議会質問・ニュース

(質問原稿) 2019年9月議会 個人質問(190917田中のぞみ)
[ 09月17日 ]

 

※掲載している原稿は、最初の質問部分で、事前提出したものです。実際とは一部違う場合があります。

質問原稿(印刷版 190917田中)

 


1 保育の充実について
(1)保育の無償化について
10月から始まる保育の無償化について、子育ての保護者負担が減ることは望ましいことですが、実施にあたり大きく3点の懸念があります。

ア まず、給食費についてです。
市立園についてお伺いします。
(ア)岡山市は、副食費を実費徴収することにしています。保育園要件の2号児は月額4,500円×12ヶ月で年間54,000円、幼稚園要件の1号児は3,000円×10ヶ月で年間3万円です。先日の子ども・文教委員会で計算根拠として実費計算を示されており、多いところで8,000円近くかかっているところがありました。4,500円の実費徴収とすると、食材費を削れ、給食の質を落とせという事でしょうか。差額についての考え方をお示し下さい。
(イ)割愛
(ウ)土曜日利用者についての考え方についてお示し下さい。

私立園についてお伺いします。
私立園は、本当に大変です。各園で何円徴収するかを決め、インフルエンザ等で休んだ場合や土曜日利用等、園児個人単位の計算が発生する園もあります。この保育士不足の中で、徴収も担い、滞納になれば、園の持ち出しになる。しかも国は副食費の目安額を4,500円としているにもかかわらず、公定価格を5,090円減らしていることも分かりました。
(エ)国が示してきた目安額では主食と副食を合わせると月7,500円です。小学校でも、燃料費込みで月5,000円程度ですから、高すぎます。市立園に合わせて4,500円程度に抑えれば、公定価格からは5,090円引かれるその差額は園の持ち出しですか。
(オ)そもそも、保育事業は、市の委託事業です。委託内容に給食提供が含まれ、お弁当持参の選択肢はなく自園調理が原則と6月議会でも答弁がありました。給食は保育の一環であり当然だと考えます。給食提供を委託内容としながら、変動がある材料費は自分で調達する、ということ自体が矛盾しており、無責任です。せめて、給食費は市が徴収し、委託費はこれまで通りの額を保証することで、私立園で持ち出しが発生する事態は避けるべきです。ご所見を。
(カ)私立園長会等関係者からはどのような意見が出ていますか。
(キ)これまで保育料の保護者負担を市独自で軽減してきた額が、この無償化により不要になります。岡山市の場合は14億4,000万円との答弁がありました。この浮いた財源をつかって、給食費を無料とする自治体が増えています。実施した場合の必要額について、認可園について5~6億円と子ども・文教委員会で答弁がありました。実施しませんか。

イ 次に、保育の質の保証についてです。
岡山市は無償化の対象に認可外施設も全て対象にするとしていますが、その質の保証は不十分としか言えません。認可外の監査結果について、9割は改善しており質の保証ができていると6月議会で市長答弁がありましたが、その指摘の中身に認可と認可外には大きな違いがあります。認可外の指摘内容は、人員不足、安全管理面、衛生面などの案件が非常に多く、園児の発達を保証する等の保育の質以前に園児の安全確保に影響のある指摘内容が多いことが分かります。さらに認可外施設には、保育士1/3以上などの国基準を満たしていない施設も含まれます。
(ア)岡山市の認可外保育施設について、届出の有無と国基準未満の数をお示し下さい。
(イ)認可と認可外施設の指摘事項の性質の違いについての所見をお聞かせ下さい。
(ウ)抜き打ち監査をしない理由に書類等の事前準備を挙げられますが、実施している自治体は多数あります。このままでは、悲惨な死亡事故を引き起こしたずさんな保育体制を見抜くことは到底できません。抽出ででも抜き打ち調査を行うんだという姿勢こそが求められます。無償化制度で公金による支援対象とするならば、最低限の保障だと思いますが、ご所見を。

ウ 3点目に、待機児童問題です。
待機児童数は353人ですが、保育園に入りたくても入れない児童数は約1,600人いる中で、来年度からの第2期子ども・子育て支援計画が示されました。無償化は来月からです。その対策は不十分で残念。つい先日も「どれだけ待っても入れない」という悲痛なご相談がありました。無償化により3才以上は義務教育化されたというような受け止めが広がると、子ども・子育て会議でも指摘がありました。市立幼稚園の3才児受け入れや、保育士不足の国の支援メニュー活用など8年前から訴えてきました。無償化に関わらず、女性の就労率は当面上昇するとされているからです。対応が後手になっていることは否めません。緊急事態だとの認識を持って頂きたいです。
(ア)第2期子ども子育て支援計画で、幼稚園の確保数が、需要数の倍近くあり、約4,000の余剰があります。なぜここを活用しないのでしょうか。考え方をお示し下さい。午後預かりの本格実施、全園での3才児受け入れ、幼稚園のこども園化など考えるべきです。
(イ)先日の子ども・子育て会議で、市立認定こども園の数を36にすることをどこで決めたのか、という厳しい意見が出ていました。子ども・子育て会議は追認機関ではありません。その他にも多様で貴重な意見が出されており、第2期計画を策定するにあたり、きちんと意見徴収するべきです。あらためてその位置づけと、今後の開催予定をおうかがいします。
(ウ)この緊急事態に、市立保育園を民営化する意味がわかりません。その目的は、コストカット以外にどこにあるのでしょうか。

