求めるものです。

市は、これまで急激な採用は質の向上に関わるとしてきましたが、非正規でも担任ともなれば同じ質が求められます。非正規でおいておくことはなじまないとの陳情者の意見は当然です。

国が責任を果たす必要はありますが、同じ国基準の下で、正規率が全国平均91.9%に対して、岡山市は85.7%と非正規が多い状態です。千葉市など、独自の教員確保を行っている自治体があります。市独自ではできないと言っている場合ではありません。独自の努力も求められます。

よって、本陳情を採択すべきです。

 

陳情第41号は、中学校と高等学校でも少人数学級を求めるものです。

教育再生実行会議でも、文科省の資料で「不利な家庭環境に置かれた児童生徒が数多く在籍する学校においては、学級規模が小さいほど正答率が高くなる傾向」「学級規模が小さいほど、①学習規律・授業態度が良い、②授業内容が高まる、③学習意欲が高まる傾向」が指摘されています。困難な状況の児童・生徒が増えている中、少人数学級の利点は、すべての学校に当てはまることです。

有識者からの意見として、大規模学級のデメリットとして「一人の教員が受けもつ児童生徒の人数が多いため、負担が大きい」が挙げられ、大人数が不登校の要因になっているとの指摘があります。

少人数学級でも、市独自で国に先行することは大きな意味があります。

よって本陳情を採択すべきです。

 

陳情第42号は、幼稚園・認定こども園の学級定数をより少なく見直すことを求めるものです。

3歳以上の保育施設における保育者1人あたりの子どもの数の上限は、OECD平均で18人です。

文科省は幼稚園の1学級の人数を引き下げる検討をするとしていますが、35人を30人にしようとするもので、OECDの平均にはとても及びません。

家庭では三つ子を見るのも大変です。

幼稚園や認定こども園では、専門家が保育・教育に当たるとはいえ、様々な状況にある子どもにきめ細かい対応をするためにも、担任が余裕を持って保育・教育に携わり、保育現場での虐待が起きない環境にするためにも、学級定数を少なくすることは有効と考えられます。

国が動く前にも市が独自に取り組みを進めるべきです。

 

陳情第43号は、特別支援学級の学級編成基準を7人以下にすることを求めるものです。

現在の定員は8人ですが、全国都道府県教育長協議会で、5人を超えると指導が困難な状況がある、と訴えられています。

国が基準を変えて、地方への財政措置も充実させるべきですが、行き届いた教育のために国が動く前にもせめて7人以下にして欲しい、との要望は切実だと考えます。

よって、本陳情を採択すべきです。

 

以上、5件の陳情を採択すべき理由を申し述べました。

議員各位のご賛同を賜りますよう、よろしくお願いします。