議会質問・ニュース

【討論の原稿】 2022年2月議会 議案(220315竹永みつえ)
[ 03月15日 ]

【印刷用】 2022年2月議会 議案反対討論【竹永】


私は日本共産党市議団を代表して、甲第3号議案令和4年度岡山市一般会計予算について以下8件に対する議案について、委員長報告に反対の立場で討論します。

≪路面電車の岡山駅魔乗り入れ・広場改修≫
まず路面電車の岡山駅前広場乗り入れに関する予算についてです。
甲第3号議案岡山市令和4年度一般会計予算、歳出第8款土木費、第20項都市計画費、第1目都市計画総務費中、都市交通戦略推進事業費のうち6.1億円余、また第2表債務負担行為の岡山駅東口広場改修事業3億3千万円です。
路面電車の岡山駅前広場への乗り入れは、2013年の大森市長当選後進められてきた事業です。当初は乗り入れだけ10億円程度と言っていましたが、その後駅前広場の大改修や交差点の改良などが広がり43億円と予算が膨れ上がっていました。しかし今年の年明けに、何と地下街において建築基準法の認識不足があり、事業費が86億円に増加することが報じられ、完成も2025年度へと遅れることがわかりました。
市の重要事業の1つであるこの事業で大きなミスがわかり、2年前にはこのことがわかっておきながら、年明けまで何の報告も市民や議会にはありませんでした。しかも1年前の当初予算には計画推進の予算がそのままあがっており、議会には平然とした答弁をしていたことなど、あまりにも議会軽視だと指摘せずにはおれません。
また何よりも死活問題である地下街の店舗の方々にも何の説明もなかったとのことです。そして市長選挙の前にわかっていたのは明らかなのだから、市民に何の説明もせずに市長選挙に臨んだことに対して市民から不信の声が私たちのところにも多数寄せられています。
今回の予算が膨れ上がったことに対して、有利な起債を使うといいながら、交付税算入が全額入らないことは市長も以前議会答弁で言われていました。ゆえに、市民負担が2億円増で済むわけではないということも併せて指摘させていただきます。
今回、B/C=費用対効果が1.05と答えています。その根拠として利用者の1000人増を事業者が言ってきたこととしていますが、その検証もされていません。そして、1.05は内部で計算したとのことで、その客観性が乏しく、前に示した数字との比較もできていません。
今、市民の暮らしはコロナ禍で大変です。市政が最優先で行わないといけないことはコロナ対策と市長もおっしゃっています、それならばいったんこの路面電車岡山駅前広場の乗り入れ事業を中止して計画案の調査検討会をやりなおし、市民的議論をすべきです。
よってこの予算は認められません。

≪マイナンバー利用拡大≫
次に、マイナンバー制度に関連です。そもそもマイナンバー制度は国民総背番号制という内容でプライバシーの侵害、個人情報保護の観点からも導入時からその危険性を訴え反対してきました。そしてマイナンバーの利用拡大になる予算については反対をしてきました。
今回は、甲第4号議案令和4年度岡山市国民健康保険費特別会計予算の歳入第19款国庫支出金、第2項国庫補助金、第20目事務費補助金の中の社会保障・税番号制度システム整備補助金108万円余、同じく歳出第10款保険事業費、第1項保健事業費中108万円余は、希望者にはマイナンバーカードに国保証の機能を持たせるために使うという内容です。利用拡大にあたるので反対をします。
同じく甲第20号議案岡山市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例についても、マイナンバーの利用拡大に関わるものなので反対をします。

