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2020年6月議会で、林じゅん議員が行った個人質問の最初の質問部分(事前提出したもの)の全文です。
やりとりの模様は、後日お伝えします。
1 学力と育ちの保障について
(1)教育方針の立て方について
新型コロナウイルス感染症は、子どもたちの学びと育ちに大きな影響を与えています。
ところが今年度のアクションプランにはコロナのコの字もありません。いつ、どんな発想で策定したのか疑問です。
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会が5月20日に『小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状』を発表しています。「海外のシステマティック・レビューでは、 学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しく、逆に 医療従事者が仕事を休まざるを得なくなるためにCOVID-19死亡率を高める可能性が推定されている」などとしています。
学校をはじめとする、子どもが過ごす施設や環境について参考にすべき内容だと思います。
今年度は教育の方針を立てる際には、新型コロナ対応を盛り込むべきです。
1.今年度のアクションプランは、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて書き直すべきではありませんか
2.市内で感染者が発生・増加した場合の方針はどうなっていますか。休業ありきなのか、休業も全市一斉か、学校ごともあり得るのか、など検討が必要だと考えます。
3.臨時休業中の児童・生徒の状況について、通常のマークシートによる学校評価アンケートとは別に詳細な調査を行って、今後の対応の参考にしてはどうですか。
(2)学びについて
休業中に、特別支援学級では、担任の先生が何度も保護者と連絡を取る例もありました。一クラスの人数が少なく、やりやすかったと思います。自治体によっては先生が宿題を届けたり回収したりしたところもありました。
休業中も再開後も、少人数の方がきめ細かい対応ができるのは明白です。これを機に先生を増員し、少人数学級を具体化すべきです。
岡山市立の学校では始業式や入学式ができて、新年度のクラス体制ができていたのはよかったと思います。それでも保護者から「先生の顔が見えない」という声を聞きました。学校によっては先生からのメッセージをホームページに掲載したり、子どもたちから先生宛の手紙を集めたりする工夫をされていましたが、全体として子どもたちと先生のやりとりが十分だったとは言えません。
授業時間の確保のために夏休みが短縮されます。短縮された分の登校日には給食を提供しないとされています。授業時間数の確保と家庭の負担軽減のために提供を検討すべきです。
1.授業時間数の確保や子どもの居場所確保、放課後児童クラブでの利用のために、特別教室および体育館へもエアコン設置を進めてはどうですか。
2.地域の感染レベルが上がった場合、密を避けるためにどのように児童・生徒を教室に入れますか。
3.退職教員が若手の育成をする計画が出ていますが直接、子どもを教えるようにしてはどうですか。
4.抜本的に少人数学級の実施に舵を切るべきではありませんか。
5.夏休みが短縮された分の7月と8月の授業日に給食の提供日数を増やす考えはありませんか。午後まで授業をすれば授業時数の確保になります。
(3)体験活動について
子どもたちの育ちには教室と教科書の勉強だけでなく、様々な体験が重要です。海の学校のカッター漕ぎは30年たっても覚えている、という保護者もいます。インターネットや家庭学習では代わりができないことです。
1.学校行事や校外学習を実施するために、どのようにして時間を確保しますか。
2.海の学校と山の学校の代わりの宿泊研修は行いますか。修学旅行の実施予定は把握していますか。
3.6月29日の岡山空襲の犠牲者追悼式への児童・生徒の参加は平和学習として位置づけられてきました。代表参加やビデオメッセージなど、子どもの参加も工夫すべきではありませんか。
(4)家庭と福祉の視点について
健やかな育ちのためには家庭との連携も大切です。年度初めの保護者懇談が中止された学校もありました。子どもが学校に来ない分、家庭の状況を把握するために、むしろ行うべきだったのではないかと思います。
様々な状況の子どもたちに対応するためには、福祉の視点を持って家庭に出向く必要もあります。私たちがスクールソーシャルワーカーの配置を求める理由です。
