議会質問・ニュース

(討論) 2019年6月議会 議案反対討論原稿(0702林じゅん)
[ 07月02日 ]

 

2日閉会した6月定例議会で日本共産党岡山市議団は、全56議案のうち4議案に反対し、林じゅん議員が反対討論で理由を述べました。

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日本共産岡山党議団を代表して、

甲第6号議案 岡山市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例の制定について、

甲第8号議案 岡山市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について、

甲第16号議案 岡山市消防事務手数料条例の一部を改正する条例の制定について、

甲第55号議案 岡山市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業等の利用者負担額に関する条例の一部を改正する条例の制定について、

の4件の議案に対して、委員長報告に反対の立場で討論します。

 

甲第6号議案は、マイナンバーの利用拡大に関する条例改正です。

マイナンバー制度に、日本共産党は導入の時から反対をしてきました。

目先の便利さを振りまいて、国が個人の情報を把握、管理しやすくする仕組みです。

プライバシー侵害が危惧され、導入時は利用範囲が制限されていました。ところが次々と利用範囲が拡大されてきました。

便利だから国民がマイナンバーカードを取得するのではなく、国民が取得してくれないから、取得せざるを得ない機能を持たせるなど、本末転倒です。マイナンバー制度の道理の無さを表しています。

個人情報の保護が重視される時代に、関連させる情報を拡大するのは問題です。

政府のやり方は、問題の拡大を小出しにしてくる後出しジャンケンのようなものです。

直接、事務を執行する地方からも反対の声を上げなくてはなりません。

よって、甲第6号議案に反対すべきです。

 

甲第8号議案は、市の非正規雇用を会計年度任用職員にしようとするものです。

本来は、非正規雇用の任用を明確化するもので、国は正規の職であるべきものは正規に、とも言っています。

岡山市で問題なのは、正規であるべき職を会計年度任用職員にしてしまうことです。

これまでは嘱託で、終身雇用ではないとしても、定年まで勤められる見通しがありました。長く勤めて市民サービスに貢献してきた嘱託職員が多数います。会計年度任用職員制度は、その展望を奪います。

市は、現在の職員については、現給保障をするとしていますが、市は毎年、採用試験をする、としています。雇用が保障されなくては現給保障も意味がありません。
経験は市の業務を遂行する上で大きな財産です。会計年度任用職員では毎年、断ち切られる任用制度になります。

特に、第一分類で図書館司書・学校司書、公民館事務等は子ども達との関係、市民・地域とのつながりのためにも継続雇用される展望が必要です。仕事に展望があってこそ、モチベーションも上がります。

これらの職は、大幅賃下げに繋がるものがあります。新しく採用される職員は、6年間は昇給があるとしていますが、これも雇用が継続する保証はなく、当然、昇給も当てに出来ません。生涯賃金が3千万円、減るとの見通しもあります。

例えば司書について、本会議でも委員会でも特に議論が行われました。本議会に市民の意見を聞き、しっかり議論して欲しい、と陳情も出されました。

専門性に誇りを持ち、毎年の子ども達の成長に寄り添ってきた学校司書は、本来は全てが正規職員であるべきです。

先月は北区と中区で学校図書館カフェが開かれました。

児童、生徒が本に親しみ、調べ学習をしたり、世界観を広げたりするために学校司書が果たしている役割が発表され、参加者からは期待の声が寄せられていました。

それが全て週35時間の会計年度任用職員にされてしまうと、学校図書館の開館時間にも、学校図書館を授業に活かすための教員との打ち合わせにも支障を来します。

学校司書の全校配置は、全国から視察が来る先進的な取り組みです。それが後退してしまいます。

短時間の仕事とされ、暮らしていける職として選ばれなければ、市の人材確保に支障を来します。人材確保が出来なければ、市民サービスが低下します。

また詳細な身分保障も時間数も定まっていません。条例化するには時期尚早です。

よって、甲第8号議案に反対すべきです。

 

甲第16号議案は、10月からの消費税増税に対応しようとするものです。

政府は消費税の増税分は、全額社会保障に充てると言ってきたのに、消費税を増税してもこの先、年金だけでは老後は2000万円不足する、との見通しを出そうとしました。ところが、国民の反発の前に金融庁の報告書自体を無かったことにしました。

