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日本共産党岡山市議団の林潤です。
大森雅夫市長4期目のまちづくりについて、会派を代表して質問します。
KSBは、市長選挙でアリーナの白紙撤回を訴えた3候補の合計得票数は、有効投票数の56.8%を占めていたことを踏まえて、岡山大学の中村良平名誉教授が、改めて市民の合意を得ることが重要だと指摘したと報じています。(10月9日報道)
山陽新聞のアンケート(10月23日報道)では、アリーナ建設について54%超が反対、賛成は29%でした。
伊原木知事は、市長選の結果やマスコミのアンケートから、前向きに進める変化がない、むしろ後ろ向きのデータが出てきた、と10月29日の記者会見で述べられています。客観的な数字からの発言です。
市長は、第6回アリーナ整備検討会議を受けて「アリーナ整備が必要ではないかという声がすべてだった」と発言されていますが、アリーナを進めるための会議で賛成の声ばかりなのは当然です。市民全体の声の反映ではありません。
アリーナ建設を求める署名が始められた時は、事業規模は今のものではありませんでした。財源も示されていませんでした。規模拡大の内容や運営と財源の見通しなど、事実を広報して、民意を真摯に捉え直すべきです。
そこで質問です。
ア 市長選挙の票数やマスコミの調査からアリーナに反対する市民が多いことをどう受け止めていますか。建設の是非から議論しなおすべきではありませんか。
市民の声をお聞きしているとサッカーを期待している場合が多々あります。アリーナは屋内スポーツ施設であり、サッカーはできないことを知ると反応が変わってきます。
イ 署名が50万筆を超えたスタジアムとの世論の盛り上がりの違いをどう考えますか。
ウ 今議会に住民投票を求める陳情が出されていますが、市として市民のアリーナの是非を把握するべきではありませんか。
エ 建設を決定してから、市民に周知するのではなく、理解が得られたら、それから進めるべきではありませんか。ご所見をお示しください。
オ 急いで補正予算で提案する理由は何ですか。
同規模の施設から費用を推計するやり方では、実際には当初の話を大きく上回った学校給食センターと同じことになる恐れがあります。物価高騰と合わせて280億円では収まらないと考えます。
質問です。
カ 物価や人件費の上昇で事業費が増加する可能性をどう考えていますか。
キ 追加調査で280億円規模になった時からの物価指数の状況はどうなっていますか。
ク 設計の結果、市の負担額が増加する場合は中止すべきではありませんか。
財源の問題もあります。市は寄附目標50億円のうち27億円の確約が取れたとしていますが、46%はまだです。
達成しても事業費280億円の18%です。今議会に提案されている建設に向けた予算を含めると割合はさらに低下します。
寄付金を集める方法として、集めた事業者が寄附額の10%の手数料を受け取る予算が出ています。
質問です。
ケ 27億円は手数料の対象ですか。
コ スポーツ団体と商工会議所も手数料を得る事業者になり得ますか。なった場合に手数料を得ることに市民の理解が得られると考えていますか。
サ 市と商工会議所が独自に得た確約はそれぞれいくらですか。
市が手法として一番の候補としているBT+コンセッション方式は、事業者の裁量が大きく、事業者が採算事業を重視すると公の目的が変質する恐れがあります。
運営事業者が建設費を捻出するためには、採算性をより重視しなければなりません。採算の柱はコンサートの会場収入です。出発点の地元プロチームの試合や市民利用よりコンサートを優先する動機付けになります。
質問です。
シ アリーナ整備運営事業者選定支援業務委託の内容をお示しください。
ス 運営事業者の採算と料金割引は相反します。市民利用のための低廉な使用料の設定や使える時間枠の確保をどうするのか、メインアリーナとサブアリーナのそれぞれについて、お示しください。
セ 事業者が市の建設費の負担軽減ではなく、事業規模の拡大を提案することもできます。そうなると将来負担が増えるリスクが拡大します。提案された場合、是非の判断はどのように行いますか。
11月11日から13日にかけて、にぎわいの拠点づくり調査特別委員会で他自治体のアリーナやスタジアムを視察しました。愛知県のアリーナは老朽化した施設の建て替えであり、近接する名古屋城周辺の名城地域のにぎわい創出と合わせて議論されていました。京都府のスタジアムは50万筆近い署名に応えて、候補地を公募し、建設場所は調査委員会で複数から絞って決めていました。天然記念物アユモドキのために計画変更もされました。どちらも自治体の事業として、主体的な検討を経てつくられていました。
岡山市のアリーナは、作ることも、場所も、規模も、経済団体の言いなりです。
質問です。
ソ スタジアムとアリーナを含めたスポーツ施設の、住民の願いに沿った効果的な整備のためには県と協議をする必要がありませんか。
