議会質問・ニュース

【質問原稿】2020年9月議会 田中のぞみ個人質問(20年9月11日)
[ 09月11日 ]

【印刷用PDF】田中のぞみ 質問原稿 20200911

2020年9月議会で、田中のぞみ議員が行った個人質問の原稿(事前提出したもの)の全文です。

やりとりの模様は、後日お伝えします。

 


 

1 ケアに手厚い社会の実現を

~コロナ危機を乗り越える社会保障~

新型コロナの襲来により、先進国日本の社会の脆弱さが改めて浮き彫りになったと指摘があります。特にこの40年間、新自由主義という「小さな政府」論により、社会保障の財源が抑えられてきたことで、介護・福祉・保育の分野では慢性的な人手不足でした。

ポストコロナの社会では、様々なウィルスや災害リスクと共存することを前提とし、私たち人間が生きていくうえで必要不可欠な社会保障を重視した社会へと抜本的に転換するべきだと思います。

岡山市は第8期の高齢者福祉計画・介護保険事業計画を策定中です。大きな特徴は、団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年を見据えた最初の計画になるという事です。抜本的に予算配分を変えていく立場に立たなければ、明るい高齢者社会を展望することはできません。

(1) 介護保険制度導入から20年になります。当時、介護の社会化が喧伝されましたが、上がり続ける保険料と利用者負担、介護人材不足などは深刻化しています。この20年をどう検証し、2040年にどう臨みますか。

(2) 7期計画でも課題とされた介護職の高い離職率については、どう改善されましたか。8期計画では、離職率や人材不足数などを数値目標とするべきです。いかがですか。

(3) 家族の介護で仕事を辞めざる得ない介護離職数の実態はどうなっていますか。制度導入の理由でもあったわけです。ゼロを目指し、8期計画で明記するべきではないですか。

(4) 市内のあるケースで、長い老老介護の末、要介護4の夫がようやく特別養護老人ホームに入居できる事になっても、どうしても離婚しなければ金銭的に入居できず80歳を前に離婚した件がありました。夫婦合わせて月約16万円の年金があり課税世帯だと、特養の費用が月に11万円程度です。自宅に残された妻が残り5万円で家賃4万5千円を払いながら生活はできません。世帯分離をしても家計は同一とみなされ、離婚をしなければ共倒れでした。これが今の介護保険の実態だと思います。国に地方の実態を意見し、制度導入後、改悪され続けている負担の在り方を見直すよう強く求めていただきたいが、いかがですか。

(5) 市内の認知症高齢者は2.4万人とのことですが、重要な初期集中支援チームの目標値が80人や90人では不十分です。8期計画ではどう充実させる方向ですか。

(6) 「地域包括ケアシステム」という言葉は、地域共生社会推進計画では全世代型としていますが、7期計画では高齢者に限定され、整合性を指摘してきました。また、何が一般施策で何が市民の保険料による介護保険事業かわからない等、整理できませんか。

(7) これからの地域の福祉の在り方については、地域包括支援センターが大きな肝になると考えます。岡山市は5期計画の時に、中学校区単位で設置していた高齢者地域包括支援センターを35から16に減らしました。ますます複雑化・複合化する地域の福祉課題解決に逆行します。地域の支え合いづくりを市民任せにせず、専門家が地域に常駐する仕組みを再構築することを求めます。ご見解を。

(8) 介護保険特別会計において、7期計画の地域支援事業費は、保険料算定のための試算は3年間で約104億円なのに対し、予算化されたのは約89億円と15億円が浮いた状態です。なぜですか。地域支援事業費には、認知症初期対策費、地域包括支援センター運営費があたります。このような状況で8期計画の保険料を値上げすることに市民の理解は得られません。ご所見を。

 

2 JR吉備線(桃太郎線)のLRT化事業に関連して

基幹交通機関である鉄道路線を守ることは大切で、利便性を上げ、利用者を増やすことは、公共交通政策においても基本になると考えます。しかし、約240億円という巨額の事業費を投入しなくても、市独自でできる、すれ違い用の駅改良やフィーダー交通整備、運賃補助等により利用者拡大は図れると思います。

(1) 市内の鉄道のうち、瀬戸大橋線、山陽本線、赤穂線は利用者数が伸びていますが、宇野線、津山線、吉備線は減少傾向です。各駅の利用者数とバス路線接続の有無との関連についてどのように分析していますか。

(2) 吉備線について、立地適正化計画との関連でも沿線の劇的な人口増加は見込めません。便数や駅を増やすだけでは利用者が激増することは難しいと思います。一宮や高松エリアは特にフィーダー交通整備が大きなカギになると考えますがいかがですか。国庫補助制度がかわり、フィーダー交通整備について政令市も補助対象となり、赤字補填も対象です。優先的に着手するべきではないですか。

(3) 足守駅について、移転しようとした理由と、この度撤回した理由・どこでどう決まったのか等経緯・コストの影響についてお示しください。

(4) 足守駅周辺整備については、LRT化事業費に入っていないとのことです。整備費用をお示しください。その他、既存駅の改良について予定があればその概算をお示しください。

