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12月15日に閉会した2020年11月定例岡山市議会で、日本共産党岡山市議団は64件の議案のうち2件に反対し、市議団を代表して林じゅん議員が反対理由を述べる討論を行いました。
反対した議案は次の通りです。
①甲第236号議案 工事請負契約の締結について
②諮問第4号 軌道敷設の工事施工認可申請に係る意見について
討論の全文をご紹介します。
日本共産党岡山市議団の林潤です。
党市議団を代表して、委員長報告のうち甲第236号議案 工事請負契約の締結について、および諮問第4号 軌道敷設の工事施工認可申請に係る意見について、の2件に対して反対討論を行います。
甲第236号議案は山南中学校区の4つの小学校と山南中学校を合わせて義務教育学校にする際の校舎を建築する工事請負契約です。
地域の皆さんの地域の学校を素晴らしいものにしたい、という思いは大切です。
では、その思いに応える方法が義務教育学校かというと疑問があります。
制服や学校の名称、校歌は保護者や地域の方々の話し合いで決められました。しかし学校のあり方や教育の内容は教育委員会が専門性を発揮して、しっかり検討して決めるべきです。
義務教育学校にすることを決めた拙速さは、予算化の際から指摘してきました。
市教委が地元に義務教育学校と制度について説明したのが2018年10月でした。
地元が山南学園(仮称)設立協議会を立ち上げたのが2019年4月、市教委に要望書を提出したのが6月6日です。
市教委は要望書を受け取って即日、設立を進める方針を決定したとのことです。
驚くべき速さです。
そして我が会派は反対しましたが、2019年9月議会で補正予算が可決されました。
かといってその後、教育委員会内で検討や説明が進んでいるようには見えません。
教育委員会の議事録では、義務教育学校が話題にされたのは、補正予算を議論した2019年9月の会議、次は11月に教育長が山南中学校区の太伯小学校を訪問した報告があり、2020年2月に補正予算で学校建設費を増額するとの報告があり、次は10月に教育長が山南中学校を訪問した所感が述べられているだけです。義務教育学校の教育内容の議論は深められていません。
これまでに設立された義務教育学校の内容を見ると、全市的に小中一貫校が進められてきた自治体、すでに小中一貫校として何年も運営してきた学校が目に付きます。
岡山市にはあしもり学園があり、小中一体型施設での教育を行っています。ところが山南学区では市内で経験のあるやり方をしようとしません。小学校と中学校が別々に建っている大半の学校と小中一体型校舎のあしもり学園に加えて、似て非なる義務教育学校という形態が加わります。
違いは何か、義務教育学校でなければならないのか、岡山市全体の学校のあり方として、もっと市教委での議論があるべきです。
明確なのは山南義務教育学校(仮称)の設立により、大宮、太伯、幸島、朝日の4つの小学校は廃校になることです。
学校4つ分の校長も教頭も減らされます。学校ごとに配置されていた司書や栄養士も減らされます。校務員も実質的に減ります。合併推進債を当てにして校舎建設にはお金を掛けながら、人件費は削減です。子どもたち取り巻く人員体制が薄くなるでしょう。
小学校の廃校は地域の教育と子育てはもちろん、地域の人口減少や各種団体の組織の単位など様々な影響があります。
それらが「新しい制度の学校をつくる」ことで覆い隠されてしまっています。
合併推進債の期限に縛られて2022年の開校を目指すのは拙速に過ぎます。このまま事実上の小学校の統廃合になる事業の推進は認められません。
よって新しい校舎でどんな教育を行うのか、地域の願いのためには義務教育学校が最善なのか、議論を深めるべきであり、契約議案に反対します。
諮問第4号は路面電車の岡山駅前広場への乗り入れのための工事の認可申請に係るものです。
岡山電気軌道株式会社が工事施工の認可申請を出したことについて、軌道法施行令第2条第2項に基づき、県知事が道路管理者である市に対して意見を聞き、市が申請について「同意する」との回答をしようとしていることについて、議会が意見を求められているものです。
公共事業のあり方について、内山下、深柢、弘西、南方の各地区連合町内会長の連名で、路面電車の岡山駅前広場への乗り入れを例に挙げて「計画の先送り」を提言されています。
市民生活も経済状況も変わっている中で、新型コロナウイルスの感染拡大と対応を想定していなかった時期の計画をそのまま進めてよいのか、との懸念は当然です。
工事の認可申請について、市の判断は軌道敷の材質や構造、信号設備等の位置など技術的な観点で行われています。
観光客の動向や路面電車の経営見通しは考慮されていません。コロナ禍で公共交通の経営の困難が指摘されています。市長も税収減の懸念を示しています。
道路管理の問題として、線路部分で車がスリップしないか、軌道が壊れやすくないか、設備が邪魔にならないか、だけを考えている場合ではありません。
道路管理者が考慮しないなら、議会が財政の見通しと事業の優先順位を考慮して判断すべきです。
路面電車の線路の延伸と岡山駅前広場の改修に掛かる40億円は市民の暮らしの支援と公共交通に対しては直接的な経営支援策に充てるべきだと考えます。
路面電車の岡山駅前広場への乗入れはこのまま進めるのではなく、一旦、立ち止まるべきです。
よってこの同意には反対します。
議員各位のご賛同を賜りますようお願いいたします。