≪苫田ダムのムダな受水≫
次に苫田ダムの不要な水の受水に関わる予算についてです。
甲第3号議案令和4年度岡山市一般会計予算、歳入第23款繰入金、第1項特別会計繰入金、第1目特別会計繰入金中、水道事業会計繰入金1869万円、同じく歳入第26款市債、第1項市債、第4目衛生債中、岡山県広域水道企業団水源開発出資金充当2億8千8百万円、歳出第4款衛生費、第15項第1目上水道整備費中、岡山県広域水道企業団関係費3億730万円余、甲第16号議案令和4年度岡山市水道事業会計予算支出第1款水道事業費用、第1項営業費用、第2目受水費中21億円余、第2項営業外費用、第2目他会計繰出金1869万円です。
毎年過大な受水に市民の大切な税金を注いでいることを問題だと指摘させていただいています。受水に切り替えるために休止するか、受水が5000t増えるのに21億円の受水費が変わらないことが明らかになりました。それは言い換えれば、今使っていない5000t分も払っていることになります。
このまま支出を続けていくと厳しい水道財政を圧迫し、水道料金の値上げに直結することにならざるをえません。
特に苫田ダムからの受水に切り替えるために、令和6年から瀬戸町大内浄水場を休止にし、供給する範囲が広がることで、配水しやすくするために、作らなくてもいいポンプ場を新たに建てるなど余計にお金がかかる結果となっています。
瀬戸町のある住民の方は「今、水道工事が始まっているけど、今まで安全安心の水源があったのに何で苫田ダムの水に切り替えないといけないのか、この前も水質に問題があったそうだが、おいしくない水を飲まされてこれで水道料金が上がったりしたら、困る。合併してもいいことがないじゃないか」とおっしゃっていました。
この声を真摯に受け止め、まだ着手もしていない2期工事は白紙に戻し、この際、水道事業会計の赤字削減のために負担の見直しをはっきりと求めるべきだと申し上げてこの予算に反対をします。

≪自衛隊への個人情報提供≫
次に自衛官募集事務関係についてです。
甲第3号議案令和4年度岡山市一般会計予算の歳入第19款国庫支出金、第3項委託金、第2目総務費委託金の自衛官募集事務費委託金49万9千円及び関係歳出は、市が自衛官の募集を行う事務費です。
法定受託事務ということで市は毎年、自衛官募集事務を請け負っていますが、義務ではないことは明らかです。外交や防衛は国の専管事項だと市はいつも言っているのにこれだけは請け負うというのは矛盾しています。
その上、昨年から18歳と22歳になる市民の宛名シールを作成し自衛隊に提供することをしています。今年も市民の広場にそのことが掲載されてから多くの反響が私たちのところに届いています。「自分の知らない間に自分の情報を市が自衛隊に送っていたなんて許せない」と昨年は気づかなかったという方から意見がありました。
嫌な人は申し出るという姿勢でなく、情報が欲しい人は申し出てもらいその情報を自衛隊に提供することが、本来市民の個人情報を守るという立場に立つことが市の役割です。
本人の同意なしに勝手に個人情報を提供するのはプライバシー権を侵害していることであり憲法違反だとの声もあります。よってこの予算は認められません。

≪ごみ袋有料化≫
次に家庭ごみ有料化に関わる予算です。
甲第3号議案令和4年度岡山市一般会計、歳入第18款使用料及び手数料、第2項手数料、第4目衛生手数料中、家庭系ごみ処理手数料9億7902万円余、同じく歳出第4款衛生費、第5項清掃費、第1目清掃総務費中、家庭系ごみ有料化事業費3億3千万円、同じく第2表債務負担行為中、家庭系指定ごみ袋作成経費1億3651万円です。
家庭ごみ収集は自治体固有の事務であり、そもそも有料化すること自体に私たちは反対をしています。
市民と一緒になって地球温暖化防止や脱炭素社会の形成に取り組まなければならないときに、ごみ袋の有料化で減量化を誘導することは、この10年間で頭打ちとなった減量化の実態が間違いだと示しているのではないでしょうか。有料化のインセンティブが今は働いていないことを直視し、方針を見直す時期だと考えます。
そして、市民の暮らしが大変な今こそ、ごみ袋を無料に戻すべきです。地球温暖化防止の観点からも、分別の徹底や、生ごみのたい肥化などのリサイクル化で年間のごみの焼却量20万トン以下を目指し、焼却炉を減らす方向を掲げるほうが現実的だと提案し反対とします。

≪斎場関連≫
次に斎場関連の予算です。
甲第80号議案歳入第26款市債、第1項市債、第4目衛生債中、斎場整備事業費充当14億6000万円、同じく歳出第4款衛生費、第1目保健衛生費、第30目火葬場費中、瀬戸内市新火葬場整備事業費1億6800万円は、瀬戸内市の新火葬場についてです。
現在、東山では20炉が14炉に減っていますが、年間火葬数は対応できています。北区の富吉の新斎場ができるまでは、東山と西大寺斎場とで対応できていました。新斎場が出来てもまだまだ利用実態が低いのは当然ではないでしょうか。将来の利用予測が一時的に過大になることがありますが、それは運用でカバーできると考え、これ以上新しい斎場は不要だと考えます。
最初から岡山市が多額の税金を使うより、瀬戸内市の斎場を利用された市民に対し火葬代を補助するほうが税金投入も少なくて現実的だと指摘します。
また、岡山北斎場については、賛成した方々で作る推進協議会の要望の工事が残っているのでの反対をします。

