(資料) 2015年9月議会 個人質問 田中のぞみ(9/10)
市議団事務局(東田) 15年09月30日
●動画(インターネット視聴)はこちら http://www.okayama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=555
●質問原稿(PDF)はこちら 20150910 個人質問原稿(田中)
●全文は以下をご覧ください
日本共産党岡山市議団の田中のぞみです。
1.国民健康保険制度について
いずれ誰もが加入する国民健康保険制度は、国民皆保険制度を支える根幹であり重要な社会保障制度です。一方で所得200万以下の世帯が70%以上を占め、所得に対する負担割合は健康保険の中でも飛びぬけて高くなっています。滞納者が5世帯に1世帯あること自体が異常だと思います。当初予算における滞納分の割合をみても国保は20%を超えています。市民税で約4%、保育料で約8%、後期高齢者医療制度で約1.3%を見れば、いかに払えない料金かという事も表しているのではないでしょうか。命のパスポート制度を守りたい、との立場で質問します。
(1)決算状況について
平成26年度の国保会計の決算が示されました。【資料①と②】12億余の黒字会計で、当初29・5億予定していた法定外繰り入れも12億で済みました。基金にも約5億積み増しすることができ、基金残高は約16億になっています。前年からの繰越金を除けば単年度では赤字になると言われますが、財政は確実に改善されています。
ア.どのように分析をされていますか。
イ.保険料の据え置きと収納率の向上などの努力もあり、滞納者数は微減してきました。それでも、1,953世帯が保険証を取り上げられています。2001年の7世帯と比べれば約280倍です。どのように認識されておられますか。
(2)払える国保料にするために何ができるか
ア.まずは、国の財政支援を低所得者対策に
6月議会でお示しした国の新規財政支援について市長にお伺いします。本年度から低所得者対策強化のため1700億円が投入されます。岡山市では7.7億円程度になると答弁がありました。この財源を使って国保料を引き下げる自治体が相次いでいます。7.7億円の配分根拠は低所得者の数に対応し分配されています。【資料⑤】は厚労省の資料です。ここで国がはっきり示している通り、低所得者の支援にきちんと使うべきではないでしょうか。
私は国保制度自体がこの国で今大きな問題になりつつある貧困対策だとも思っています。市長の見解を求めます。
イ.多子軽減を設けるべきではないか
岡山市の国保料の計算方式は、所得の大きさに応じる応能割が5割、所得に関わらず平等に振り分けられる応益割が5割です。【資料特に均等割りは家族の人数分加算されるので、子どもが0歳でも1人分の35,280(44,640円)が計算されます。つまり、子どもが多ければ多いほど国保料が高くなる仕組みです。【資料④】収入がない子どもになぜ保険料を課すのでしょうか。子育て支援の観点からも、18歳未満の子どもについてはせめて均等割りを0にするなどの対応が必要ではないでしょうか。
ウ.医療費抑制の取り組みは欠かせない
保険料の算出根拠となる医療費抑制につながる健康増進の取り組みは欠かせません。H22年の医療費分析報告書では地域別の特色なども分析されていました。その後の取り組みと成果をどう評価されていますか。
一方で、特定健診の受診率がわずか25%程度となかなか伸びません。その要因について、年代・性別・理由で分析ができていますか?
(3)窓口負担の減免制度の拡充を
保険料については、7割、5割、2割などの法定軽減制度があります。しかし、医療機関の窓口で支払う医療費については、ほとんど減免制度がつかえません。昨年度はたった2件のみの実績です。しかし保険料7割軽減に該当する世帯は3,700を超えています。7割減免が該当する世帯は総所得が年間33万円に満たない世帯です。所得が33万未満の家庭で、入院などした場合は月に何万円も急に払うことはできないのです。まず7割軽減世帯の実態を分析していただきたいがいかがでしょうか。そのうえで、窓口負担金の減免制度の拡充を求めます。
(4)国保の都道府県化について
平成30年から国保の都道府県単位化が示されています。後期高齢者医療制度のように県単位で一括されるというイメージからその内容は大きく変わってきました。結局、各市町村単位で保険料を決め、徴収し、運営するという事になるようです。
ア.市町村単位で一般会計からの法定外繰り入れは可能でしょうか。
イ.保険料は、市町村ごとの医療費総額に応対する設定になると仄聞します。【資料⑥】にあるように、岡山市の一人あたりの医療費は県下27市町村のなかでかなり低くなっています。保険料にどう影響すると考えられますか。
2.教育課題の解決に向けて
(1)全国学力テストについて