(5) そうなると、一体何に240億円も事業費がかかるのか。費用対効果の考え方、計算方法について説明ください。

(6) 改めて、約44億もかけて、三門駅周辺の1キロだけ路面電車化する案には反対です。三門地域の地元住民への説明予定や、コロナ以降にJR西日本や国交省と協議したことがあればお示しください。

 

3 多胎児の育児支援について

三つ子の赤ちゃんの子育ては、私の想像をはるかに超えて、壮絶で、お金がとてもかかる事を改めて知りました。この6月に生まれた三つ子ちゃんの場合、ミルクの授乳は1日24~30回になり、オムツ替えはそれ以上の回数です。24時間、誰かは泣いているような状況で、両親は疲労困憊していると感じました。寝不足や疲労で産後うつや虐待に発展するリスクも高い時期です。

経済的にも大変です。出産後約2か月の入院費は保険適用外の自費部分が長男12万、次男7万、長女7万で、さらにおむつや肌着代等が一人18000円ずつかかり、退院後もミルク代は月に約2万円、おむつ代も月に約2万円です。チャイルドシートを三つ乗せられないために軽自動車に買い替えなければなりませんでした。これから、大量に必要となる着替えや学用品も全て一度に3倍かかること、未熟児で今後も入院手術が必要かもしれない事等、大きな精神的負担になっています。仕事は出産のため退職しており、保育園にも入れない状況です。

生後3か月の現在、病院の指示による訪問看護が週に9時間程度あり沐浴等をしてくれていますが、今月末までの予定です。 

岡山市による支援は、シルバー世代産前産後応援事業、ファミリーサポート事業、昨年10月にスタートした産後ケア入院くらいしかありません。ファミリーサポートは家事やベビーシッター的な事はできません。家事手伝いもできるシルバー応援事業は、生後5か月までなので、2か月入院していれば実質3か月しかなく、また、原則10日前までの予約制で、結局使えていません。産後ケア入院はとても助かっているようですが、しかし、双子だと一泊2万円、三つ子だと3.5万円かかる費用に対し、市の補助は一律一泊12000円で多胎児加算はありません。さらに生後4か月までに6泊までと限られています。

今も日々、知人や親せき、民間団体の方々の善意に支えられていますが、いつ限界が来てもおかしくない綱渡り状態だと感じました。

「多胎児のサポートを考える会」が昨年行った全国調査では、多胎児育児の困難さが顕著に表れ、外出が困難なゆえに孤立し、自分の時間も取れず、「気が狂う」「虐待する気持ちが分かる」「死にたくなる」という深刻な声も届いています。必要だと思うサポートに挙げられたのは、家事・育児援助、金銭的援助、子どもを預かってくれる場所、でした。

岡山市によると、年間の多胎児は50組くらいですが、三つ子の統計はないそうで、年間1組あるかないか、とのことでした。

(1) 多胎児育児についてのリスクについて、どのように認識していますか。

(2) 妊産婦検診は全14回が無料券で受けられますが、多胎児の場合2人目3人目の親子手帳から無料券は回収されます。多胎児は健診の回数が増える認識がありますか。没収しないでいただけませんか。

(3) 親子手帳や「こそだてぽっけっと」のページの多胎児育児や支援の情報が分かりにくいと思います。改善できませんか。三つ子用の情報も欲しいそうです。集団検診は病院でもできることももっと広報していただけませんか。

(4) 産後ケア入院事業について、多胎児は、補助額の加算と、せめて1歳か3歳くらいまでの利用期間が必要だと考えますが拡充できませんか。市民病院を産後ケアの基幹病院と位置づけ、多胎児支援に率先して取り組めませんか。また、産後の申請になるにもかかわらず、必ず役所まで、しかも毎回出向かなければならないそうです。改善できませんか。

(5) その他出産後の申請(乳幼児医療費助成、児童手当、出産一時金差額支給など)において、多胎児など配慮が必要な場合は、郵送、オンライン、訪問などで申請できるようになりませんか。

(6) 家事援助について、他自治体では、多胎児家庭向けホームヘルパー派遣を無料で行っているところもあります。具体化できませんか。シルバー世代産前産後応援事業は、多胎児の場合、利用可能期間を就学前まで等延長することはできませんか。

(7) 経済的援助も充実が必要です。多胎児かどうか妊娠のコントロールはできないわけで、多胎児を理由に中絶が頭をよぎるような岡山市であってはなりません。上の子のおさがりが使えない点で一般の兄弟姉妹とは異なります。市独自で児童手当の多胎児加算などご検討いただきたいがどうでしょうか。せめてオムツ代ミルク代の補助は考えられませんか。

(8) 保育園は、地域の福祉と子育て支援の拠点です。一時預かりや入園の基準に、就労に関わらず多胎児育児の優先的配慮ができませんか。4歳の三つ子を育てている別のお母さんもやはり働きたくても働けない、とのことでした。もしくは、認可外保育施設やベビーシッターへの保育料無償化補助を3才児未満の多胎児にも適用できませんか。そのためにも、保育の必要性認定条件に、「多胎児を育てている事」を求めます。

(9) 市長にお尋ねします。一昨年には愛知で三つ子の虐待死事件も起きており、多胎児を育てる家庭への支援充実は喫緊の課題だと思います。対象者は非常に限られており、年度途中でも実現できるところから進めていただきたいが、ご所見をお伺いします。