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2021年6月定例市議会で、日本共産党岡山市議団は当局提案の58議案のうち4議案に反対し、林じゅん議員が党市議団を代表して、反対理由を述べる討論を行いました。
討論原稿(全文)をご紹介します。
林潤です。
日本共産党岡山市議団を代表して、
甲第115号議案 令和3年度岡山市一般会計補正予算(第2号)について
甲第117号議案 岡山市市税条例等の一部を改正する条例の制定について
甲第138号議案 指定管理者の指定について
甲第140号議案 岡山市第六次総合計画後期中期計画の策定について
の4件について、委員長報告に反対の立場で討論します。
まず浦安幼稚園と芳泉幼稚園を統合して、認定こども園にしようとする予算案についてです。
甲第115号議案 令和3年度岡山市一般会計補正予算(第2号)歳出第3款民生費第10項児童福祉費第16目認定こども園費の認定こども園整備事業費1400万円余と債務負担公費補正 浦安・芳泉認定こども園(仮称)施設整備事業2000万円余と関連する歳入です。
岡山市の市立幼稚園と保育園を廃止、民営化する方針の一環です。
地域に根ざした保育・就学前教育を行ってきた公立施設には地域の期待があります。公立施設を残して欲しい、という市民の声は議会にも届けられています。
浦安幼稚園と芳泉幼稚園を統合した施設は、それぞれの小学校から離れてしまいます。幼稚園と小学校で連携して行ってきた教育に逆行します。
市立幼稚園は、廃止・民営化ではなく、3歳児保育の拡大などで活用すべきです。
よって、この認定こども園推進に関連する歳入・歳出予算に反対です。
次は、企業主導型保育事業の誘導策の延長についてです。
甲第117号議案 岡山市市税条例等の一部を改正する条例の制定については、企業主導型保育事業に係る課税標準の特例措置の延長です。固定資産税を軽減して、事業を誘導するものです。
企業主導型保育事業は認可外の保育事業です。
多くの保護者は、子どもを預けるなら、人員体制や施設の基準があり、安心して預けられる認可保育園に預けたい、と願っています。保育の受け皿は認可保育園の整備で行うべきです。
岡山市の政策として、認可外保育の誘導を延長すべきではありません。
よって,この条例改正に反対します。
次は、岡山北斎場を指定管理で運営する予算と指定管理者の指定です。
甲第115号議案 令和3年度岡山市一般会計補正予算(第2号)歳出第4款衛生費第1項保健衛生費第20目火葬場費中、委託料3000万円余、債務負担行為補正 岡山北斎場管理運営委託4億2000万円余は、岡山北斎場の指定管理に係る予算です。
岡山北斎場については、場所の決定の際から市のやり方が地域の分断を生んできました。
決められた場所は産廃跡地であり埋設物からの滲出水の安全性や供用開始後の排気の影響の懸念があります。住民への真摯な対応が必要です。
市が、直接責任を持って運営と住民への対応に当たるべきです。
もともと北斎場は直営の計画でした。指定管理者でなくても運営はできます。現に東山斎場は直営で運営しています。ところが北斎場の運営は、指定管理者に方針変更されました。
直営での運営を求めます。
指定管理者の決定のために市が示した資料は、事業実績の数や運営に際しての課題と対応が黒塗りです。
指定管理者選定に係る審査採点結果の配点は、決定した事業者のみが示されました。他の事業者の点は総得点だけが示されました。
これでは決定した事業者の、どの項目が、どれだけ優れていて選ばれたのか分かりません。
市長のよくおっしゃっている公平性とも透明性とも真逆です。
事業者の事業計画は、様々な箇所が黒塗りで議会に示されました。
管理運営の実績数は黒塗り、運営のための人数も黒塗りです。運営に際して想定されるミス・トラブルは列挙されていても、どう対応するのかは黒塗りです。地域への経済効果の数値は黒塗り、環境保護の取り組みの実施内容も黒塗りです。
何が隠されているのか、推測もできない、図表全体の黒塗りもあります。
市は、黒塗り部分は今後も開示しないとしています。
事業者が計画通りに運営しているのか、計画自体が分からないのではチェックができません。
このような黒塗りは、大森市長になって後楽館高校跡地売却先の決定から目立ちます。
議会に判断するに足る情報を提供しないまま決定し、その後のチェックもできないやり方は、議会軽視と言わなくてはなりません。