(2)保育士の働き方について
育休復帰を目指す保育士さんが早期退職していくケースが少なくありません。先日、育休明けのタイミングで辞めるしかないかと悩んでいるとの声を聞きました。それは、子育てとの両立がとてもできないから、という悲しい理由です。朝7時ごろから19時までのシフト勤務では自分の子どもの送迎すらままならないわけです。調べてみると、保育士不足が深刻な保育現場では、育休の取りにくさに加え、育休明けの時間短縮勤務などの支援制度が実質選択出来ない現状があることが分かりました。保育士不足の苦しい現状があることは重々承知していますが、女性が多い現場で、子育てとの両立ができないという理由で早期退職者が後を絶たないことは本末転倒です。
岡山市は市の制度として育休の他に、育児短時間勤務、部分休業、など充実させています。所属現場の状況に左右され取得出来ていない現状があるとすれば、是正する必要があると思います。保育士の育児支援についての考え方をお示し下さい。

2 平成30年7月豪雨災害に関わって
(1)災害の検証と記録はこれでよいのか
この3月に「平成30年7月豪雨災害を教訓とした災害初期対応等の見直し」をまとめられました。
昨年の豪雨災害について、職員や外部有識者、議会から出た多くの課題を、①初動体制、②情報提供、③避難場所の開設・運営、④被災者支援、⑤復旧対策、⑥平時からの備えという6項目に分け、課題に対する対応策が示されています。しかし、重点課題として最初に位置づけられたのは「自助・共助の強化」でした。
資料編では、職員から出された課題や意見が記載されています。例えば「外部や市民からの問い合わせに追われ、対応が後手まわった」「圧倒的に人員不足で対応が追いつかなかった」「統括機能がないことから、各局がバラバラに動き、情報共有されない、また調整に多大な時間を要した」「通常業務を行いながらで対応が後手に回った」「災害がなかった部署などが非協力的だった」「各区は対応に追われ、本部が被災状況を把握することが難しかった」「砂川、旭川とも破堤の情報共有が遅延した」「ダム放流があり大規模な浸水被害が発生した」「被災者支援の担当課がバラバラで情報共有する仕組みが無かった」など具体的で貴重な声が出されています。
では、本部体制はどうだったのか、各区役所の人員体制や連絡体制はどうだったのか、被災者窓口はどこに設置し、被災者訪問はどこの部署がどう行ってどう情報共有したのか、ボランティアセンターはどう動いたのか、意思決定は何を基に誰が行っていたのか、そもそも災害が起こった原因は何だったのか、上流やダムの影響はどうだったのか。被害状況の詳細はどうなのか。
といった重要な記録はありません。事実や時系列の詳細を記録し、そこから検証しなければ、本当に機能する「初期対応等の見直し」となるのか、疑問が残りました。
だから、重点課題の最初に「自助・共助の強化」がくることに違和感があるのです。いくつかお伺いします。

ア 後世への記録としても、災害発生の原因、ダム放流の影響、初動体制の記録、被害情報の詳細な記録、被災者支援体制の記録などまとめるべきではないでしょうか。

イ 記録を基に防災分野の研究者など外部有識者を含めて、本部機能のあり方についてきちんと検証しておくべきだと思うがご所見を。

ウ 避難情報の発令経緯について、夜22時45分に全市に対する避難指示が遅かったのではないか、前日の気象庁の記者発表はどのように認識したのか、旭川、砂川の氾濫危険水位を超えたことがなぜ、情報発信されなかったのか。市民の疑問にお答え下さい。

エ 罹災証明について、被害判定基準が、地震災害を基にしているため、水害に適していないと指摘してきました。国に改善を求める旨の記載が、課題抽出検討委員会骨子案の資料にあります。水害は、においやカビなど時間が経って現れる被害や家電家具、居住スペースの多くに大きなダメージを受けるのに、住家の骨格に影響がなければほとんど「半壊」にはなりません。今後豪雨被害が各地で頻発することも予測される中、水害に遭った自治体が声を上げることは必要です。その後の対応についてお示しください。

(2)被災者支援について
西日本豪雨災害の被災者に対する医療費・介護保険利用料の減免制度を岡山市は6月末で打ち切りました。その後個別に対応するとのことですが、具体的な基準は今後検討とのことでした。どのくらいの問い合わせがあり、何を基準とするのか考え方をお示し下さい。倉敷真備地区から住民票を移動して避難してこられている方は何人いて、どのような対応になっていますか。

(3)割愛

(4)行方不明者等の氏名公表について
災害時の行方不明者や被害者の氏名公表について岡山市のお考えをお伺いします。

3 学校現場の支援について
今回は一点だけ。
特別支援教育支援員について、1億円の財源不足により、支援児童は43クラスも増えているのに、支援員は16人も減らされた点について看過出来ません。特別支援教育についての考え方と、支援員の増員についての方向をお示し下さい。