(資料) 2015年9月議会 個人質問 林潤(9/10)
市議団事務局(東田) 15年09月30日
●動画(インターネット視聴)はこちら http://www.okayama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=556
●質問原稿(PDF)はこちら 20150910 個人質問原稿(林)
●全文は以下をご覧ください
1 地方創生、総合計画、連携中枢都市圏構想について
日本創成会議の増田レポートが人口急減社会で2040年までに896の自治体が消滅するとの予測を示して、地方に衝撃を与えました。
日本が人口減少の局面に至っているのは確かでしょうが、増田レポートの通りに地方が消滅すると考えるのは早計だと思います。
また増田寛也氏の著書『地方消滅』ではいくつかの対応策が示されていますが、必ずしも適切とは限りません。
安倍内閣は地方交付税制度を改変し、政府が地方自治体をコントロールする仕組みづくりを強めてきました。2015年度の地方財政計画の歳出に計上された「まち・ひと・しごと創生事業費」の半分の5,000億円は自治体ごとの行革、地域活性化、人口減少対策などの「成果」を基準に交付税を配分する仕組みが導入されました。これは、行革などで「成果」を出せなかった自治体は交付税が実質的に減らされる仕組みです。
交付税削減という鞭で地方自治体をコントロールしようとすることは地方創生とは反対の発想です。
そこで質問です。
1.地方創生、総合計画、連携中枢都市圏構想の相互の関係はどうなっていますか。
2.地方創生には、地域ごとの自治でその地域のニーズに合った取り組みが必要です。地域のニーズの取り込みはどのように行われていますか。
3.増田寛也氏の『地方消滅』にはふるさと納税の活用や高齢者の地方移住促進が処方箋として挙げられています。これらは本質的な解決にならないと思いますが、ご所見をお聞かせください。
4.2014年度補正予算の新交付金の「地方創生先行型」を活用した「子ども医療費無償化の拡大」「住宅リフォーム助成制度の創設」「若者の雇用対策」を行っている自治体があります。岡山市はどう使いますか。
5.国には、国が決めた成果指標ではなく、地方の必要に応じて交付税を配分するように求めるべきではありませんか。
6連携中枢都市圏構想の効果はいつ、どのように検証しますか。
2 苫田ダムと広域水道企業団からの受水について
国が県と岡山県広域水道企業団に対して、苫田ダムの利水容量を減らし治水への転用を検討するように依頼しました。
苫田ダムの洪水調節容量は50,000,000立方メートルであり、水道容量が23,000,000立方メートルとなっています。
他に工業用水、農業用水などのために5百万立方メートルあまりがあり、全量が発電に利用されています。
国の依頼は第3回明日の吉井川を語る会で示された5つの案の中で水道容量23,000,000立方メートルのうち10,000,000立方メートルを治水に転用することにより洪水調節容量を増やす案に基づくものです。
苫田ダムの利水容量は一日あたりにすると400,000立方メートルです。それを岡山市を含めて11の市と町で買っています。ただし日量104,760立方メートルは買い手がないために県が負担しています。国が5億円程度で買い取る意向ということです。
岡山市は広域水道企業団から日量43,700立方メートルを受水していますが、水源が不足しているのではありません。
三野浄水場は給水能力日量191,000立方メートルに対して、認可値は164,250立方メートル、山浦浄水場は20,000立方メートルに対し19,000立方メートルなど水源調整を行っています。
受水自体も基本水量109,250立方メートルの4割です。
そのため、我が党市議団は、苫田ダムの利水計画は過大なものであり、岡山市が買わなくてもいい水を買わされる無駄な公共事業だと反対してきました。
そうした中で国が利水容量を治水容量へ転用する提案をしてきたのは国も日量40万立方メートルの利水量は要らないと考えていることの表れです。
その際、県負担分以外の日量295,240立方メートルを受水している自治体も無関係ではありません。
責任水量に応じた負担軽減があるのが公正なやり方です。
そこで質問です。
1.苫田ダムの利水容量の内、岡山市の配分水量として負担している費用はいくらですか。
2.国の提案を受け入れた上で、利水を治水に振り替えた分の費用は岡山市ほか広域水道企業団から受水している自治体に還元すべきだと求めてはどうですか。
3.広域水道企業団から受水している自治体と連携して、受水費用の見直しを要求してはどうですか。
4.そもそも苫田ダムの利水量の見込みが過大だったのではありませんか。
3 マイナンバーの市民と事業者への影響について
9月3日に改正マイナンバー法が成立しました。
日本年金機構の情報流出があり、マイナンバーに対する不安がぬぐえないまま、年金情報での利用を先送りする小手先の対応をするだけで、施工前から利用拡大を図る改悪です。
金融機関での利用を可能にするものですが、銀行業界からも対応に巨額の費用が掛かる一方で預金者の同意は進まないだろう、と懸念が示されています。
預金者のメリットとして例示されているのは金融機関が破綻した場合の預金者への払い戻しがスムーズになることです。デメリットに見合うメリットとは思えません。