市長選を通じた世論調査で市民の関心が高かったのは、医療と福祉です。
学校給食の無償化や上下水道の維持・更新、子どもの医療費の無料化拡大も論点になりました。
質問です。
ア 引き上げの余地がある子どもの医療費を18歳まで完全無料にしませんか。
イ 学校給食無償化を実施しませんか。報道されている国の無償化の基準額では、岡山市の食材費に足りません。議会としても自治体の持ち出しはないようにすることを求めていますが、市として保護者負担なしの無償化を考えていますか。
依然として物価高騰対策も重要です。帝国データバンクの調査によると、2025年の飲食料品値上げは、合計2万609品目となりました。前年の実績(1万2520品目)を64.6%上回り、2023年(3万2396品目)以来、2年ぶりに2万品目を超えたということです。
国としては当然、市としても支援策が必要です。物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金は、市民の暮らしへの直接の支援策に使うことを求めます。決算剰余金も充てるべきです。
質問です。
ウ 物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の岡山市分の額の見通しと使途の考え方をお示しください。水道料金の基本料金の無料化にも使ってはどうですか。
エ 農業資機材の高騰分を補助しませんか。
オ 決算剰余金はいくら残っていますか。使途の考え方をお示しください。
昨今の物価高は、2021年後半頃からの食料品やエネルギーなどの値上げを皮切りに、さまざまなモノやサービスの値上げへと広がったとされています。
カ 物価高騰対策は、対前年比ではなく物価高騰前の2021年にしませんか。国基準に合わなければ、決算剰余金を活用しませんか。
また物価高騰の下、買い物の出費をほぼ1割増しにする消費税の重さが大変です。夏の参議院選挙では多くの野党が消費税の減税や廃止を訴え、自民党の候補の中にも消費税減税の声がありました。給付金や使途が限定された金券は効果が部分的、一時的です。消費税の減税は、実質的な値下げになり、すべての人に及ぶ暮らしの支援策になります。
質問です。
キ 実質的に物価を引き下げる効果がある消費税の減税を政府に求めませんか。
市長は市民のわくわく感を強調されます。
その条件は、立派なスポーツ施設があるとか、賑やかな行事があるとかではなく、若い世代が自分自身の将来に展望を持つことができ、高齢者も安心して暮らせる制度が充実することだと考えます。
将来展望を持つには、安心して生活できることは重要な条件です。
岩手県では、昨今の物価高騰により、物価の上昇に実際の賃金の上昇が追い付いていないことを踏まえ、県内の中小企業等の賃上げの加速化を図り、中小企業に必要な人材を確保していくため、従業員の賃金を賃上げ月の前月と比較して1時間当たり60円以上引き上げている企業に対して「物価高騰対策賃上げ支援事業」を実施しました。
質問です。
ア 岡山市でも独自の賃上げ支援を行いませんか。
イ 若い人が住み、働いてくれるように、市内での勤務や居住を条件にした奨学金返済の支援制度をつくりませんか。
命を支える制度の充実は、すべての人にとって暮らしの安心に繋がります。
ウ 国民健康保険料を引き下げませんか。
市民から中心部偏重という声を聞きます。党市議団は、住みたいところに住み続けられるまちづくりを提案してきました。
質問です。
ア 支所、地域センター、公民館に専門の担当職員を置いて、中学校区ごとに子育て支援から高齢者福祉まで、全世代の相談に対応するワンストップ窓口を設置することについて、ご所見をお示しください。
イ 7次計画の交通不便地域の人口解消について5年で2万人減の目標では不十分ではありませんか。地域交通など解消策の整備までタクシー券を配布してはどうですか。
市はPark-PFIを推進する条例案を示しています。
Park-PFIは、民間事業者が公園で事業を行い、その収益を公園整備に使おうというものです。市民に開かれた公共の場を特定の事業者に占有させることになります。事業優先で公園の目的や機能が阻害される懸念もあります。例えばカフェが作られて、ボールが飛んできたら困るから禁止、などとなったら本末転倒です。
公園を設置する目的は、人々のレクリエーションの空間、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、都市の防災性の向上、生物多様性の確保、豊かな地域づくりに資する交流の空間の提供です。
質問です。
ウ 公園で便益施設の建ぺい率が2%に制限されている趣旨と公園の公共性についてご所見をお示しください。公募対象公園施設の建ぺい率緩和の影響をどう考えていますか。
エ Park-PFIありきではなく、公園の活用とにぎわい創出は、市が市民と相談して行うべきではありませんか。
