【資料】 2014.11月議会 請願討論(1216田中のぞみ)
市議団事務局(東田) 14年12月16日
日本共産党市議団を代表して、請願第2号「年金削減の取りやめと最低保障年金制度の実現について」について、委員会報告に反対し、採択すべきとの立場で討論します。
本請願は、年金引下げにつながる「マクロ経済スライド」の廃止と、最低保障年金制度の確立を国に求めるものです。
マクロ経済スライドとは、物価が上がったとしても少子高齢化の進展に合わせて年金の給付額を抑制する制度です。来年4月に初めて発動され、一定の期間、毎年、1%前後で年金が下げられていくことになります。
すでに特例水準の解消として3年間で2.5%減額される法律により、昨年の10月と今年の4月に合わせて実質2%の引き下げが実行されました。10年前のデフレに今になって対応するものです。委員会でも当時と状況が大きく変わっているとの意見が出たとうかがっています。しかしこの4月に消費税が8%になり、アベノミクスによる物価上昇の影響も含めると実質年金額は安倍政権発足後6%も減ったことになります。
国民基礎年金は満額でも月額6万4千円ほどです。
65歳以上の年金受給者3,031万人のうち基礎年金のみの人は1,047万人であり、その平均月額は5万円です。最も多いのは3万円~4万円の層だそうです。ここから健康保険料と介護保険料を天引きされるのです。
また厚生年金など含めて全ての年金者のうち約半数の人が月額10万円以下ということです。高齢者の孤立化が進む中で、特に女性の多くが基礎年金のみで一人暮らしになると大変厳しい生活を強いられて暮らしがなりたちません。
生活保護の方が良い暮らしをしているという指摘があります。
しかしそれは、まったく逆で、最低限度の生活を保障する額にすら年金が追い付いていないということではないでしょうか。この経済大国日本でなぜこのようなことになっているのでしょうか。2013年5月には、国連の社会権規約委員会が日本政府に対して、無年金・低年金者が存在している事、また、女性の低年金に懸念を表明し、改めて最低保障年金制度の確立を勧告しました。今世界では、高齢化社会の進展で受給年齢の引き上げなど改悪が進んでいる中においても、最低保障の部分は分厚くというのが主要な流れになっています。たとえばニュージーランドでは、「10年居住する」など一定の条件を満たせば、保険料の支払いに関係なく1段階目の最低保証額を受け取れます。老後の為に貯金するという感覚はほとんど感じられず消費に回っていると思いました。保険料に頼らない年金制度は発展途上国も含め世界100か国以上で実施されています。
政府は財政難を理由に、さらに「マクロ経済スライド」方式を改悪し、今後30年間も年金削減を続けることや支給開始年齢の先延ばしも検討しています。ならばなぜ一方で国民から集めた莫大な年金の積立金を株式運用の拡大に回すのでしょうか。その目的は「株価維持」ためと公言しています。貴重な年金の原資が大変大きなリスクを負うことになり、しかも株式運用を委託した手数料だけで昨年度は222億円が積立金から支払われています。
また財政難というならば、なぜ、在日米軍の経費に6,452億も使い、さらに払う義務のない思いやり予算として米軍の住宅費や光熱費水費などに年間2,000億も使い続けるのでしょうか。米兵1人あたり年間1,300万円にもなります。一方で国民基礎年金は一人当たり満額でも年間77万円ほどです。
すべての高齢者が人間らしく生きられる最低限度の年金制度の確立こそが憲法で保障される生存権そのものであり、だからこそ国連でも重要な人権問題として日本政府に勧告しているのです。それはこの間政府主導で、非正規雇用が爆発的に増え年金制度に加入できていない若者が急増する現代において、私たちの子どもや孫たちの人生も大きく左右します。
まず、年金の削減ありきの「マクロ経済スライド」を廃止し、最低保障年金制度を確立することが必要です。
社会保障の財源は、消費税に頼らない別の道があると、この選挙戦でも訴えさせていただきました。岡山市民の命と暮らしを守る岡山市議会として国にきちんと物申すべきだと考えます。
議員各位のご賛同をお願いいたしまして討論を終わります。