議会質問・ニュース

【質問原稿】2020年9月議会 林潤個人質問(20年9月11日)
[ 09月11日 ]

【印刷用PDF】2020年09月議会 林潤 質問原稿

2020年9月議会で、林潤議員が行った個人質問の原稿(事前提出したもの)の全文です。

やりとりの模様は、後日お伝えします。

 


 

1 岡山市教育委員会の事務に関する点検・評価報告書とアクションプランについて

新型コロナウイルス感染症が教育に与える影響は今年度からではありません。

2019年度、令和元年度の終わりに安倍首相から全国一斉に臨時休校の要請が行われて突然、学校が休みになりました。

が、『令和元年度の岡山市教育委員会の事務に関する点検・評価報告書』、以下「点検・評価報告書」で具体的な新型コロナウイルス感染症の拡大の影響として書かれているのは教育委員の動きで「中学校の卒業式への来賓出席がなくなった」、家庭と地域社会の教育環境の部分で「新型コロナウイルスの拡大防止のために行事が中止となる等、参加者数は目標には至らず、・・・」だけです。

何年か後にこの「点検・評価報告書」を読み返すと「令和元年度の新型コロナウイルス感染症の影響は来賓が卒業式に行かなかったことや行事が減ったこと以外はよく分からない」となりかねません。

外部評価委員との意見交換会で「新型コロナウイルス感染症対策で休校期間中に教育委員会が取り組んだ学習保障に関する取組等について市民に対して積極的に情報発信をするべきではないか」との意見が出されていることから、休校があったことは読み取れますが、いつ、どういう要請を受けて、どう検討して、いつからいつまで休校にしたのかについては全く触れられていません。

休校は子どもたちにはもちろん、社会全体に大きな影響を与えた決定でした。

休校のスケジュールや学習と行事への影響、学校での預かり対応、家庭学習支援などは「点検・評価報告書」に当然、反映されるべきです。

6月議会でも取り上げた令和2年度のアクションプランの計画は今月で年度の半分が過ぎます。これまでの実施状況を検証し、年度後半への影響を想定する時期です。

今議会に修学旅行が中止になった場合のキャンセル料を保護者負担とせずに補助する予算案が提出されています。修学旅行が中止になって残念な上にお金が戻ってこない、という事態を避けるせめてもの対応です。市教委には中止の支援だけでなく、子どもたちに学校生活の思い出に残る行事ができるよう、しっかり支援していただきたいと思います。

また新型コロナウイルス感染症にかかわらず岡山市内の子どもたちには等しく、経験、体験を積む機会を確保すべきです。例えば中学校で修学旅行以外に広島や神戸など市外・県外での学習や宿泊を伴う行事は学校ごとに違いがあります。

「点検・評価報告書」について新型コロナウイルス関連以外でも外部評価委員と意見交換をするだけではなく、意見(評価書)も書いてもらっています。

その中に「政策3 健康教育の充実による健やかな体の育成」について「特に、女子の場合は「健康=美」であることの認識を深めることにより、健康的な食事の習慣を植え付ける」といった記述があります。

特に女子にだけ健康と美を位置づけることにはジェンダー平等の観点から問題があります。健康は性別に依らず大切であり、美は個人の価値観に左右されます。市教委としてジェンダー平等の教育を行わなくてはなりません。この文章が市教委の考えと違うなら、明確にしておく必要があります。

また「岡山を愛する心の前に愛国心があって然るべき」との意見が書かれています。愛国心は押し付けられるものではありませんし、教育委員会は「岡山を愛する心」「郷土を愛する態度」と言ってきました。他に「愛」が出てくるのは「子どもたちが愛されている」という文脈です。

「点検・評価を踏まえた今後の方向性」ではジェンダー平等についても愛国心についても、市教委としての方向性を示して欲しいものです。

そこで質問します。

ア 新型コロナウイルス感染症の拡大による首相からの休校要請では、令和元年度にはいつからいつまで休校し、学校ではどのような対応をしましたか。休校以外にも教育行政が受けた影響は、点検・評価報告書に記録と総括を載せるべきではありませんでしたか。

イ 令和2年度のアクションプランに記されている年度前半の行事、取り組みの実施状況はどうなっていますか。

ウ 令和2年度のアクションプランの年度後半の取り組みへの影響はどう考えていますか。

エ 外部評価委員の「特に、女子の場合は「健康=美」であることの認識を深めることにより、健康的な食事の習慣を植え付ける」という考え方について、市教委はどう考えますか。

