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日本共産党 岡山市議団

【資料・質問原稿】 平成28年2月議会 個人質問(3/9竹永光恵)

16年03月14日

竹永光恵 質問原稿(160309)

(質問大項目)

1 障害者差別解消法施行に伴う対応について

2 子どもの貧困対策について

3 社会的養護の必要な子どもたちについて

 

 

 

1 障害者差別解消法施行に伴う対応について

4月から、障害者差別解消法が施行されます。その目的は、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現に向け、障害者差別の解消をすることです。

岡山市としても職員対応要領をつくり、研修等で徹底する方向で調整されています。

国会でこの法律は全会一致で決まり、法ができたことは大きな一歩ですが、議論の過程で、差別の定義がはっきりしなかったことや、事業者へは努力義務のみということなど課題が残ったままです。実際に対応しながら充実していくしかありません。

そこで伺います

(1)差別解消を原則としながら正当な理由があったり、差別解消の実施に過重な負担が伴う場合は差別解消の例外としています。職員の要領には具体的にこのことが書き込まれますか?

(2)「過重な負担」は市側の一方的な理由にせず、ケースごとに代替え措置についても当事者が話し合える仕組みを作っていただきたいがどうでしょうか?

(3)法律では何が差別なのかの定義は明確にされず、不当な差別的扱いと合理的配慮の不提供ということが明記されました。合理的配慮の不提供は本人からの意思表明があった場合とのことなどですが、意思表明できない重度の障害の方への対応など配慮義務はどうなるのでしょうか?

(4)そういうことも含めて支援協議会には当事者の参加が必要です、団体枠のみでなく、あらゆる障害の方々の意見をくみ取るためには公募枠もつくったらどうでしょうか?

(5)相談窓口は新たに作らず、今までのものを利用すればよいとしていますが、紛争解決機関や、専門家のいる相談窓口は必要だと考えます。いかがでしょうか?

(6)また国の法制定より先にすでに16自治体で条例制定をしています。岡山市も条例をつくってはどうですか?

(7)障害者差別解消法の制定・施行にあわせて改正障害者雇用促進法が成立しています。障害者差別解消法では事業者の合理的配慮は努力義務ですが、雇用促進法では法定義務としています。事業者への指導はどうされますか?

今回、法の中身をみれば見切り発車の感が否めませんがこれから起こりうるケースに対応しながら市としても国としてもケースごとに対応する中で充実しながらすすめていっていただきたいと思います。

 

 

2 子どもの貧困対策について

山形大学の戸室准教授の研究によると、生活保護以下の収入で暮らす子育て世帯が過去20年間で倍増し13,8%となったとのことです。岡山県は47都道府県のうち悪い方から14位で15,7%というショッキングな結果です。政府は平均的な所得の半分以下でくらしている相対的貧困率を調査し16,3%ですから、より低い所得以下で暮らしている子どもたちがこんなにいるという深刻な結果です。

戸室准教授は生活保護の収入以下で暮らしている世帯を貧困層と考え、貧困率を算出し、その結果、日本では全世帯の18,3%、子育て世帯の13,8%が生活保護基準以下の収入で暮らしているといえるとまとめています。そして生活保護基準以下の収入で暮らす全世帯のうち15,5%しか生活保護を受給していないとの結果がこの調査で出ています。保護を受給しない理由としては、手元に7万円以上の現金があることや車などの資産を持っていることをあげており、結果、働いている人の方が低い所得で暮らしているとなっています。

また子育て世帯の非正規労働者の数が増えていることがその背景にはあります。

2014年に消費税率が8%に引き上げられたとき、政府は低所得者対策として簡素な給付措置を実施しました。住民税非課税世帯に児童一人あたり1万円、児童手当を受給世帯に児童一人あたり1万円、その翌年6千円、と3千円、2016年には子育て世帯は打ち切りとなりました。今後、一人親世帯は、給付金の廃止、消費税増税がダブルパンチとなります。児童扶養手当は2人目から増えますが、一人親家庭の過半数は子どもが一人しかいませんので、いきづらさを抱えてしまうことが目に見えています。

だからこそ市として本気で取り組まなければならないと私は思います。

今回も、大勢の議員さんが子どもの貧困についてとりあげられました、しかし市の答弁は重要課題と言いながら支援プランの中の一つとして位置づけただけで、市をあげて総掛かりで取り組まなければならないという課題とまではなっていません。

東京都荒川区は区民の幸せにとって貧困問題を排除することこそが重要課題だと区をあげてとりくんでいます。

「貧困はみえにくい、見えにくい貧困を放置するのは社会による虐待だ」という立場を明確にし、市とは別に研究所を立ち上げ「地域は子どもの貧困・社会排除にどう向かい合うのか?あらかわシステム」を発表し「子どもの貧困・社会排除問題対策本部」をたちあげ全庁的に取り組むしくみまでつくっています。

そこで質問です

(1)見えにくい貧困を放置しないためにも「重要課題の一つ」では無く、最重要課題としてとりくんでいただきたいとおもいます。独自の条例、計画などの必要性はどうお考えか?

(2)貧困の背景には子どもだけでなく、親の労働実態や健康状態などさまざまな問題があります。担当課を超えたチームで関わる必要があると思います。今議会の議論で協議する場を立ち上げるとの答弁がありました。荒川区のように貧困への意識を縦割りを超えて共有できる場となるのでしょうか?また問題が深く背景が複雑なだけに子どもの貧困だけに特化する課が必要だがいかがか?