オ 対象となる公園はどれかお示しください。
市長は、待機児童は解消したとしていますが、認可外の52の企業主導型保育施設および18の特認登録保育施設に入っていたら、待機児に数えられません。
2016年まで岡山市は待機児童ゼロとしていましたが、大森市長は、国の定義に沿って待機児童をゼロとしていたのは、市民の実生活や市民ニーズとかけ離れたものであった、として、希望園を3園書いても入れなければ待機児童にするよう、取り扱いを見直されました。国の定義で待機児ゼロと言えば言えたものを、待機児童がいることを認めて、対応を進められました。私たちは、それまでの岡山市の言う保留児を待機児童と認めるように求めていました。その点で大森市長の判断を歓迎しました。
今も希望する園を3園書いても希望する認可施設に入れない、未入園児がいます。今度は、企業主導型保育施設や特認登録保育施設に入っていたら待機児から外せる国の定義を利用して「待機児ゼロ」と言うわけです。ここは初心に返って見直していただきたいところです。
本来、保育は施設と体制が整っている認可施設で受け入れを確保すべきです。
質問です。
ア 2016年の待機児ゼロの見直しに立ち返って、希望する子どもはすべて認可施設での受け入れに目標を改めませんか。
第3次岡山市環境基本計画及び生物多様性おかやまプラン、岡山市地球温暖化対策実行計画(案)のパブコメが行われています。岡山市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画は本年度に終期を迎えます。
党市議団として、ごみ減量を進めて焼却を減らして、二酸化炭素の排出も減らすよう、提案してきました。ところが当新田環境センターの大規模改修が示されています。大規模改修をすると、さらに相当の期間に渡り、焼却炉を使用することになります。
質問です。
ア ごみ減量計画を明確にし、当新田環境センターの改修は廃止を見越した内容とすべきです。ご所見をお示しください。
岡山市の市有施設の二酸化炭素の排出削減の中心は、電力会社に頼っています。2030年度の削減効果として32,883トンのうち74%が電力排出係数によるものです。
市有施設への太陽光パネルの設置促進やごみは資源化し、焼却を減らす、証明のLED化でエネルギー使用を減らすための取り組みをさらに進めることが大切です。
イ 二酸化炭素排出削減は、電力会社頼みではなく、市有施設への太陽光パネルの設置促進など、市として再生可能エネルギーの活用で進めるべきではありませんか。
ウ 新庁舎と可燃ごみ広域処理施設の整備でどれだけのCO2削減を見込んでいますか。
PFASの調査は続けられてはいますが、情報発信が遅れていると感じます。
三谷川の調査では、5月に比べて8月は多くの地点で数値が上がっています。指針値一リットル当たり50マイクログラムのところ、700を超えた地点があります。市民への説明や原因究明の加速化が必要だと考えます。上流域で土壌調査をして、発生源を絞り込んでいく取り組みをしないと原因究明はできません。
質問です。
エ 河川と地下水のPFASの数値の変化の評価と汚染源調査の進捗はどうなっていますか。
オ 上流域の土壌調査の状況をお示しください。
カ 検査結果をホームページに載せるだけでなく、質問ができる説明会を開くことについて、ご所見をお示しください。
岡山市でも不登校が課題です。
全ての子どもの育ちと学びのために子どもたちが尊重されていると実感できる学校にしていかなくてはなりません。過度な競争に駆り立てられたり、納得できないルールに縛られたりしていては、行きたくなる学校にはなりません。
市長の提案理由説明で、教育予算を増やしてきたことが触れられていましたが、例示されていたのはハード整備ばかりでした。子どもたちへの対応のためには、教職員の体制充実が欠かせません。
質問です。
ア こどもの意見表明権と岡山市こどもの権利に関する条例を第4期教育振興基本計画と教育大綱に位置づけませんか。
イ 正規教職員の増員を第4期教育振興基本計画に明示すべきではありませんか。
ウ 困っている子どもと家庭を支援する福祉の専門家としてスクールソーシャルワーカーを学校に常駐させることについてご所見をお示しください。
教職員の不祥事が市民的な関心事になっています。ストレスフルな職場環境の改善が重要だと考えますが、個々の教職員の状況把握と対応も必要です。
質問です。
エ 不祥事、特に未成年への性加害を起こさないように、カウンセリングやセルフチェックで自覚していない要因を認識し、対応ができるようになっていますか。その他、どの様な再発防止策を実施していますか。
オ 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律第19条に基づき、医療、心理、福祉及び法律に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、当該報告に係る事案について必要な調査を行うための仕組みを作ってはどうですか。