消費税を増税しても、今の現役世代が年金を受け取る頃には、さらに引き下げる方針を変えようとしません。社会保障の不安が拭えません。

4月の統一地方選挙の最中に、自民党の萩生田幹事長代行は、「6月の日銀短観の数字をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、崖に向かい皆を連れていくわけにいかない。違う展開はある」と増税延期の可能性を指摘しました。

昨日、発表された6月日銀短観では、大企業製造業の景況感が2期連続で悪化し、2016年9月調査以来の低水準になりました。

同日に発表された消費者動向調査でも消費者心理が低下しています。9ヶ月連続の悪化です。

消費税の増税をしている場合ではありません。

明後日から始まる参議院選挙でも、消費税の増税ストップは大きな争点です。

市民への転嫁を今、決めるべきではありません。

よって、甲第16号議案に反対すべきです。

 

甲第55号議案は、いわゆる保育を無償化するための議案です。

低所得世帯の乳幼児と3歳以上の保育園や幼稚園、認定こども園に加えて認可外施設も保護者の保育料負担を無料にしようとするものです。

子育て中の世代の負担軽減のため、また「子どもができるとお金が掛かる」との不安を軽減して、少子化対策を進める上で意味はあると考えます。

しかし、本会議の質問と質疑、委員会審査で様々な問題が明らかになりました。

国が進めようとしている保育の無償化は、消費税の増税分を充てるとしています。まずはそこが問題です。

生活保護世帯は、もともと保育料が無料なので、消費税の増税の負担だけが加わります。

住民税非課税世帯は、月額3,500円の保育料が無料になります。一方で、消費税が2%増税されると、175,000円の支出に掛かる消費税の負担増が3,500円になります。夫婦に子どものいる世帯では、月にこのくらいの支出はありえます。保育料の無償化分は、消費税の負担増で消えてしまいます。

一方、所得階層が最高の層は、月額37,500円、年間では45万円の軽減になります。

安倍政権は、消費税の増税分は還元する、低所得者に配慮するようなことを言ってきましたが、低所得の人ほど負担が重い逆進性に輪を掛けることになっています。

保育の無償化は国の予算でおこわなれるため、市としては、国基準の保護者負担から独自に軽減してきた保育料14億円が浮くことになります。第1に待機児対策に充てるべきですが、明確な答弁がありませんでした。

そもそも保育料が無償になっても、入れなくて困っている人には何の恩恵もありません。

未入園児は1,467人もいます。ここにこそ手立てを取るべきです。

特に3歳児が保育認定を受けていない、つまり申し込んでもいない子どもを含めると1,700人もいるのが、岡山市の特徴です。

保育が無償化されたら入園させたい、と思う保護者が増えるでしょう。市立幼稚園の三歳児保育は、民業圧迫ではなく、市民のニーズに応える事です。ところが岡山市は市立幼稚園の三歳児保育を広げようとしません。それどころか、市立園の統廃合を進めています。

市立施設の役割は、まずは保育の受け入れの確保です。未入園児、待機児、これから予想される希望者の拡大に応える必要があります。

保育の無償化で、ますます公立施設の必要性が増します。
市は、市立施設の役割はセーフティネットだとしています。その点からも減らすべきではありません。本来、保育の一環であるべき給食費が無償化で切り分けられ、保護者負担とされ、施設へ保護者からの納付となります。

私立施設にとっては、滞納のリスクが増加します。リスク回避に動くでしょう。入園者の選別に繋がる懸念があります。

実質的に公金が給付される、認可外施設の保育の質の確保も大きな問題です。市はチェックする、としています。しかし抜き打ち検査をしようとしません。

子どもを簀巻きにしていた事案や給食が削れられていた事案は、抜き打ち検査でないと発見できません。質のチェックを抜本的に強化すべきですが、市の対策は不十分です。

よって甲第55議案に反対すべきです。

 

以上、各議案に反対すべき理由を申し述べました。

議員各位にご賛同賜りますよう、お願いいたしまして、反対討論を終わります。

ご静聴、ありがとうございました。