(3)また前回の質問から親子手帳交付時のアンケートの項目が少し詳細になり感謝しています。しかし見えにくい子どもの貧困の背景をつかむためには、より詳細な調査が必要です。

足立区は子どもの貧困は子どもの健康、生活に関わる問題だと位置づけて、健康づくり課が責任をもち小学校一年生を対象にアンケートを行い、朝食に野菜がはいっているか?とか夕食は誰と食べるか?家族の手作りのものはどのくらいの割合ででてくるか?お菓子のとり方?起きる時間、寝る時間、親の経済状況など多岐にわたり聞いています。また大阪市は市内に住む5歳児、小学校5年生、中学2年生、6万人を対象に生活習慣、学習環境などの調査を行うとのことです。どちらも6人に1人の子どもが貧困状態にあるという危機感からの対応です。岡山市にはこの危機感がたりないのではないか?貧困の連鎖を断ち切るための実態把握はどのような方法でしようとお考えなのでしょうか?

(4)先日岡山市の寄り添いサポートセンター交流ネットワーク会に参加させていただきました。生活困窮者支援を支える現場からの実践報告で赤磐市の「子どもの家」のとりくみを伺いました。中学生を中心とした子どもの居場所作りと食事を提供しています。何杯もおかわりする子、お風呂にも入っていない子など深刻な子どもの暮らしが見えてきたとの報告でした。岡山市内でもあちこちで子どもの居場所や子ども食堂をつくるという動きがあります。そういう方たちがネットワークでつながり情報提供や資源の活用などを共有できるしくみを市としてつくりませんか?

(5)国は自治体に必要な支援計画をつくり、地元の企業やNPO法人、自治会などと連携する子どもの貧困の事業に対して事業費の二分の一、上限750万程度の予算をくんでいますが、市としてどう活用しますか?

(6)前回も伺いましたが、この時期、入学の準備が大変だという声をうかがいます。就学援助とは別な制度で函館市のように入学準備給付金を創設しませんか?

 

 

3 社会的養護の必要な子どもたちについて

(1)善隣館について

県内で唯一の公立の児童養護施設善隣館には定員25人、現24人、一時保護1名の子どもたちが暮らしています。そのうち母子世帯46%、精神疾患の保護者42%、生保家庭38%で、入居理由として被虐待児が92%、障害児が71%という深刻な状況です。入居期間10年以上1人、5年以上5人 平均3年3か月です。そして職員は臨時をふくめ19人、児童を直接指導する正規職員はわずか5人です。

久しぶりに訪問してみての感想ですが、ハード面もソフト面も限界のような気がします。

H30年には耐震化をするとのことですが、国も県も養護施設のあり方を少人数のユニット化やファミリーホーム化へと動いているときに善隣館としても20年後、30年後の施設のあり方を考えるときではないかとおもい、今回質問させていただきます。

ア 善隣館は、平成11年に民営化の話があり、その後2年にわたり審議会や議会などで議論をして平成13年に善隣館のあり方をまとめ当面公設公営との結論をだしました。そのとき決まったことは、①より地域に開かれた施設に、②子どもに豊かなケアを、③職員の専門性を高めるというようなことだったと記憶しています。そして職員は担当制とし長く子どもたちといる時間をとるための勤務体制を検討することになりました。またそのときに館長も公募制とし、昨年まで公募の館長が務めていました。この当時の方針がどう総括され現状はどうなっているのでしょうか?

イ あれから15年たちました。そろそろこれからの善隣館について方針をもつ時期ではないのでしょうか?子どもの愛着形成には個別支援、小規模化がベストです、施設の形態そのものを変える必要があるとおもいますがいかがでしょうか?

ウ 厚労省の「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」の委員の山梨大学の西澤哲(にしざわさとる)教授は、複雑な子どもたちに対して医療、療育の専門的機能がこれからの養護施設には求められると言っています。唯一公立の施設として専門的機能を保障するための人員を配置し、民間をリードする先進的な施設に善隣館を位置づけてはいかがでしょうか?

エ 国は高校を中退しても22歳まで養護施設にいることができるようにするとの考えを示しました。具体的に受け入れるためには定員の拡大と職員の充実がもとめられます、いかがお考えでしょうか?

 

(2)奨学金について

子どもの貧困は放置すれば経済消失2,9兆円とも言われています、貧困の連鎖を断ち切るためには学びの保障が一番です。しかし有利子の奨学金が返済できず困難な暮らしを強いられている若者が増えています。

ア 世田谷区は養護施設や里親のもとで育った子どもが大学進学するとき一律月三万円の給付型の奨学金を設立しました。一般会計から5000万の基金をつくったという区長の英断です。社会生活のスタートからフェアでない子どもたちには本当に希望の制度となっています。岡山市でもぜひ。

 

(3)退所後のフォローアップについて

2年間市民団体と市が協働でとりくんだ児童養護施設等を退所した子どもたちの自立を支援するための相談対応と居場所設置が形となり、今年度アフターケア相談所の設置などに予算が付きました。いままで取り組んで来た団体の努力や、モデル事業には実際に退所した若者たちもかかわったと伺い頼もしい限りです。

ア 本事業になるにあたって市内のすべての養護施設の協力は得られるのでしょうか?

イ これまで支援を受けていた子どもたちは引き続き支援を受けられるのでしょうか?

ウ 退所後のこどもたちのうち高校中退者の悩みは深刻です。再び勉強したいと思ったときの受け皿があまりにも少なすぎます。県のうじょう高校は倍率3倍、後楽館は不登校や夜間枠は無くなりました。民間の希望学園やクラーク学園などは学費が高く、困難です。貧困の連鎖を生まないためにも再チャレンジできるための財政支援や情報共有、大検資格試験の勉強のサポートなどの仕組みを考えませんか?

 

 

 



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