≪アリーナ整備≫
次に、アリーナ建設に関わる予算です。
甲第3号議案岡山市令和4年度一般会計、第2款総務費、第1項総務管理費、第46目調査委託料500万円についてです。
今回はトップアスリートのため、もともと民間が建設に向けて動き出しているものです。
今はコロナ対策が最優先であり厳しい市民の生活状況と、市の財政状況を鑑み、公費負担とすることには、無理があると考えます。よって反対をします。

≪市立園の廃止・民営化≫
次に市立の幼稚園、保育園廃止民営化に関する予算です。
甲第3号議案令和4年度岡山市一般会計予算、歳入第26款市債、第1項市債、第3目民生債中、保育園・幼稚園一体型施設整備費充当8億4220万円中、幼稚園と保育園の合併でこども園となる庄内こども園、浦安・芳泉こども園、西大寺認定こども園、民営化廃止となる西大寺南、大元、豊、財田に関わる予算。同じく歳出第3款民生費、第10項児童福祉費、第16目認定こども園費中、認定こども園整備費7億700万円と、同じく第2表債務負担行為中、浦安幼稚園・芳泉幼稚園幼保一体型認定こども園施設整備事業について。そして関連の甲第36号議案岡山市立認定こども園条例の一部を改正する条例の制定についてです。
待機児童はほぼ解消と言いながら、一次調整でも未入園児童が1152人もいることは深刻です。第3希望まで書いて入れなかった子どもたちは400人以上いるというのは、以前の待機児童が多かった待機児童800人の時の基準でカウントすると、その数が400人になっただけということで、根本的に解決できていません。
それなのに、まだまだ保育園が必要な時に公立園をどんどん廃止することが、子どものためなのでしょうか。
市立園は市有財産であり、市民全体の財産です。しかし市は、住民への説明や決定を一部の役員の一部の推進協議会に負わせ、市としての説明や合意形成の努力を果たしているとはいえません。
地域での子育てが望まれている今、むやみに廃止民営化はやめていただきたいと考えます。

≪学校給食≫
次に学校給食についてです
甲第80号議案令和3年度岡山市一般会計補正予算(第8号)、歳出第10款教育費、第30項保健体育費、第15目学校給食費中、学校教育施設等整備基金運営費1481万円余、同じく基金積立金1635万円余。甲第3号令和4年度岡山市一般会計予算、歳入第26款市債、第1項市債、第10目教育債中、学校給食センター建設費充当1億3730万円、歳出第10款教育費、第30項保健体育費、第15目学校給食費中、学校給食施設等整備基金運営費1532万円余、学校給食センター建設費1億5770万円、同じく基金積立金729万円余、同じく第2表債務負担行為中、新岡山学校給食センター整備・運営事業、土地造成事業は、学校給食調理業務民間委託に関わる予算と、大規模給食センター建設に関わる予算。そして学校給食費を納める同意書を求めている予算についても、併せて反対をします。
学校給食はそもそも食育であり教育の一環です。そのため子どもたちにより良い給食を提供することが大切です。
今、こどもの貧困が7人に1人と言われています、家での温かい手作りのご飯の経験のない子どもも増えていると聞いています。だからこそ1日のうちの学校給食だけでも、近くで調理の匂いがして、出来立ての給食を子どもたちに提供し、温かいものを美味しく食べてもらう経験が何よりの教育だと考えます。
以前も紹介しましたが、東京都足立区は学校給食こそ子どもたちの育ちの根底だとして、すべての学校に直営の給食場を設置して食育に力を入れていきだしたことが、足立区を好き、足立区でずっと暮らしたいという子どもたちが増えたことにつながったとの立場で給食に力を注いでいます。直営自校方式が子どもたちにとってもいいという例だと思います。
しかし、岡山市は官民切磋琢磨ということで民間委託を生徒数の60%までということで進めています。以前市の中学校では民間の業者が新年度直前に人員不足を理由に突然撤退したことがありました。民間だとリスクが大きいということがこの件ではっきりしています。
それなのに、民間委託した学校に対して民営化で浮いたお金を基金に積み立て、その学校の設備投資に回すという、まさに馬の鼻先に人参的な発想のやり方までして民間委託を推進しています。よって基金の関連の予算にも反対です。
そして新年度予算には赤田の学校給食センターの老朽化建て替えに伴い、新たに大規模の7500食を見込んだセンターを移転建替えする予算も盛り込まれています。移送している時に、長時間で味や形が変わるということも聞いています、効率化ありき、予算削減ありきで大規模センター化を議論も深めずどんどん進めていく市教委に対して子どもファーストの姿勢がうかがえず残念でたまりません。
また、子どもの貧困が増えていく中で、学校給食費が払えない子どもが増えるのではと危惧をしています。子どもたちが安心して学校給食を食べることが出来るために学校給食を無料にする自治体も出てきています。それなのに岡山市は小学校の入学前に、保護者に納金の圧力になるような校納金の同意書の提出をまだ求めています。以上の理由でこれらの予算は認められません。

