(資料) 2015年9月議会 個人質問 河田正一(9/8)
市議団事務局(東田) 15年09月29日
●動画(インターネット視聴)はこちら http://www.okayama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=540
●質問原稿(PDF)はこちら 20150908 個人質問原稿(河田)
●全文は以下をご覧ください
今、参議院で審議されている安保法制に、若者やママさん、学者・文化人、そして元最高裁長官や判事など法律家もこぞって「憲法違反だ」「立憲主義の否定だ」と反対を表明しています。
全国津々浦々で集会やデモなど、かつてない規模で広がり、市民が反対運動に立ち上がっています。先月30日には12万人が国会を包囲し、連日大きなデモが行われています。今日8日は新宿駅西口、明日9日は日比谷公園と国民の運動は広がる一方です。「戦争する国にするな」の声は、かつてない市民運動として大きなうねりとなっています。
これとは違って、地道に粘り強い岡山市民の運動が大きな勝利を得たことについて最初に質問します。
1.御津虎倉産廃について
平成27年7月14日、最高裁は業者の上告を棄却し、御津虎倉産廃処分場「建設差し止め」の住民勝訴が確定しました。平成21年10月に岡山市が「建設許可」をしたため、住民が農業を営み自然と共に生き続けるために最後の頼みの綱として訴訟を提起したのです。
住民が提訴したのは、業者に「建設差し止め」を求めた民事訴訟と岡山市に「建設許可取り消し」を求めた行政訴訟の2つです。そのうちの民事の結論が下されたのです。これらは県のレッドデータブックに載っている絶滅が危惧される動植物です。
産廃処分場が計画された御津虎倉の本陣山一帯は自然の宝庫です。オオタカ、クマタカ、ハチクマ、ノスリなどの猛禽類の営巣地が見つかり、ブッポウソウの存在も明らかになりました。植物ではキンラン、カザグルマなどの原種が残っています。川の調査ではナガレホトケドジョウが県下で初めて確認されました。
山間の限られた農地しかない中で人々は暮らしているのです。しかし、そこには若い後継者が農業で生計を立て、家族を養っているのです。この人たちが、この地で農業を営み生活を続けるために、水や空気を汚されてはならないと「産廃反対」「命の水を守れ」と覚悟を決めて運動を続けてきたのです。
岡山市は「産廃処分場の許可は『法定受託事務』だから、書類が整えば『許可』しなければならない」と市民の生活に配慮することなく機械的な対応をしてきました。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」は、業者が処分場をつくるためにクリアしなければならない基準を定めたものです。したがってこの法律だけを盾にとると市の対応に不備がなかったと言い切ることもできるかもしれません。現に、「行政裁判」では、1審、2審で市側の主張は認められています。
しかし、市に対する「行政裁判」は最高裁の判断がまだ下されてはいません。「民事裁判」では、業者側の上告は棄却がなされ、住民側の勝訴が確定していますが、住民側が上告した岡山市の「建設許可」の取り消しを求めた上告審の結論は出ていないのです。「行政裁判」で最高裁が早々に棄却決定ができない理由があるものとも考えられます。即ち、岡山市の「建設許可」決定に疑問の余地が残っていると最高裁が考えていると思われます。
この2つの裁判の結果及び経過を受けて質問します。
(1) 今回の民事裁判の「建設差し止め」判決確定についての所見を伺います。
(2) 岡山市の「建設許可」は、法定受託事務との機械的な対応でした。しかし、住民の側に立ち、業者側から仮に不作為で訴えられたとしても市民の平穏な生活を守るという選択肢もあったのではありませんか。今判決を受けて、市の選択はどうだったと思いますか。
(3) 住民の産廃反対のこれまでの運動についてどのように評価しますか。
(4) 業者側は、産廃処分場建設に向けこの地で再申請することもありうるのではないかと住民は危惧しています。この危惧について、どのような所見をお持ちですか。
