議会質問・ニュース

【議案の討論原稿】 24年月6定例岡山市議会(やどめ和子)
[ 06月25日 ]

【確定】議案討論(宿女240625)


 

 日本共産党市議団の宿女和子です。会派を代表して、委員会付託された38議案のうち,甲第101号議案、令和6年度岡山市一般会計補正予算(第2号)と、甲第137号議案、事業契約の締結について、の2件に対し委員長報告に反対の立場で討論させていただきます。

 まず、一般会計補正予算の中の競技スポーツ振興事業費2,000万円についてです。
今議会の中で、新アリーナ整備について不安や懸念の声が多く出されました。それを受けて、大森市長は財政の健全性や、アリーナ整備の必要性について答弁をされました。全て一般財源から出すわけではなく、仮に今の145億円という総事業費で試算すると、約3分の1は国の費用だということです。ということは、民間が出したとしても、このままだと、残りの約90億円は市の一般財源や借金で出すということになります。民間の費用負担割合が定かではない中で、国からのお金でも、一般財源でも、借金にしても、多額の税金が投入されることは間違いありあせん。

 30年間の償還で少しずつであれば出せない額ではない、とのことでしたが、市の通常債は年々増えていて、今年度は1,926億円になっており、令和3年度から321億円も増額しています。去年9月に出された岡山市の財政状況第25版には、「今後も少子高齢化の進展などによる社会保障関係経費や市有施設の改修・更新などに多額の経費を要する見込みであることから、財政指標の動向に留意する必要がある」「実質公債費比率についても、市有施設の更新・長寿命化などの事業量が増加すると、それに伴い比率が上昇することから今後も留意する必要がある。」などと留意点書かれており、決して余裕のある財政状況ではないと思います。

 また、新アリーナはスポーツ施設の充実ではなく、まちの賑わい創出のため、という答弁もありました。プロスポーツの応援、市民が使えるアリーナ、そういった当初の話から、エンターテインメントの拠点として、いつの間にか目的が変わってしまいました。

 そして、賑わい創出に市がお金をかけていくことが、若者の流出を抑える「人口のダム効果」につながるということも言われていましたが、アリーナが人口流出のダムになるというのは、何を根拠にしているのでしょうか。大都市への若者の流出要因は、仕事や賃金など経済的要因が大きいと言われています。所得格差が広がる昨今、若者にとっては安定して暮らしていけるだけの収入が得られる、ということこそが大きなポイントではないでしょうか。人口が増えている自治体は子育て支援や暮らしの充実に力をいれています。市が人への投資に力を入れ、暮らしを支えることも、若者の大都市への流出を抑えるために必要なことだと考えます。

 また、この事業を市が進めていかないとなると、岡山にとって大きなマイナスが生じてくると言われますが、人口減少で少子高齢化が進む中、長期的な視点で運営面や修繕費用など、大型公共事業が将来世代の負担を増やすリスクもあります。札幌ドームはプロチームの移転によって大きな赤字となっています。席数や規模の拡大で採算が合うという保証はどこにもありません。利用料の価格帯も上がってしまい、市民は使いにくくなるというデメリットも考えられます。全国のアリーナラッシュの中で、岡山の新アリーナに大規模な大会やイベントが継続的に来てくれるとは限りません。採算が合わなければ、運営費用や修繕費を市が負担することも十分考えられます。

 アリーナでのスポーツ観戦やコンサートが、新たな賑わいにつながることは否定しませんが、他都市の事例を見ても、民設民営で設置したところや、民間もしっかりお金を出して公費負担を減らしている事例もあります。これまで、新アリーナ整備にかかる調査費用は、必要性も含めて調査する必要があるので、反対をしてきませんでしたが、今回の調査費は経済界の要望に応えるかたちで、規模拡大をする方向で市が追加調査をするものです。民間が独立採算をするための調査であれば、これは民間が出すべき費用だと思うので、予算に反対をします。今後、アリーナ整備の計画が進んでいったとしても、市が支援をするのは予定地の無償提供のみで十分です。

 そして、そもそも市民の中に、多額の税金投入を前提としたアリーナ整備を望む声がどの程度あるのか、そこを明確にするために、今後市が行う新アリーナ整備に関する意識調査については、広く公平な方法で実施すること、アリーナ整備ありきではなく、若い人の考えや行動がつかめるものにすることを要望します。

