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(討論原稿) 2019年2月議会 議案(消費税関係以外)の討論 田中のぞみ(2019.03.15)
[ 03月15日 ]

(印刷用PDF)190315 議案への反対討論(消費税以外) 田中のぞみ


日本共産党岡山市議団の田中のぞみです。

党市議団を代表して、2月定例会で上程された135議案のうち消費税増税に関する議案以外、6件の議案について委員長報告に反対する立場で討論いたします。

(反対する議案)

甲第2号 平成31年度岡山市一般会計予算について

甲第3号 平成31年度岡山市国民健康保険費特別会計予算について

甲第15号 平成31年度岡山市水道事業会計予算について

甲第59号 岡山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について

甲第60号 岡山市立認定こども園条例の一部を改正する条例の制定について

甲第100号 岡山市立学校条例の一部を改正する条例の制定について

 

【待機児童解消にならない認定こども園にお金や人を割く一方で、公立施設を減らす】

まず、

甲第2号議案 平成31年度岡山市一般会計予算 のうち

第2表 債務負担行為

千種認定こども園(仮称)施設整備事業 限度額3億4,718万円

宇野幼稚園幼保一体化施設整備事業 限度額5千160万円

高島幼稚園幼保一体化施設整備事業 限度額5千280万円

第3表 地方債

保育園・幼稚園一体型施設整備事業費充当 中、今、陵南、妹尾を除く16億5,200万円余

歳出

第3款民生費 第10項児童福祉費 第16目認定こども園費 中、同じく18億8,000万円余

第1目児童福祉総務費 第15節工事請負費 中、民営化に係る経費1億円余 及び

甲第60号議案 岡山市認定こども園条例の一部を改正する条例の制定について と

甲第100号議案 岡山市学校条例の一部を改正する条例の制定について です。

これらは、市立保育園と市立幼稚園を統合して認定こども園を整備する事業と、市立幼稚園民営化に係る事業費です。

岡山市の保育園入園希望者は増加し続けており、二次調整の現段階で、「保育園落ちた」方が1,660人もいる状況です。122あった市立保育園と市立幼稚園を30の認定こども園に統合し、その他は民営化か廃止するという岡山市の方針は、今急いでやるべき事なのか、と改めて問いたいと思います。

今年、増えたと感じる印象的だった保護者の声は、「企業主導型や認可外保育園を薦められても経済的に行けない」「こんなに苦労するなんて岡山市で子育てをするのが辛い」という声でした。

保護者の願いは、安心できる認可保育園に預けたいということであり、これは保育料無償化後もますます強くなる傾向だと言われています。3歳未満児は無償にならないし、認可外では3歳以上児も無償化に上限があるからです。そのような中で、岡山市が巨額の市費と職員のマンパワーを投じて推進する、保育園と幼稚園を一体化してつくる認定こども園事業は、保育定員がほとんど増えないのに、市立保育教育施設も減らすという、まさに市民にとって理解ができない施策です。

私立認可保育園を1園つくる市負担は約2,000万円、市立幼稚園に給食場を作るのは約1億円。20億円もあれば、何人分の認可施設が整備出来るでしょう。

また、認定こども園整備に伴い廃止される鹿田保育園や今後跡地活用を検討される伊島保育園、庄内保育園等について、すぐに廃止するとなれば、さらに市民の理解は得られません。当面保育園として存続させるべきです。現在、市立幼稚園の空き教室で行っている緊急一時預かりを移動すれば、一定数の保育士も確保出来ているわけですから、給食付きの保育園としてそのまま稼働出来るわけです。児童福祉法24条の趣旨に則れば、1,660人という数を直視して、できることを最大限行う責務が岡山市にあると思います。そしてその際、将来的な少子化を見据えれば、民間任せでは、生き残り競争が激化する事は明白で、公立こそが、柔軟に対応出来るし、その責任を果たさなければならないと指摘します。

市立認定こども園整備についてはもう一点。セイフティネットの役割を果たすと繰り返し説明される一方で、図面上は、障害児の受け入れについてどこまで検討なされたのか大いに疑問が残りました。多目的室すらない園が多く、一貫性がみられません。クールダウンの部屋や別室確保については昨今学童保育でも考慮されつつあります。保育現場では今年も、障害児に退園をせまるというトラブルが起きました。就学前の障害児保育について、当局の位置づけの不十分さが、設計にも表れていると強く指摘します。

今議会の本会議質問では、子育て施策の如何が、移住先の選定や人口動態にも影響があるという趣旨の質問がいくつかありました。まさにその通りだと思いますが、残念ながら、保育園に入れない保護者の声は全国に向けて発信され続けています。

隠れ待機児童を増やしている岡山市の保育施策の抜本的見直しを求めて、この予算と条例改正案に反対します。

 

