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日本共産党市議団の田中のぞみです。
会派を代表して、甲第127号議案「工事請負契約の締結」について、委員長報告に反対の立場で討論します。
本議案は、岡山駅前広場への路面電車乗り入れに伴う、駅前広場南側の工事契約案件です。
路面電車の駅前乗り入れ事業については一貫して反対をしてきましたので、本契約についても賛成はできません。以下理由を述べます。
これまで、私達は、歩いて楽しい街づくりにかかわる各種事業について、反対までしたことはありません。市民が憩い、集い、地元事業者が賑わうならば、税金投入するその政策目的や事業効果が一定あると考えるからです。
一方で、本事業の場合、路面電車をわずか100㍍伸ばすことに、どれほどの効果があるのかは未だにはっきり見えません。老朽化などの課題解決なのか、多くの市民が抱える課題の解決なのか、地元事業者や産業・文化の支援なのか、新たな賑わいが創出されるのか、100㍍伸ばすかどうかと直接的には、関係しません。
確かに、駅前の見た目は良くなります。路面電車利用者の方のうち岡山駅を利用される方については、乗り換えの利便性が上がることも事実ですが、非常に限定的です。今現在、誰が利用しているのか、学生なのか、通勤者なのか、観光客なのか、は、その調査すらされていません。にもかかわらず、事業完成後には1日1000人の乗降客が増えるとの試算で、費用対効果が1.05とわずかに1を上回りました。その1000人とは誰なのか詳細な内訳は示されていません。通勤通学者が3割増えると、純増なのか何故なのかその根拠はわかりません。
もし、観光客の方が増えるのであれば、それは観光コンテンツの魅力が理由で、路面電車が100㍍伸びたからではありません。
障害者の方の利便性向上を上げられますが、まず停留所や車両形態を含めた全体のバリアフリー構想が必要です。路面電車を100㍍伸ばす事がバリアフリーの切り札にはなりません。
市は、本事業の目的として、①交通結節機能の強化、②回遊性の向上、③都心の活性化の3点を上げています。しかし、いずれも、路面電車を100㍍伸ばさなければ達成できないものではありません。現利用者の属性や内訳が分かっていないのですから、何の回遊性がどう向上するのかは示すことはできません。交通結節点とは、乗り換え拠点や交通のハブ拠点のことです。誰が乗り換えをしているのか調査もしていないのですから、機能強化の効果は不明な事業です。都心の活性化については、すでに地価もあがっているようですから、100㍍延伸とは無関係です。
岡山市の財政が豊かで、市民が日々の暮らしに困ることも少なければ、歓迎される事業かもしれません。しかし、交通政策課題だけを見ても、路線バスの減便・廃止に困り、免許返納後の生活に困り、日常生活道路の補修・修繕がなかなか進まないことに困り、歩道や自転車道整備に困っている相談が日々届きます。何よりも、これからの高齢化社会において、約20万人の交通不便地域に住む方々の生活をどう支えるかの具体的政策が未だに、地域生活デマンドタクシーしかほぼ無い状況の中で、税金の使い方として、多くの市民が納得していないわけです。公共事業には政策課題の解決、という視点が必要です。
市長就任後にすぐ「市政の最重要課題の1つ」され、当初は約10億円とされた事業が、広場全体の改修に話が広がり43億円になり、昨年1月には市の認識ミス等で、86億円に跳ね上がる事が発覚ました。市民の理解が得られないとのことで20億円分広場改修を中止し66億円に抑えました経緯があります。しかし、地下街の店舗との補償交渉もまだまとまっていないとのことです。物価高騰の中で今後さらに事業費は上がるでしょう。さらに縮小した20億円分の広場改修も行うべきだとの議会の声があります。すぐに2期工事としてやるならば、市民を欺くことにならないか危惧します。
一旦立ち止まり、交通政策全体の中での優先順位を市民に明らかにする事を改めて求めます。
以上、議案反対理由を述べまして、討論と致します。
議員各位のご賛同を心からお願いいたします。