よって甲第138号議案 指定管理者の指定について、と関連する予算に反対です。
最後は、今後5年間の岡山市の指針を定める甲第140号議案 岡山市第六次総合計画後期中期計画の策定について、です。
日本共産党岡山市議団は、命と暮らしを大切にする福祉の心を持った市政を目指し、子どもが大切にされて伸び伸びと育ち、歳を重ねても障害があっても安心して暮らせるまちづくりを求めてきました。
子どもの医療費の無料化拡大や国保料・介護保険料の値下げを求めてきました。
ところが大森市政の下、国民健康保険料や介護保険料の引き上げが行われてきました。
暮らしの負担が増える一方で、大型公共事業が進められ、2020年度から通常債残高が増加に転じています。
コロナ禍の下、今の暮らしに困り、将来に不安を持っている市民に応えるには、借金を増やしてきた市政を、暮らし応援の政治に切り換えなくてはなりません。
また非正規雇用を増やしてきた市の体制がコロナ対応にどう影響したのか、検証と今後に生かす姿勢が見当たりません。
路面電車の岡山駅前広場への乗り入れ、桃太郎線LRT化は中止し、北斎場も瀬戸内市との合同の斎場も需要を精査して、規模を見直し支出削減を図るべきです。
個別課題については大きく二つの分野について述べます。
教育・子育て分野について
市立幼稚園・保育園の廃止、民営化が引き続き、盛り込まれています。
保育園に幼稚園部分を付け加える認定こども園化は、費用の割に定員が増えませんでした。
市立幼稚園で3歳児保育を行えば入園児の増加が期待でき、延長保育も行えば、保育の受け皿にもなります。
当初の市立施設を30にまで減らそうとする計画は具体化の段階で市民から反対が起こり、36に変わりました。認定こども園ありきで、市立施設を統廃合する計画は全面的に撤回すべきです。
子どもの医療費助成は、県内ではほとんどの自治体が中学生まで無料にしています。子育ての経済的負担感を軽くし、家庭の経済状況に依らず安心して子どもをお医者さんに看てもらえる支援策です。子育て世代がどこに住むのかを決めるきっかけにもなる政策です。
小学生が有料なのは県内で岡山市だけなのに、その拡大さえ盛り込まれていません。
全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストは標準偏差が2.4とか3.5とかです。全国が狭い範囲にひしめき合っています。その中で競争を煽り、相対的な順位の比較をするよりも、それぞれの子どもが、必要なことができるようになること、昨日より分かるようになることが大切です。
そのために細かい対応ができるよう正規教員を増やし、少人数学級にすることです。ところが国も方針を示した小学校の少人数学級さえ盛り込まれていません。
子育ての負担軽減と食育は教育の一環として、義務教育完全無償の観点から、学校給食は無料にすべきです。
まちづくりと公共交通について
市街地再開発事業は民間の手上げで始まります。最大3割の半分が市の補助金ですが、市では全体の事業の数を抑えられません。どこにどんなビルを作り、全体でいくら税金を投入することになるのか、市はコントロールができません。
市街地再開発事業の有り様をコントロールできる仕組みを作るべきです。
市街地の無秩序な開発を防ぐには、立地適正化計画よりも50戸連たんの廃止が必要です。市民に不安を呼ぶ地域の線引きは不要です.
市の財政状況と広場の改修を含めた費用対効果を考えると、路面電車の岡山駅前広場への乗り入れと駅前広場の改修をこのまま進めるべきではありません。
桃太郎線LRT化は、総社市とJRとの三者協議が中断していることに触れられていません。
三者協議が中断していても、市として沿線のフィーダー交通の整備は進められます。この間に吉備線の利便性向上のために、これまでのLRT化構想以外の道を探るべきです。
吉備線の利便性の向上は、立ち退きを含めて費用と時間が掛かる線路の移設を伴うLRT化ではなく、ダイヤの工夫や既存の線路のままで踏切ではなく、信号制御で渋滞を解消できるようにする軌道法適用の工夫を提案します。
以上のようにコロナ禍で市民の暮らしの応援が求められている時に、足りない部分、不要な部分の一部を指摘し、甲第140号議案に反対します。
以上、各議案に反対の理由を申し述べました。
議員各位のご賛同を賜りますよう、お願い申し上げて、討論といたします。
ありがとうございました。