【保育園給食の外部搬入を認める規制緩和に反対】

甲第59号議案 岡山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について

は、家庭的保育事業の給食に第3者による外部搬入を導入しようとするものです。

家庭的保育とは子ども5人まで預かる保育事業です。認可保育所の3歳未満児については、法律上、現在も外部搬入は原則認められていません。今回の岡山市条例にも第15条には、「利用乳幼児に食事を提供するときは、家庭的保育事業所内で調理する方法に拠らなければならない」と明記されています。なぜ、わざわざ業者による外部搬入を認めようとするのか理解出来ません。アレルギー対応実績など条件をつけたとしても、管理を徹底することは難しいわけです。

また同15条に、「家庭的保育事業者等は、利用乳幼児の健康な生活の基本としての食を営む力の育成に努めなければならない。」とあるにもかかわらず、小さな子どもの毎日の貴重な栄養源である給食を、外部の業者のお弁当で良い、とするその姿勢が非常に残念です。毎日毎日、業者のお弁当で、どうやって食を営む力の育成ができるのか、条例自体が自己矛盾しています。

よってこの条例案に反対です。

 

【富吉の新斎場は建設強行に反対】

同じく、甲第2号議案 中、

債務負担行為

北斎場整備事業に伴う管理運営委託1億7,100万円余

第3表 地方債

斎場整備事業費充当4億3,660万円

歳出

第4款衛生費 第1項保健衛生費 第30目火葬場費中、斎場施設関連整備事業費6億1,000万円余

は、北区富吉での新斎場整備事業に係るものです。

当初の地域の意思決定のあり方、賛成地域に補助金を配分するやり方などに強い批判があります。

土地の値段、安全性などに疑問は残ったままです。

このまま富吉に新斎場を建設しては、地域にしこりが残ると、繰り返し指摘してきました。

この予算には賛成出来ません。


【ゴミ袋有料化に反対】

同じく、甲第2号議案 中、

歳入

第17款使用料及び手数料 第2項手数料 第4目衛生手数料 中、家庭系ごみ処理手数料9億9,100万円余

債務負担行為

家庭系指定ごみ袋作成経費1億1,770万円

歳出

第4款衛生費 第5項清掃費 第1目清掃総務費 中、家庭系ごみ有料化事業3億8,390万円

は、家庭系ごみの収集有料化に伴う予算です。

ゴミは、どれほど心がけていても生活する上で必ず発生します。安全で衛生的な市民生活の基盤を守ることは自治体のもっとも重要な業務の一つです。

お金を出して袋を買わなければごみを集めない、という考え方が間違っています。税金で処理するのが当然です。有料化とごみ減量化に有効な相関関係も見られませんでした。300万人都市横浜で、ゴミ無料のまま30%以上の減量を達成していることからも明らかです。

また岡山市は、ごみ袋代を環境関連の拡充経費に充てている、と言いますが、不法投棄対策やエコの推進は、手数料を取らなくてもやらなければなりません。市民から税金の二重取りのようにごみ処理手数料を集める理由にはなりません。

よって、この予算に反対です。


【毎年23億円かけて無駄な水を買うべきではない】

同じく、

甲第2号議案 中、

第3表 地方債

岡山県広域水道企業団水源開発出資金充当1億5,700万円

歳出

第4款衛生費 第15項上水道整備費 第1目上水道整備費 中、岡山県広域水道企業団運営費等負担金1,900万円余、岡山県広域水道水源開発等出資金1億5,700万円余

及び、

甲第15号議案 中、

支出

第1款水道事業費用 第1項営業費用 第2目受水費23億7,263万円余

は、岡山県広域水道企業団からの受水に係る費用です。

日本共産党は、苫田ダムは不必要なダムだ、と反対してきました。広域水道企業団の水の供給計画は極めて過大です。全体で日量40万トンの供給計画ですが、現在1期分の13万トンしか稼働していないにも関わらず既に水は余っています。他の自治体からも、未だ着手していない第2期の計画は見直す必要があるのでは、との認識が示されています。

にもかかわらず市は毎年、23億円もかけてムダな水を買い続けています。

今後の人口減少や市の節水努力とは別に、常に同じ量を買い続けなくてはならないのは税金の無駄遣いです。いつまで払い続けるつもりでしょうか。市は水道会計の厳しさを理由に水道料金の値上げを示唆しますが、このような大きなムダを放置したまま、市民の水道料金を値上げするなど到底許されません。苫田ダムの利水・治水の計画を見直すべきです。

よってこの予算に反対です。


【自衛官募集事務を市はやめよ】

同じく、甲第2号議案 中、

歳入

第18款国庫支出金 第3項委託金 第2目総務管理費委託金 中の自衛官募集事務費委託金11万6千円

は、市が委託を受けて行う自衛官の募集事務に係る予算です。

安倍政権の下で安保法制・戦争法が強行採決され、災害救助にがんばる自衛隊が、いまや集団的自衛権の行使が容認され、海外で戦争する組織へと変えられてきました。年末に発表された中期防衛力整備計画を見れば、最新鋭のステルス戦闘機の爆買いや護衛艦いずもの空母化など、もはや専守防衛の組織ではなく、まさに攻撃型の組織へと変貌を遂げようとしていることが分かります。
だいたい岡山市は、外交、安全保障は国の専管事項と言っているのですから、自衛官募集を市が行うことはありません。

