議会質問・ニュース

(質問原稿) 2019年9月議会 個人質問(190913竹永みつえ)
[ 09月13日 ]

 

※掲載している原稿は、最初の質問部分で、事前提出したものです。実際とは一部違う場合があります。

竹永みつえ 2019年9月議会 質問原稿

 


1 将来を見据えた行政の地域化について
~新庁舎建設、上道公民館・地域センター合築等に関連して~

(1)日常生活圏の行政サービスの整備について
新庁舎建設や上道公民館・地域センターの合築に向け、説明会などで、それぞれ様々な要望や意見が寄せられています。上道公民館・地域センター合築検討委員会の説明会では、住民票のことも、福祉のことも、健康のことも、道路のことも対応できるミニ区役所のような機能がほしいという意見も複数ありました。
また、先日ある研修会で、奈良女子大学中山徹教授が今後、住み慣れた地域で暮らし続け、人口減少を30%以下にとどめるためには、コンパクトではなく日常生活圏の整備が必要だと力説されていました。私も全く同感です。
ア 中山教授の提案は、生活圏は小学校区、生活圏に対応する行政組織出張所が必要で、そこには子育て支援担当、高齢者担当、障害者児・者担当、まちづくり・防災担当と5人程度職員を配置するフルセット型出張所がのぞましいとの内容です。この提案についてのご所見をおきかせください。
イ 将来的に中山教授の言うフルセット型出張所のような機能を地域へ配置すると、自然と本庁の機能や職員も分散化されます。それならば、現在の案のような大規模な本庁舎にする必要はなくなると思います。それぞれの建て替えの前に、全市的な行政サービスの整備の方向性をまとめる必要があると思うが、いかがか。

(2)上道公民館・地域センターの合築・建て替えについて
平島交差点付近の民有地に上道公民館・地域センターの合築建て替えを行う計画で、設計図も示され進められています。
ア この地域は昨年の豪雨災害で浸水した地域であり、また、道路の接続など整備できるかも決まっていないのに、ほんとうにこの場所で大丈夫なのかとの声も届いています。いかがでしょうか。
イ 1回目の合築検討委員会で設計図が説明され、2回目の検討委員会では、最初の意見を集約し、実技室を一階にするという新たな設計案が確認されました。一番利用されている講座生もふくめ、意見を聞いて案を絞るべきではなかったのかと、先日の説明会で一つの案に決定しようとした市の態度には、違和感を感じました。今後、市民フォーラムなど開催し、幅広く意見を聞く機会をもつのでしょうか。
ウ 図書コーナーが狭いという意見に、フロアーを広くとる新たな設計が示されました。操山のように1万冊の本とスペースを保障すべきではないでしょうか。


2 山南学区における義務教育学校設置について
私は、先の6月議会で、山南学区の地域住民からの義務教育学校の設置の要望に対して、市教委の考え方を伺いました。教育長は「今回の動きは地域の皆様が子どもたちの教育環境の充実を真剣に考えられた上での要望ととらえ、前向きに検討したい」と答弁されました。そしてこの9月議会で設置の方向性が示され、設計費が計上されています。山南学園(仮称)設立協議会は、もうすでに8月28日に予算が承認されたとHPなどで報告され、学校名の公募、制服の選定まで進められようとしています。
議会での正式な議論はこれからであり、まだ予算を議会は認めてはいません。これを看過することは議会軽視だと言われても仕方ありません。市教委からきちんと説明し、訂正を求めるべきです。
もちろん、子どもが年々少なくなる中で、地元の方が考えて要望されたことは理解できますが、税金の使い方に関わることですので、全市的な課題としてどうなのか、なぜ9月補正に予算計上という拙速な動きなのか、しっかりと議論したいと思います。

(1)「岡山市立学校の適正規模化についての基本的な考え方」について
ア 市教委として、小規模校のあり方の基本的な考え方は平成25年3月に出された「考え方」が基本で、今も変わらないのでしょうか。
イ 「基本的な考え方」には「小規模化の傾向は今後も続くと考えられており、全市的な視野に立った対応が求められる」との記述があります。今回の山南学区の義務教育学校設置は市教委として全市的な視野に立ち、どう考えた結果なのか説明ください。
ウ 今回の計画では、4つの小学校を一緒にした新しい校舎を山南中学校の敷地に建設するとのことです。「基本的な考え方」には、「統合にあたっては現在の学校の施設を活用することを基本とし、過剰投資とならないよう長期的な展望をもって計画的に進める」とあるが、それならばなぜ、施設分離型や隣接型など、今ある建物を使うことは考えなかったのでしょうか。

(2)山南学区の義務教育学校化について
ア 今までも山南学区では「岡山型一貫教育」を基本に教育が行われていましたが、今回の義務教育学校化で内容が変わることがあるのか。
イ 中1ギャップの解消がメリットと言われているが、反対に6年生としての最高学年でのリーダーシップ、9年間の人間関係の固定化などがデメリットと言われています。所見を。
ウ 小学校1年生から中学校3年生までの一体型となれば、部活動、生徒会はどうなりますか。保健室、図書館は1つですか、養護教諭や司書も1人ですか、児童クラブも1つになるのか、具体的にお答えください。
エ 4キロ以上離れているとバス通学というのが基本ですが、山南学区の場合はどうしようとしていますか。
オ バスは地域の高齢者も利用できるのではという期待の声が出ていますが、考え方をお示しください。
カ 廃校になる学校跡はどうするのでしょうか。
キ すべての小学校が無くなることで地域コミュニテイの崩壊が危惧されていますが、いかがでしょうか。
ク 9月補正での予算計上という拙速な理由は、合併推進債の利用ありきだと思われます。推進債を利用するためのスケジュールはどのようにお考えか。