オ ジェンダー平等や愛国心について外部評価委員の意見を市教委はそのまま受け取るのですか。

カ ジェンダー平等の視点をどのように教育行政に反映させますか。

キ 修学旅行の代替案がそれぞれの学校で検討されているとのことですが、学校外に出掛ける行事になりますか。費用は修学旅行と同様に就学援助の対象となりますか。

ク 校外学習や体験授業など学校ごとの有無や内容の違いを把握していますか。少ない学校に積極的に取り組むように働きかけていますか。

 

2 放課後児童クラブの充実とふれあい公社委託について

来年度に向けては23クラブが移行の意向を示しています。一方で7クラブは移行を希望していません。

移行に二の足を踏む大きな要因は支援員の処遇です。

市は移行のメリットとして平均時給換算額のアップを上げていますが、生活していく上で重要なのは全体としての収入です。働ける時間が短くなれば、時給が上がっただけではメリットになるとは限りません。

責任を持って仕事に専念できるように、収入のアップになるように常勤者の勤務時間を長くする必要があります。ふれあい公社に移行したクラブの状況は答弁がありましたが、収入が近かったり上がったりするところから移行するのは当たり前です。下がる可能性があるところが問題です。そういうところこそ、実態を把握して、移行可能な統一ルールにしていかなくてはなりません。

放課後児童クラブでも子どもたちの体験の幅を広げ、楽しめる時間として各種行事が行われてきました。ふれあい公社の行事費は少額で、バスでのお出掛けなどはできません。それでも保護者会との共催での行事は可能との答弁がありました。しかしふれあい公社に移行したら、支援員さんがこれまで行ってきた保護者会行事の参加費の集金を断られたとの話があります。

保護者と連携して保育の充実を図る立場で物事をやりやすくして欲しいと思います。

また市は組織としての強みをメリットに挙げています。指揮命令系統の明確化やトラブル対応、スキルアップ、安定した財政運営などがあります。どのように活かされているのかもお尋ねします。

そこで質問です。

ア 移行したクラブの月給のクラス責任者の年収見込みと移行を希望していないクラブのクラスの常勤の責任者の収入を比較するとどうなっていますか。

イ 経理・運営の事務が減った分は働く時間を減らすのではなく、保育の準備や保護者対応など子育て支援の業務を充実させていくべきではありませんか。

ウ しっかりフルタイムで働ける人を増やしていくことは災害や感染症拡大の緊急対応の点でも有用ではありませんか。

エ 指揮命令系統、トラブル対応に関して、土曜日の緊急対応はどうなっていますか。

オ スキルアップに関して、放課後児童クラブ運営指針を実践するものになっていますか。

カ 保護者会や地域の方々と連携して行われた行事がありましたか。

キ 行事費を増額しませんか。バス旅行ができる額にしませんか。

ク おやつや行事での食事の調理ができるようになりませんか。

ケ おもちゃや図書の費用は子ども一人当たり、年に何円ですか。

コ 保護者会行事の集金を支援員が柔軟に手伝えるようにできませんか。

 

3 アユモドキの保護について

アユモドキは、旭川水系、吉井川水系と琵琶湖・淀川水系だけに生息しているドジョウの仲間の魚です。絶滅が危惧されている国の天然記念物です。

生息している地域ではそれぞれ保護活動が行われています。

淀川水系では今年2月に京都府亀岡市に建設されたスタジアムの建設地がアユモドキ保護のために変更されました。背景には市民運動や日本魚類学会と自然保護基金(WWF)の意見や提言がありました。

岡山市でも保護活動に取り組んでいる方々の意見を踏まえて、アユモドキの斃死事故を繰り返さないための用水路の工事マニュアルが作られています。

岡山市では産卵場所に近い高島小学校では5年生が人工繁殖と飼育に取り組んできました。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、例年通りにはできていないそうですが。

また高島中学校では40周年記念の人文字にアユモドキが使われました。

学区の区づくり事業でもアユモドキの展示が行われます。

地域と子どもたちに親しまれ、大切にされています。

しかし旭川水系では確認されている産卵場所が一カ所だけで、恒久的に確保されているわけでもありません。生息している水路環境の保全とともに複数の安定的な産卵場所が求められています。

これまで産卵場として期待された用水路沿いの池やビオトープでアユモドキは産卵していません。水路の勾配や水深、水の流入状況などの調査、研究がさらに必要です。

そこで質問します。

ア 市内のアユモドキの生息範囲の調査はどのように行われていますか。

イ 産卵場所になる可能性のある休耕田、湿地等の条件についてどのような調査・研究が行われていますか。特に市有地を活用するための調査はどうなっていますか。

ウ 旭川水系に産卵場所を複数確保する目標を持ちませんか。

エ 用水路の工事マニュアルの継承と徹底はどのように図られていますか。