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日本共産党市議団 宿女和子です。会派を代表して,本議会に上程された32件の議案のうち、甲第142号「令和7年度岡山市後期高齢者医療費特別会計補正予算(第1号)」、後期高齢者医療事務事業6,600万円について、委員長報告に反対の立場で討論します。
政府は2024年6月、「異次元の少子化対策」を掲げ、「子ども・子育て支援制度」を創設しました。これは、18歳以上の全ての国民から、「子ども・子育て支援金」を医療保険料に上乗せして徴収するものです。2026年度を皮切りに、その後三年間増額されることまで決まっています。
今回上程された事業費は、この新たな制度に対応するため、後期高齢者医療制度のシステムを改修するためのものです。
徴収された支援金は主に児童手当の財源として使われますが、制度導入を機に国の負担割合が大きく減らされます。「しんぶん赤旗」によると、3歳未満を養育する被用者世帯で、国負担33.5%から負担ゼロに、3歳未満の非被用者世帯で国負担66.7%から26.7%に、3歳以上で国負担66.7%から44.5%にそれぞれ減少します。政府は「支援金」制度で”新たな国民負担は求めない”としていましたが、実際のところは保険料に上乗せという形で負担を増やし、児童手当の国負担を後退させるものとなっています。
また、後期高齢者医療保険料は、今期も引き上げられてきました。引き上げ分の7割は、出産育児一時金の一部と、若年層の負担軽減分として、新たに後期高齢者の皆様に負担を求めるものでした。なぜ、子育て支援のための負担が、物価高に苦しむ高齢者に押し付けられるのでしょうか。
現在、岡山市民の後期高齢者約10万人のうち、56.9%が課税所得なし、さらに24.3%が課税所得100万円以下という厳しい実態があります。物価高騰の負担増に対し、増えた年金は、ひと月わずか数百円。日々の食料品を切り詰め、エアコンの使用を我慢するといった形で、心のゆとりまで削られているのが現実です。こうした状況にもかかわらず、さらに新たな負担を強いることに、私たちは断じて賛成できません。
委員会では、所得に応じて軽減措置が設けられるのか質問しました。しかし、その答えは「まだどういった形で軽減されるか分かっていない」というものでした。
子育て支援の重要性は、私たち誰もが認めるところです。しかし、際限なく増え続ける軍事予算や、大企業にばかり優遇する様々な減税措置を見直すことなく、子育て支援だといって国民へ負担を増やし、世代間を分断させるやり方は根本的に間違っています。
国民の暮らしを圧迫する値上げを実施するこのシステム改修の予算には、断固として反対します。そして、制度の導入によって、子育て支援への国の支出を減らすという財源のあり方を根本的に見直すよう、強く政府に求めることを提案します。
議員の皆様のご賛同をお願いいたしまして、私の討論を終わります。