3 介護保険制度について
介護保険制度が導入されて20年が経ちました。介護の社会化がうたわれ、確かに介護事業所が増え各種サービスも身近になりました。一方で重い家族負担による介護心中・殺人などのニュースも絶えません。介護の人材不足、確保困難なども深刻です。そういう状況で国は、次回介護保険制度の改定に向けて、要介護1、2の人の生活援助を保険給付対象から外すことや、利用料の負担が増える対象を広げること、ケアプランの有料化など、ますます利用者や家族に苦難を強いる内容の検討を開始しています。

(1)訪問認定調査について
岡山市内のある居宅介護事業所では、2018年9月から2019年3月までの7ヶ月で183件の介護度更新調査を受けました。介護度が下がったのは64件。そのうち12件が区分変更を行ったとのことです。認定結果が個々の高齢者の暮らしに大きく影響し、事業所も支えきることができないケースが増えていると嘆いておられました。
市の認定調査員は1件あたり3600円の報酬で、件数が収入に響いてくることや、研修や病気などで調査に行けないときの保障はありません。そういう身分の方がちゃんと調査ができるのかとの意見も伺っています。
ア 介護認定調査員は各福祉事務所に6人から9人の体制で配置されています。7月一ヶ月で、一人の調査員が多い方で86件、平均で55~60件程度の調査を行っています。加重負担ではないのか、抜本的に調査員を増やすべきではないでしょうか。
イ マニュアル通りに調査すると1時間程度はかかると言われていますが、5分程度で終了した場合もあったと聞いています。調査員がきちんと調査しているかどうかのチェックは誰がするのでしょうか。
ウ また必要であれば、ケアマネや家族が同席できるとのことですが、同席しても話も聞かれないことがあったそうです。調査員には日常生活のイメージ、生活背景も含めてきちんと調査してほしいとの声が現場から出ています。調査員の質の向上はどうしているのでしょうか。

(2)介護認定が下がった場合について
個別のケースをご紹介しながら制度改善を求めたいと思います。
ア 一つ目のケースです。
要介護度2で68歳の脊髄小脳変性症の女性は、自宅で転倒し数カ所を骨折し車いすでの入院生活となりました。状態悪化とのことで退院後の生活を考えてケアマネは区分変更を申請。しかし入院中の訪問調査で介護度2のままでした。退院後の生活支援のために実態に合わせ、要介護度3の暫定プランでスタートし、区分変更しましたがふたたび却下。却下されると同時に暫定プランは自己負担となり、区分変更できるまで不安定な生活になりました。
担当ケアマネは「結局介護認定が下がるということは、今までの生活を維持できず自己負担も増えるという生活を強いることになる。ここまでのイメージを考えての訪問調査となっているのか。それができないのであれば、ケアマネを立ち会わせてほしい」と言われています。その声にどうこたえますか。
イ 要支援1の80代の男性のケースです。
8月31日で認定期間終了の方です。入院して透析を受けることになったので、期間までに間に合うようにケアマネは、7月1日に変更申請を出しましたが、8月25日に却下されました。退院後、家での最低限の生活を維持するために、ケアマネが、せめて週1のヘルパーの買い物利用と入浴利用をと変更申請をし、結果がでるまで暫定プランを立てました。しかし、ご本人が「非該当になるのが怖い」と突き返してきたそうです。
せめて最低限の生活も支援することができないのか、認定変更はここまで本人の傷になっているのかと、ケアマネさんは悔しがっておられました。こういう人たちを救う制度にするためにはなにをどうしたらよいのでしょうか。
ウ がん患者さんのケースです。
がん発症後、病状が変化することがしばしばで、その都度介護度が変わり、使えないサービスが出ることが、生活意欲の低下につながるという声も伺いました。手すりやベッドなど生活に必要なものは、介護度2以上でないと利用できません。がん患者は介護度にかかわらず継続できないか、との相談がありました。可能でしょうか。

(3)総合事業について
思ったように緩和型デイサービスや訪問事業所を実施する事業所が、増えていないのが実感です。市は、ケアマネや利用者さんにアンケートをとっているところです。
ア アンケートを実施してみて、事業所が増えない理由と課題をどう整理しますか。通所型と訪問型でそれぞれお答えください。
イ 訪問事業所の現場では人手不足が大きな課題です。しかし一定の研修を受けた修了者の活用は現場では進んでいません。その理由と課題をお示しください。
ウ 総合事業のケアプランをたてた後、地域ケア会議に意見を聞くという仕組みです。時間もかかり、ケアマネが立てたプランの修正を求められることも多く、さらに手間な割に単価が安く、引き受けた事業所では大変な思いをしていると伺いました。改善はできないのでしょうか。
エ 総合事業の訪問サービスは、第7期計画でも平成32年でも1339件程度です。そのくらいなら民間事業所の手を煩わすのでなく、市のふれあい公社などの事業所が受ければいいのではないでしょうか。

(4)訪問介護事業所について
東京圏では2019年上半期に、老人福祉や介護事業の倒産が過去最多で55件、なかでも人手不足が深刻な訪問介護事業者の倒産が32件と急増しているそうです。
ア 岡山市内での訪問介護事業所の増減はどうなのでしょうか。法人内で統一したとか、閉鎖したとか、実態をどう把握していますか。