同時に個人情報保護法の改正もなされました。一定の加工をすれば個人情報を本人の同意無く企業がビッグデータとして利用できるようにするものです。個人情報の保護ではなく個人情報企業利用法とも言うべき改悪です。
マイナンバーが施行されると市民にも事業者にも大きな影響があります。
市民は申請すればマイナンバーのカードを交付されます。そこにはやたらと人に見せてはいけない番号が記載されます。
早速、目隠し付きカードケースを配布する案が総務省から出されました。
今後、色々な場面で使用することを想定しながら、表面に秘密の番号を書くというおかしな制度です。
パスワードの設定も要求されます。年に何回、使うか分からないパスワードをどう決めて保管するのかも問題です。マイナンバーの出番がある度にパスワードが分からない、という市民が出てくるでしょう。
企業は、従業員や扶養家族などのマイナンバーを把握して管理する必要があります。これにも大きなコストが掛かります。
事業者向けには特定個人情報保護委員会により『特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン(事業者編)』が示されています。60ページを超える分量があります。中小業者や個人事業主は特に対応が難しいと思われます。
マイナンバー情報は7年間は保存しなければならず、その後は復活できないように削除や廃棄をしなくてはなりません。従業員管理のシステムにその機能を盛り込むことが要求されます。
講演会を開いて講師料から源泉徴収する場合にもマイナンバーの事務が発生します。
同じ人に再度、講師を頼んだら前に聞いたマイナンバーを利用できます。がまた頼むかもしれないし頼まないかもしれない、という場合もあります。マイナンバーを保管する手間を掛けるか掛けないか、困ってしまいます。
事業所によってはマイナンバーに関わる担当者が複数、生じることが想定されます。
ガイドラインでは「事業者の中で、単に個人番号が記載された書類等を受け取り、支払調書作成事務に従事する者に受け渡す立場の者は、独自に個人番号を保管する必要がないため、個人番号の確認等の必要な事務を行った後はできるだけ速やかにその書類を受け渡すこととし、自分の手元に個人番号を残してはならない」とされています。
「情報を受け取ったら速やかに次へ渡して消去し、自分は忘れろ」とスパイ映画のようなことが社内で要求される訳です。
事業者は、マイナンバーの事務を委託することができます。再委託も可能です。再々委託も可能です。そして再委託、再々委託された業者についても事業者に責任が求められます。大変なことです。
事業者向けのガイドラインをざっと見るだけでも様々な負担や危険が分かります。
他方でシステム改修やカードそのものを作る業界には大きな儲け口が発生します。
住基カードで市民生活がどれだけ便利になったでしょうか。
マイナンバーで生活保護の不正受給が防止できるとされています。
マイナンバーのメリットとして最初に挙げられるのが「生活保護の不正受給防止」です。
今日のニュースでも預貯金の把握で、資産があるのに受給することを防げる、と報じられていました。
生活保護の不正受給は受給している内の0.4%程度です。全国民比ではさらに低い値になります。不正防止のために全国民に番号を振る必要はありません。
不正受給は、ケースワーカーを適正に配置して、受給者の相談に乗ったり生活状況を見たりして対応すればいいことです。
それでも不正受給防止を理由にするならば、国は全国民を不正受給者予備軍として扱っていることになります。
反対に、水際作戦などを容認してきた政府の姿勢を見れば、困窮している個人に対して「あなたは税金をほとんど納めていない。所得が低すぎるのではないですか?支援が必要でしょうから生活保護や福祉サービスを提供しましょう。」などと言ってこないのは明白です。
マイナンバー先進国のアメリカや韓国ではなりすましの被害が深刻です。アメリカの国防総省、軍人は別な番号制度に分離されました。アメリカや韓国の問題を見れば日本で施行すべきではありません。
そこで質問です。
1.民間企業でも公的機関でも個人情報の流出は現実のものです。マイナンバーの情報流出の危険性についてどのように考えていますか。
2.2月議会で改正された岡山市個人情報保護条例はどのように機能していますか。
3.市民にとって年に何回かあるかないかの事務手続きの簡素化とリスクの費用対効果をどう評価していますか。
4.マイナンバーは国民監視体制に繋がるのではありませんか。
5.パスワードを忘れた市民はどうすればいいですか。
6.マイナンバー準備のためのこれまでの国庫支出金と市の独自負担の金額はそれぞれいくらですか。
7.市の独自利用は危険回避のために行うべきではないと考えます。ご所見をお聞かせください。
8.中小業者、個人事業主にとって必要になるマイナンバー対応はどのようなものですか。支援策を取りますか。
9.PTAや保護者会などの講演会の講師料もマイナンバー利用事務の対象ですか。マイナンバーを取り扱う可能性がある団体、組織への周知はどうなっていますか。
10.DV被害者など住民票の住所に通知を送って欲しくない人の申請状況はどうなっていますか。個別に送り先変更の手続きは紹介していますか。
11.マイナンバーの実施を延期しても現状の市民生活が続くだけです。むしろ周知不足のマイナンバーの通知が届いて戸惑ったり、対策が進んでいない事業者が困ったりすることがなくなるだけで市民に不利益は無いと考えます。ご所見をお聞かせください。
12.国にマイナンバー制度の実施延期や中止を求めるべきではありませんか。