≪義務教育学校≫
次に岡山県で初の義務教育学校山南学園に関わる予算です。
甲第3号議案岡山市令和4年度一般会計予算、第10款教育費、第5項小学校費、第10目学校建設費中1億3531万円余は、山南学園の整備費用です。
これは少人数化が深刻になった山南地域の小学校区の地元要望を受けて、急に降ってわいたように4つの小学校と1つの中学校を統合して義務教育学校をつくるということで進められ、この4月開校に向けて渡り廊下の設置などの予算が、新年度予算に計上されているものです。
岡山市は小規模校に対しての具体的な方針を持たず、統廃合の基準になどの議論もしないまま、地元要望を理由に決定しています。現在ある小中一貫校との違いも明らかにしないまま、市教委としての方針もはっきりしないまますすんできました。
先日も閉校式がありましたが、どの学校も130年前後の長い歴史があり、閉じてしまう寂しさを感じざるを得ませんでした。
小中一貫校と違って1つの学校になるのですから結局教職員の数が減ることになり、統廃合としか思えません。

≪岡山市学力テスト≫
次に岡山っ子アセスについてです。
甲第3号令和4年度岡山市一般会計予算、第10款教育費、第1項教育総務費、第5目事務局費中、学力調査等委託5800万円、同じく第2表債務負担行為中、学力調査等委託5800万円は、岡山っ子アセスに関わる予算です。
もともと岡山アセスが、市の教員が手作りで子どもに合った問題を考えるというスタンスでしたが、この予算から業者に丸投げされます。その理由としてクロス集計が困難だとか、教員の負担軽減が挙げられています。
しかし結果的に、全国学力テストと実施日も同じになり、子どもたちにとっては毎年テストがあることになります。テストのためのテストだと以前から指摘していた通りになっていきます。
子どもたちにしっかりわかる教育を保障するためには教職員を増やすことと少人数学級にすることが求められます。アセスをやめ予算をそちらに回すことを望みます。

≪後期高齢者医療費≫
次に後期高齢者医療費に関することです。
甲第12号議案令和4年度岡山市後期高齢者医療費特別会計予算については、値上げが含まれています。
令和2年の時は、コロナ禍で均等割り額も所得割率も据え置かれていたのに今回は、均等割り額で900円、所得割率で0.33%、保険料額で1579円の値上げとなり、後期高齢者の25.3%の方に影響する結果となります。
ある高齢者は「そうでなくても年金が減らされ続け、生活が大変なる高齢者の方へ値上げは長生きするなと言われている気がする」と私に言いました。
この値上げは広域連合議会で決定されていて岡山市が独断で決めることはできませんが高齢者の暮らしぶりを考えるとみとめるわけにはいきません。

≪新市基本計画≫
最後に甲第76号議案岡山市・建部町・瀬戸町の新市基本計画の変更についてです。
今回の変更は、合併政令市の時の新市基本計画の建部町・瀬戸町のみの事業ではなくこれまで私たちが反対していた、公立幼稚園・保育園の統廃合や山南学園、学校給食センターなどの事業が入っているということで賛成しかねます。

以上、反対理由を縷々述べさせていただきました。議員の皆様のご賛同をお願いいたします。