 昨年度岡山市が実施した中高生アンケートの、自由記述の欄の回答は、様々な角度から子どもたちの声、意見が寄せられていて、岡山市をより良くしていくためのヒントが沢山書かれています。行政に関わる全ての方に見てもらいたいです。その中の一つに「新アリーナを建設する前に、公園の設備(特にトイレ)や学校などの教育現場に使う、「人への投資」を進めてほしい。」という意見もありました。経済界いいなりではなく、暮らしや営業が大変な市民の声にこたえ、使い方を見直してください。

 次に、新給食センターの事業契約についてです。これは、中区海吉に新たに建設を予定している新しい給食センターの設計・建設費と、15年間の運営・管理をすべて含めた契約になります。

 現在の赤田の給食センターの老朽化にともない、令和2年3月の子ども・文教委員会で、大型化するかどうかの審議がされました。私たちは同規模の建て替えは必要だと考え反対はしません。

 しかし、移転建て替えを計画する際に、これまで単独調理場だった7校も合わせて、全部で12校の給食を作り、配送するセンターにするのか、これまでの5校のみの配送で、その他は単独で調理場の改修・建て替え工事などをして、自校調理を続けるのか、15年間のトータルコストを比較していました。最終的に、バラバラですると約81億円かかるところが、センターにまとめると約67億円で出来て、約13億円のコストメリットがある、という試算のもと、大型センター化が決まった経緯があります。

 今回いよいよその請負企業が決定する契約となりますが、ここで出てきた契約費用はなんと税込み101億2,770万3916円。当初の約67億円の試算よりも約33億円も増額した契約金額となっていました。急激な円安や人件費の高騰で、ある程度の増額は避けられないと思いますが、建設費はプラス9億円、運営費用はプラス16億円の増加になっています。4年間の物価高騰等を加味したとしても、ここまでの増額にはならないはずです。計画当初から大幅な変更点があったのか、なぜこのような増額になったのか、当局へ説明を求めましたが、当時は同規模のセンターの費用を参考にしたため、実際に積み上げた数字ではない。岡山市に必要な機能やコストを積み上げたらこうなった。という答弁で、センターへの集約化ありきの机上の費用比較となっており、まったく納得しがたいものでした。

 各学校での自校調理を続ける場合の運営費用は、委託料の積み上げで計算ができると思うので、さほど誤差は出ないと考えます。現在のこの契約金価格で比較をしたときに、本当にコストメリットが出るのか、疑問が残りました。当初コストメリットがあるとしていた大前提が崩れているので、この契約議案は撤回し、費用比較を改めて早急にやるべきだと考えます。

 また、事業を請け負う株式会社岡山スクールランチパートナーズの構成企業は、7社中岡山の業者は2社のみ。長期的な運営・管理は県外の企業が担うことになります。入札で競合した岡山の企業が多く入ったグループは、点数が及ばす請け負うことは出来ませんでした。15年間で101億円という巨額の費用が動く事業ですが、地元雇用をしたとしても、労働者は低賃金でのパート雇用が多く、利益は元請けの他都市の法人へ流れ、本社がある自治体に法人税を納めることになるのではないでしょうか。公共事業の民間開放によって、足元のお金の流れが変わり、岡山で暮らす方のプラスにはなりません。それは、結果的に人口流出にもつながっているのではないでしょうか。

 学校給食という公共性の高い事業は、市が直接雇用を保障し、人件費をコストとみるのではなく、人への投資と考えることが重要です。また、こども達にとって給食は、調理の最中の匂いや、栄養士さんや調理員さんの顔の見える関係、出来立てを味わえるよさなど、コスト面以外にも比較するべき重要なポイントがあります。日本共産党市議団は、学校給食は教育の一貫であり、自校調理をなくすべきではない。という立場でこれまでも反対をしてきました。よってこの契約についても反対をします。

 また、今後、岡山市全体の小中学校の調理場の整備計画を立てていくことになっていて、中学校はセンター化をしていく方針ですが、今回のようないい加減な試算や比較を市民に示すべきではありません。具体的な費用をしっかりと検証することを求めます。

 以上、議員の皆様のご賛同をお願いし,討論を終わります。