1.臨時休業中にこそ積極的に保護者懇談や家庭訪問を行うべきだったのではありませんか。
2.スクールソーシャルワーカーを各学校に配置して、家庭に出向く支援をしてはどうですか。
3.保護者が自主的に休ませている子の心のケアはどうなっていますか。
4.放課後児童クラブ、放課後等デイサービスなど学校外の子どもに関わる施設との連携が必要ではありませんか。
2 保育の受け入れ拡大について
保育園の待機児童が今年度には解消できず、市は目標年次を2年、延ばしました。
4月1日での待機児童は259人、待機児童を含む未入園児は1,386人となっています。
受入人数が利用定員を下回った人数が保育園・認定こども園で790人です。
2019年度と比べて、保育園・認定こども園では7施設多い59施設で、小規模・事業所内保育では1施設少ない8施設で利用定員より受け入れ定員が少なくなりました。保育士が不足しているからです。そして59施設のうち17施設が公立です。市の裁量で保育士の確保ができる部分です。正規保育士を募集すると倍率は5倍ほどにもなると聞いています。採用を決めさえすれば、公立園の正規保育士を増やすことは可能です。
公立園の廃止・民営化に当たっては、説明会を開いて地域の理解を得ることなど、単純な保育士採用や施設拡大ならば不要なことに職員のマンパワーが割かれてきました。公立園の廃止と民営化、認定こども園化にエネルギーを使う方針では未入園児が解消できなかったのです。
公立園を廃止する方針を改めないと正規保育士の採用に踏み切れません。この際、公立園の廃止・民営化は方針を改めるべきです。
1.昨年度に比べて、利用定員より受け入れが少ない施設が増加したのは保育士不足が主因です。保育士確保の支援のためには私立も園ごとに状況を把握すべきではありませんか。
2.保育士を増やせて利用定員分の受入で790人が入れても、未入園児から「求職活動を中止」と「復職の意思なし」を除いたとしても422人は保育園・認定こども園に入れません。まだ認可施設は足りていないのではありませんか。
3.これまで開園した公立認定こども園16園の施設整備費と2号・3号認定こどもの定員増は何人ですか。
4.給与の上乗せなど保育士確保の今年度の予算はいくらですか。
5.公立園を削減する方針が公立の保育士の採用の妨げになっているのではありませんか。
6.公立園の廃止と民営化に拘る方針を見直すべきではありませんか。
3 予算は感染症対策優先に
(1)市民の暮らしと地域経済の応援を
新型コロナウイルス感染症が暮らしと経済に与える影響は長期化の様相です。市民生活を支えるためには自治体の財政出動も重要な課題です。
感染拡大が終息した時に、市民の暮らしと地域の産業が疲弊していては、旅行や観光どころではありません。直面する課題は暮らしと事業を守ることです。
市の事業者支援も一回では不十分が想定されます。新型コロナウイルス感染症の拡大を災害と捉えて、市としても大胆に生活と事業の支援を行っていく必要があります。そのためには大きな事業を見直さなくてはなりません。
1.市民の所得と事業者の経営状況について、来年度以降の市財政への影響の見通しを持つことは大切です。現段階でのご見解をお伺いします。
2.市内業者の廃業や解雇・雇い止めの状況は把握していますか。
3.派遣切りの状況は把握できていますか。
4.市の中小企業者20万円、小規模事業者10万円の事業継続支援金は、再支給の基準を設けて制度自体を継続すべきではありませんか。
5.国の持続化給付金について「対象が狭い」「手続きが煩雑」などの声を把握していますか。どのような対応がありますか。
6.事業継続支援金の受付は関係団体への委託だけでなく、市も申請を受け付ける窓口を設けるべきではありませんか。
7.岡山中央卸売市場と花き地方卸売市場の卸、仲卸、関連業者の入居者の家賃減免のために一般会計からの繰り入れをしませんか。市場の公共性に鑑み、市として対応すべきだと考えます。
(2)優先度を考えて新型コロナ対策費に
予算の配分を抜本的に見直す必要があります。
市長は今議会の提案理由説明で「必要に応じ施策・事業のスケジュールの調整等を行うことも想定しなければならないと考えております」と述べられました。不急の事業の見直しは必要だと考えます。
これまでは市単独では決めにくかったお金の使い方も連携して、見直すべきです。例えば広域水道企業団からの受水費です。全県の対応として考えるべきです。
1.吉備線LRT化、路面電車の岡山駅前広場への乗り入れ、市役所本庁舎の建て替えなど大型公共事業は一旦、立ち止まって予算を市民の暮らしと地域の事業の支援に振り向けるべきではありませんか。
2.広域水道企業団からの受水は中止しませんか。