よってこの予算に反対です。


【路面電車駅前乗入、LRTより先にやることがある】

同じく、甲第2号議案

歳出

第8款土木費 第20項都市計画費 第1目都市計画総務費 中、都市交通戦略推進事業費のうち1億6,600万円

は、路面電車の駅前広場乗り入れに係る予算です。

同じく、都市交通戦略推進事業費のうち6,300万円

は、JR吉備線のLRT化に係る予算です。

言うまでもなく、公共交通の充実は、交通弱者に必要な事であり、CO2排出削減の為にも進めなくてはなりません。民間の競争任せではなく、公が一定の責任を果たすべきことは、バス路線廃止問題で改めて明らかになりました。

市民の切実な願いは、交通不便地域を無くしてほしいということで、地域交通の充実です。そのためには、中心部の重複バス路線の整理も、赤字バス路線の維持も必要で、コミュニティ交通の充実もまだまだ不十分です。

その上で、路面電車の駅前広場乗入れと、まだまだきれいな駅前広場改修が公共交通政策の中で優先施策でしょうか。

LRT化についても、三門駅周辺の大幅改修が本当に必要なのか、それだけで本当に渋滞が解消するのか、だいたい渋滞解消のためならLRT化と切り離し、今でも踏切拡大をすれば良いだけではないのか、周辺地域がLRTでバラ色の未来予想図を描いて大丈夫なのか、そもそもJR西日本が現状でも単独で実施出来る事業ではないか、という疑問は払拭されません。予算配分についても市民的な議論は一切なしで、3トップで決めてきてしまいました。現段階で実施ありきの予算を認めるわけにはいきません。


【学校給食の民間委託は止めるべき】

同じく、甲第2号議案

歳出

第10款教育費 第30項保健体育費 第15目学校給食費 中、学校教育施設等整備基金運営費1,262万円余、

給食業務委託料9億4,381万円余

は、学校給食調理業務の民営化に係るものです。

一昨年の今頃、調理業務委託の指名を受けた業者が、調理員を確保することができず、辞退して投げ出しました。他の学校から給食を別々に運ぶ事態になり、他校の献立まであおりを受けました。安全で安定的な給食調理業務が維持できず、子どもたちに影響が出ました。この件は、給食民営化について指摘し続けてきた懸念が現実化したもので、決して忘れることはできません。起きるべくして起きた事案です。

給食調理業務は民営化推進ではなく、直営で責任を持つべきです。

民営化で浮くとされる金額を算出して、民営化すればその学校の施設整備を進めるというやり方は教育的ではありません。

よって、この予算に反対です。


【国民健康保険料の引き上げに反対】

甲第3号議案

は、岡山市国民健康保険の保険料率を引き上げようとするものです。

今年も市民から国民健康保険料を引き下げて欲しい、という署名が多数寄せられました。

国民健康保険制度は、全ての国民が安心して医療を受けられる基盤となる社会保障制度です。

にもかかわらず、この間国庫負担を減らす仕組みを作り上げてきたのは国です。その分の負担が、保険料に転嫁されてきたという経緯を無視して、市独自の赤字補填分を6年間でゼロにして「原点に戻す」とするのは、立ち返る原点自体が間違っています。

それは、全国知事会、市長会で国に対して1兆円の財政負担を増やすよう求めていることからも明らかで、それまでの間、市独自の財政支援を継続して保険料を軽減することはむしろ当然です。

国保料の市民負担を減らすには、まず、扶養者が一人増える度に、3.6万円も増える国保特有の均等割をなくすことです。特に18才未満の子どもに係る均等割を無くすのに必要な額は約2.6億円でした。保険料の減免のための自治体独自の財政支援分については、国が削減を指導する赤字補填にはあたらないということも委員会で明らかになりました。

また、岡山市独自のいわゆる4割減免制度について、制定以来20年以上も見直しがなされておらず、例えば、現在無料となった県立高校授業料の免除を基準にしていたり、死文化している条項があることがわかりました。実際に、本来なら該当するべき人が減免対象とならず8万円の差し押さえ通告に苦しんでいるわけです。岡山市は、7年も連続で値上げを計画しているのに、苦しい市民を救う減免規定は放置したままで、無責任としか言いようがありません。早急に見直しするよう合わせて指摘します。

高すぎる国保料をさらに引き上げようとする本特別会計には到底賛成出来ません。

以上、反対の理由を申し述べました。

議員各位の賛同を賜りますよう、よろしくお願い致します。