市は、第七次総合計画の策定と、農林水産振興アクションプランの改定を進めています。農林水産振興アクションプランでは、「岡山市の農家戸数は8,498戸で全国5位と多いものの、販売農家1戸当たりの経営耕地面積は1.45haと、全国平均2.54ha(北海道を除く)を下回っており、比較的小規模農家が多いと言えます」とし、基幹農業従事者のうち65歳以上は8割を超え、平均年齢は全国より高いとも示しています。
国は、農地集約や大規模化、ICT活用を進めていますが、岡山市では実情にかみ合った方針と施策が必要です。
私たちは農業関係者の皆さんから「小規模農家が続けていけるきめ細かい支援をしてほしい」「米作では新規参入しようにも機械が高額で厳しい」といった声を聞いています。
岡山市は農業生産額が政令市の中で4番目、全国の市町村別で65位と上位です。市の産業として、何より食と環境の根本を守る国の基幹産業として支えることが大切です。
農業機械の補助と販路の確保として学校給食の食材調達で、農業を守り、地産地消を進める取り組みを提案します。
質問です。
ア 岡山市の農業予算は長年減少傾向です。当初予算比でみると24年度に2%を割り込み、25年度は1.69%です。施策強化のために予算を増やしていくべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。
イ 小規模農業者への支援として、機械等の購入や更新に補助しませんか。
ウ 施策の推進にあたっては、規模、生産物、地域ごとにさまざまな関係者の声を聞くことが重要です。小規模な座談会をあちこちで開きませんか。
エ 第七次総合計画の政策13、施策④では、環境にやさしい農業と食料の安定供給体制の構築を打ち出しています。これまでの議会の議論では、オーガニック食材については、コスト面で販路拡大に苦慮という生産者の声などが言われていました。施策を実行するために、新たに考えていることがあればお示しください。
高槻市では市内を6つとか8つとかの区域に分けて、規模の小さい生産者からも食材の調達ができるようにしているそうです。地元の生産者からの調達を農業振興策に位置付けることは、学校給食にとっては地産地消の取り組みになり、生産者にとっては、安定的な収入源になると考えます。
オ 岡山市でも市内をいくつかの区域に分けて食材を納入してもらうなどの中小規模の生産者から調達する制度についてどう考えますか。
ニューヨーク市長選でトランプ大統領から「共産主義者」と呼ばれたマムダニ氏が当選しました。
富裕層への課税を掲げたことが支持されました。背景には、資本主義自体に対する疑問の広がりがあります。
富裕層の所得は勤労より資本を持つことで生み出されています。汗水流して得た勤労所得より、株式配当や利子で得たお金の税率が低いというのがおかしい話です。
日本共産党が指摘した、高額所得者の税負担率が下がる一億円の壁は他の政党も問題にするようになっています。
お金のあるところに応分の負担をしてもらい、社会全体、とりわけ困っているところへ回すのが税と社会保障の役目です。
自衛隊の機関紙とも言える『朝雲』11月20日付で、マルクスの資本論の入り口を解説した書籍『Q&A いま資本論がおもしろい』が紹介されました。資本論は、資本家が儲ける搾取の仕組みを明らかにするとともに、資本主義が人類の社会の最終形態ではなく、次の社会に移行する展望を示した書物です。
格差の拡大の根底に資本主義の矛盾があることを感じる人々が増えています。それがマムダニ氏の当選や資本論が話題になることに表れていると思います。
富の源泉は労働だ、と明らかにしたのが資本論でした。汗水流して働く労働者から富が生み出されるのに、資本家の取り分になるのが搾取です。
資本主義の下で働く人から奪われているのは生み出した経済的な利益だけはありません。自由な時間もあります。同じ賃金で、より長く働かせた方が生み出す富は大きくなり、資本家の取り分が大きくなります。儲けを増やすために労働者に長時間労働を求めるのが資本主義の本質であり、それだけ働く人の自由な時間は奪われてしまいます。
搾取を解消した自由な社会が資本論の展望する社会です。旧ソ連や中国の機械的な国有化や独裁的な政治体制は、資本論が展望する社会主義・共産主義とは別物です。
自由な時間が保障されてこそ、スポーツや創作・文化、地域での活動などで自己実現をはかったり、個人の様々な能力を生かしたりできるようになります。自由な時間は個人の発展の保障です。推しを追い掛けたり、試合を見に行ったりする時間は市民のわくわく感に繋がるでしょう。
質問です。
ア 巨額の不労所得を得ている富裕層への課税強化について、ご所見をお示しください。
イ 格差の改善へ、社会保障施策の充実が市の役目だと考えます。ご所見をお示しください。