議会質問・ニュース

【陳情の討論原稿】 24年月6定例岡山市議会(林じゅん)
[ 06月25日 ]

【確定】陳情討論(林240625)


日本共産党岡山市議団を代表して、陳情第18号 夏季、冬季における障害者及び非課税世帯への電気代の補助を求めることについて、陳情第17号 議会の質問時間の確保と市民による撮影・録音の自由化を求めることについて、の2件について、採択を求めて討論します。

陳情第18号は、暑さ寒さの厳しい時期に、お金がないゆえ健康を損ねたり、命に関わったりする事態を引き起こさないための施策を求めるものです。

熱中症の発生場所でもっとも多いのは自宅で、約4割を占めています。安心して自宅のエアコンを使えるようにすることが、命を守ります。リスクの高い障害者、電気代が負担になる低所得者に支援を求める本陳情の願いは切実です。

このところ毎月のように様々な値上げがおこなわれ、6 月には食品614 品目が値上げされました。市が決めた水道料金、国民健康保険料、後期高齢者医療の保険料の負担増もあり、暮らしは本当に大変です。

株式会社第一生命経済研究所のリポートは、2024 年の家計負担は前年より1人当たり2万9千円増加する可能性を指摘しています。

年金は2.7%引き上げられましたが、実質賃金の引き上げは3.1%です。実質的には0.4%の目減りです。年金生活は楽にはなりません。

4月の日本銀行の『経済・物価情勢の展望』は、賃金が上昇していく見通しを示しています。大企業では賃上げが実現していますが、雇用の大部分を占める中小企業はそうなっていません。障害者や低所得者の多くは置いてきぼりです。

岸田首相は6月21日に、電気・ガス代を引き下げるための補助金の再開を表明しました。今のままでは暮らしが大変だということを首相も認識しているのです。

首相の認識はもっともです。市民の暮らしに寄り添えば、市議会が国より先に支援策の必要性を認識すべきです。

委員会では否決の理由が述べられなかったそうですが、本陳情を不採択にする理由が分かりません。よって採択を求めます。

陳情第17号は、議論を尽くす議会、開かれた議会を求める内容です。

地方議会は憲法で、議事機関とされています。求められるのは議論を尽くすことです。

岡山市議会基本条例の前文でも、

日本国憲法に基づく地方自治制度の二元代表制の下,議会は,その持てる立法機能,監視機能,調査機能,政策形成機能等の権能を十分に発揮し,自由かっ達な議論を通して,最良の結論を導き出す役割を果たさなければならない。

としています。

議会の役割は、市民の声を代弁して、市政に届けること、市の行政執行をチェックすることです。自由闊達な議論が大切です。そのためには時間も必要です。

議会の機能は水面下の調整ではありません。市民に開かれた場で、議論を交わすことが重要です。

2023 年4 月の選挙後の議会から、議員の質問時間が削減されました。本陳情は、それに対する市民の問題意識です。

議員個人の一般質問は一括質問20 分が15 分に、一問一答方式15 分はたったの10 分に縮められました。

一問一答方式が10 分にされてから、選択する議員が減りました。

この6 月議会では会派持ち時間制を利用して、質問しない議員から5分の時間をもらい、一問一答方式で15 分、一括質問で20 分の質問をした議員が複数いました。

10 分や15 分ではまとまった質問をするには短いと感じる議員もいる証拠です。

議会改革の一環で、質問と答弁が連続していて、市民に分かりやすい方式として導入された一問一答方式をことさら短くするのは議会改革の理念に反します。10分になって、早口が増えたようにも感じます。聞いている市民に分かりにくいと思います。

代表質問は、5 人以上の会派が60 分、3~4 人の会派が40 分だったものが、会派の人数掛ける8 分、上限60 分にされました。

4 人の会派は40 分から32 分、3 人の会派は24 分と短縮されました。

会派の人数の多少に関わらず、市政全般を論ずるのには時間が必要です。国際会議で国の人口の多少に関係なく権利が平等であるように、少数意見を大切にする民主主義の理念から、会派の人数に依らず代表権は平等であるべきです。

議案審査の委員会では、発言通告が導入され、上限がなかった発言時間は20 分に制限されました。発言順序は大会派順に固定されました。

時間を気にしながら順番通りに発言するのでは、自由闊達な議論にはなりにくく、議論を深めにくいと感じます。

議論の中で質すべき課題が新たに出てくることはあります。議会基本条例で位置づけられた議員間討議の重視に逆行します。

このやり方で一年が経ち、検証がおこなわれました。しかし発言時間の制限は変わりませんでした。

政令市になり、市の権限が拡大して、議論の対象は増えました。

また議員一人一人が何千人もの市民の負託を受けています。市民は自分が託した願いを議会で取り上げてくれることを期待しているはずです。本陳情でも市民の様々な要望があることが書かれています。

議会の時間短縮は、市職員の働き方改革も理由にされました。

メールでの原稿提出など、事務作業の簡素化が行われています。発言通告の処理はかえって事務作業を増やしたのではないでしょうか。

時間制限がなかった時も委員長の采配で、委員会の終了が17 時を過ぎることは多くありませんでした。また会期を戻して、本会議での一日あたりの質問人数を減らすことで散会の時間を早めることができます。もちろん必要であれば、しっかり時間を掛けて議論すべきものです。

議会の時間短縮を評価する声が当局にあるそうですが、短くなれば対応は楽にはなります。執行者側からはチェックが減れば楽になるのは当然です。しかしそれは民主主義にとっていいことでしょうか。民主主義の手間を惜しんではなりません。

議会としては時間短縮でない運営の改革を追求して、議員の責務をしっかり果たすために、質問時間を確保するべきだと改めて申し上げます。

市民による撮影と録音が、2022 年6 月議会から禁止されました。

議会によるインターネット中継とケーブルテレビの中継放送では、いずれも発言者しか映しません。議員の出欠や会議中の出入り、質問を聞いている市長や当局幹部の姿など、本会議全体の様子は伝わりません。市民が自分たちの選んだ議員や市長の様子をチェックしたり人に伝えたりするのは、議会制民主主義の一部であり、撮影や録音はそのための重要な手段です。

本会議での言動は、質問する側も答える側も、公人が公の場で公務として行っているものです。撮られて都合の悪いことがあるはずがありません。

撮影・録音を禁止した理由は誹謗中傷に使われるから、ということでした。誹謗中傷かどうかを判断できるのは本人であり、法的手段を取れるのも本人だけです。議員のために市民の知る権利を犠牲にするべきではありません。

岡山市議会は、第15 回マニュフェスト大賞(2020 年)で優秀躍進賞を受賞しました。

理由の1つは「情報公開の取り組み」でした。市民が自由に撮影や録音をできるのが、開かれた議会です。本陳情もそれを求めています。

この市民の願いを受け止めて採択すべきです。

議員各位の賛同を賜りますようお願い致しまして、討論を終わります。