今年度の全国学力テストの結果が公表されました。昨年との比較や他都市との比較において一喜一憂する風潮が続いています。この学力テストの平均点を上げるために学校で起こっていることが、先日の山陽新聞にも紹介されていました。ある県では「6年生になると新学期が始まっても4月末の学テが終わるまでは過去問題対策に明け暮れて教科書も使わない」「家庭訪問も中止」。毎年60億円もかけて、何のための学力テストなのでしょうか。第1次安倍内閣の時に始まった全国学力テストが、回を重ねるごとに子ども達の学習意欲を奪い、学ぶ楽しみを奪い、学力格差をひろげ、先生の貴重な時間までを奪うことにつながっていないか、懸念の声が大きくなる一方です。授業改善につなげるのなら、隔年実施や抽出実施で過度な競争を避ける工夫こそ必要だと考えます。このような意見について、教育長と教育委員会委員長の見解を求めます。
(2)何が岡山市の教育課題なのかクリアに
不登校やいじめ、暴力行為なども問題行動は、これもまた子ども達が抱える課題の一面にしかすぎません。さまざまなデータに基づいてもっと深層の分析がなされることで課題もよりクリアになり的確な対応策が生まれてくるのではないでしょうか。「規範意識」を上から押し付けても根本の解決にはならないと考えます。
ア.学校が嫌い、勉強が嫌い、自分が嫌い、無気力という子ども達の理由や傾向を的確に把握されていますか。その背景に、学力の格差や子どもの貧困の深刻化が考えられませんか?このような現状を20年前や、他都市と比べて岡山市はどうなのか考える必要があると思います。
イ.学校現場では、先生の非正規率が全国的に見ても岡山市はとても高くなっています。また、教員の勤務負担はまだ軽減されているとは思えません。先生方のモチベーションやスキルの変化についてはどうお考えでしょうか。
(3)映画「みんなの学校」にはヒントがいっぱい
下村文科省大臣が「日本中の学校がこうなればこの国は変わる」と、大変感動し文科省の職員にも視聴させたという話題の映画が、市民のつどいで上映されました。登場する大阪市立大空小学校は、不登校ゼロ、障がいがある子もない子もみんな同じ教室で学びます。究極のインクルーシブ教育です。まさに社会の縮図のような学校で、先生も子ども達も地域もそれぞれの「個性」を認め、お互いを思いやり、共に問題解決に挑んでいる。湯浅誠氏も、同じレベルの子が集まり、同じような環境の子が集まる教育環境では決して得られない力、多様で複雑なこれからの社会で求められる様々な力が育まれている旨を述べられています。「一人も見捨てない」教育が岡輝中と同じだと思いました。市長は先日、岡輝中学校を視察されたと伺いました。お忙しい中早速のご対応いただきました。何かご感想があればお聞かせください。
(4)子どもたちを追い詰めないで
ア.収納金の同意書は撤廃を
昨年から、給食費を含め学校の収納金の納付に対し、誓約書のような文章を保護者に書かせています。特に、連帯保証人を連想させる「保護者以外の連絡先」の欄には誰を書けばよいのか、サラ金のようで非常に不快との意見が寄せられていました。給食は今や食育と位置づけられ、スーパー食育事業も実施され大きな成果を出されているところです。払わないなら食べるなと言えるような位置づけではなく、義務教育の一環であるなら無料化を検討するべきであり、誓約書を書かせるべきではありません。徴収に係る教職員の負担軽減も無料化に勝るものはありません。わずか0.5%程度の滞納者のために全員に書かせる誓約書は撤回していただきたいが、いかがか。
イ.就学援助の前倒し支給を
義務教育は無償と憲法で保障されているにもかかわらず、入学等に際しては特に多額の費用を要します。ランドセルや制服、体操服など小学校でも8万円ほどと聞いています。この無理がたたり、千葉県では中学2年生の愛娘の命を奪ってしまった事件まで発生しています。6月議会では入学前の貸付は困難との答弁でしたが、しかし、基金を作って貸し付けを開始した自治体、就学援助を前倒しで申請するという形で前倒し支給を実現している自治体が出てきています。困難とする理由をお示しください。
(5)県費負担教職員の税源移譲について
平成29年度より、県費負担教職員の税源移譲が行われます。約3500人の教職員が市の職員となるわけですが、処遇条件などが後退しては本末転倒です。
ア.本市の人件費比率については跳ね上がることが予想されます。本市の行財政改革の目標に使われるこの人件費比率ですが、教育の分野で退職不補充などの合理化が至上命題になることがあってはなりません。教育分野は例外とするべきですがいかが。
イ.足りないとされている財源についてその額とメドについてお示しください。
ウ.県教育委員会の給与体系をそのまま引き継ぎますか。懸念されるのは非正規の講師や職員の処遇です。市の条件に合わされることで月給が10万円近く下がると指摘される政令市があります。条件を引き下げることがあってはならないと考えますが、どうお考えですか。
(6)避難者支援について
次回以降に取り上げます。