(5) 本陣山一帯は自然の宝庫で、岡山市の調査で「県立自然公園への指定するに足りる」との報告がされています。自然公園の指定についての取り組み状況及び岡山市として指定に向けての決意をお聞かせください。
(6) 14年間の苦しい戦いを重ねてきてやっと勝ち取った「建設差し止め」です。この地に産廃処分場をつくらせないようにするために岡山市としてできることは、市がこの土地を買い取ることです。市が「建設許可」をしたために多大な苦痛を長年にわたりこうむらせたことに対し、市は住民にきっぱりと謝罪し、再びこの土地が住民を苦しめることがないように市が買収すべきと考えます。住民に対して謝罪をする気はありますか。また、買収することは考えませんか。
(7) 控訴審判決で、「下流に水道水源があり、産廃浸出水が漏れ出すと住民に被害を及ぼす蓋然性が高い」ことが建設差し止めの大きな理由になりました。浸出水には何が含まれ、どのような影響が出るかわからないので、希釈されているとはいえ長期にわたる飲用が住民に被害を及ぼす蓋然性が高いと判決は言っているのです。
まさに住民たちが産廃処分場に対し危惧していることがこのことなのです。
このことは御津虎倉に限らずどの地域でも同じようなことが言えます。水源地の上流に産廃処分場を造るということは、常にこのような危険をはらんでいることです。だからこそ、水源地上流には産廃処分場を造り難くすることが求められます。
水道水源上流への産廃処分場建設を規制する条例を作ることが必要と考えます。条例をつくることについての所見を聞かせてください。
2.新しい文化芸術施設建設について
7月に、新しい文化芸術施設の建設予定地として千日前再開発計画地を発表しました。
建物の計画に岡山市がどのように参画することが可能なのか。また、市の費用負担はどの程度になるか。不確定な要素が多くある中での岡山市の大きな事業ですし、市民も大きな関心を持つ事業です。しかも、来年5月までに100%同意をすることが条件となっている、スケジュール的にも厳しい条件が課されている事業です。
場所の選定理由としてまちづくりの視点を重視したとのことです。しかし、本来の目的は文化芸術の視点での施設づくりであると考えます。本来の目的が脇に追いやられてまちづくり再開発が優先されることがないようにとの思いを込めて、質問します。
(1) 千日前再開発準備組合が示している計画の事業概要をお示しください。
(2) 現時点での地権者の面積及び権利者数の同意状況を教えてください。7月16日時点と比べてどの程度進捗しましたか。
(3) この施設建設ゾーンに不同意者の土地が集中しているとのことです。反対する人からの意見はどのようなものがありますか。
(4) 誘致推進同意率100%を求めるとのことです。岡山市が最近行った再開発事業におおける同意状況はどのようになっていますか。
(5) 計画策定において岡山市はどのように関与ができますか。再開発事業者とのすみ分けはどのようになりますか。
(6) 新しい施設では、イベントだけでなく、市民の誰もがいつでも気軽に立ち寄り、集い、憩える機能を併せ持つものにしたいと言っています。そのためには再開発ビルを作ればその中だけで事が足りると考えますか。もしもこの施設だけでは足りないとするなら周囲にどのようなことを求めますか。
(7) 千日前の計画地の土地の評価額はいくらですか。
(8) 換価するための建物の評価は誰がどのように行いますか。
(9) 整備グレードを同じ条件で比べると3つの計画でコストの差はあまりないと言われています。天神町計画は、岡山市が算出したものです。この金額はいくらですか。
(10) 公共施設建設にあたって事業費が膨らむことは、国立競技場の例でもあったようにままあることですので、歯止めが必要です。岡山市がこの計画に投入する上限額はいくらですか。
(11) 現市民会館はカルチャーゾーンにあります。市民会館がカルチャーゾーンからなくなったときに、文化芸術施設が集積しているカルチャーゾーンに大きな穴が空くと思われます。この穴をどのように埋めるつもりですか。