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日本共産党 岡山市議団

【資料】 2016年11月議会 個人質問(原稿) 12/9林潤

16年12月13日

林潤 個人質問原稿(161209)

 

1、部落差別解消推進法案について

「部落差別の解消の推進に関する法案」以下、「部落差別解消推進法案」が12月9日、参議院本会議で可決されました。

一部に、この法案に反対することは、差別解消に反対することかのように歪める論調があります。

法律は名称通りとは限りません。障害者自立支援法は、障害者の自立を支援するどころか、阻害するものだったため、改められました。

部落差別は当然、あってはならないものですが、部落差別解消推進法案は解消の推進どころか、差別の固定化、永久化につながるものです。

この質問では問題点を三つ、挙げます。

一つは何が部落差別か、の定義についてです。法案には、「部落差別の解消に関し、基本理念を定め」と述べながら、部落差別の定義がありません。

法案の提出者は『「部落差別」とは「部落の出身者」に対する差別として「明確に理解できる」』と答弁しています。

定義もなく「分かっているもの」とすれば様々な解釈が生まれます。声の大きいものにより恣意的な定義が行われることになります。定義がないことは法の濫用につながる重大な欠陥です。

かといって定義しようとすれば、部落とはどこか、出身者とはだれか、を行政が特定することになります。重大な人権侵害を引き起こします。

定義しても、しなくても問題のある法案です。

 

二つ目は、「実態調査」を行うとしていることです。

2011年度に全国隣保館連絡協議会が全国の自治体首長と加盟施設に協力依頼を発出し、「今後隣保館が取り組むべき地域福祉課題を明らかにする実態調査」が行われました。

同和対策特別措置法が失効し、同和対策事業対象地区はなくなりました。にもかかわらず「同和対策事業対象地区の指定を受けていた地域の住民及び周辺地域住民」を対象とした調査でした。内容は、対象住民のデリケートな世帯状況を収集・調査するものでした。岡山市が参加しなかったことは当然です。

この調査は、厚生労働省の補助金を受けているとはいえ民間が行ったものでした。

法に基づいて同様な調査を行うことになれば、岡山市も参加せざるを得なくなる恐れがあります。公的に「指定を受けていた地域」を確認することになってしまいます。

1993年の調査で、6割近くは地区外から移ってきた住民ということになっています。23年が過ぎて人口の移動がさらに進んでいる現在、旧同和地区を対象とした調査自体が不可能であるばかりか、部落差別、人権侵害になってしまいます。

 

三つ目は、「地域に応じた施策を講ずるよう努めるものとする」とされていることです。

法に部落差別の定義がありませんから、何に対してどういう対策を取るのか、法に基づいて決めることができません。

反対に恣意的な運用が行われる危険性があり、日本共産党は国会で同和利権の復活につながる、と批判しました。

 

もしも法が成立したら、地方自治体に実態調査の協力や啓発・施策が求められます。

岡山市が、新たな人権侵害や部落差別の固定化に手を貸すことにならないように質問します。

 

(ア)法案に「部落差別」の定義がないことについてどう考えますか。

(イ)2011年に行われた「今後隣保館が取り組むべき地域福祉課題を明らかにする実態調査」はどのような調査でしたか。岡山市が参加しなかった理由をお聞かせください。

(ウ)同和対策特別措置法が失効してから、市は旧同和地区の確認やリストアップをしたことがありますか。

(エ)「地域の実情に応じた対策」は同和利権の復活につながりませんか。

(オ)「実態調査」や「必要な教育及び啓発」が自治体の責務とされることをどう考えますか。

(カ)地方に負担と問題を発生させる部落差別解消推進法案に自治体首長として反対する考えはありませんか。

 

2、岡山市の教育について

(1).教育大綱

 

11月30日に第四回総合教育会議が開かれ、教育大綱の骨子案が示されました。

既に策定されている他の自治体の教育大綱には、数行のスローガン的なものから事細かな何ページにも渡る計画まで、いろいろな構成があります。

岡山市では、犬養木堂の書を使った目標と学力向上、問題行動等を取り上げた施策からなる構成になっています。

第2期岡山市教育振興基本計画素案との関係がよく分かりません。

 

そこで質問します。

(ア)岡山市がキャッチフレーズと二つの施策、という構成にした理由は何ですか。

(イ)教育委員会の強いリーダーシップとは具体的にはどのような内容を想定していますか。学校の主体的な取組と矛盾しませんか。

(ウ)総合教育会議の資料の現状に「教育委員会や学校は「考え表現する力」や「学ぶ意欲」の育成を重視し、子どもたちの日頃の学習の状況や活動の成果から学習の成果を測っており」とあります。当然で、いいことだと思います。「学力向上」は大切ですが、テストの点数が全てではありません。市の学力アセス導入に伴ってテストの練習に偏重することはありませんか。

(エ)暴力行為の認識が自治体によって異なることが指摘されていました。大綱策定で施策の指標にするのは不適当ではありませんか。

 

(2).教職員の人件費の市費への移行

県費負担教職員の人件費が県から市へ移行するまであと4ヶ月ほどになりました。

勤務条件等が具体的になってきた段階だと思います。

そこで質問します。

(ア)県費からの移行によって生涯賃金はどう変わりますか。下がるようなことはありませんか。

(イ)教職員の休暇や出張旅費はどのように変わりますか。

(ウ)特別支援学級のクラス編制も通常学級の複式学級と同様に引き続く2学年で編制できるようにしますか。

(エ)担任は講師ではなく教諭で対応できるようにしますか。

 

(3).通学区域弾力化の廃止

「地域協働学校と通学区域弾力化は矛盾しないのか」という当然の疑問に対して、教育委員会は『「岡山市地域協働学校」に関するQ&A(平成27年度版)』で「地域ぐるみの人づくりを進める観点から言えば,他地域から通う子どもも,「地域で学ぶ地域の子ども」として温かく受け入れる新しいコミュニティづくりが求められているものと考える。」

としています。

そこで質問します。

 

(ア)他学区から通学している児童・生徒の子ども会やスポーツ少年団、町内会行事への参加はどうなっていますか。

(イ)地域コミュニティに悪影響を与える通学区域弾力化は廃止すべきではありませんか。

 

(4).学校規模の適正化

2013年3月に岡山市教育委員会は「岡山市立学校の適正規模化についての基本的な考え方」をまとめました。

過大規模校について「施設整備等で可能な限り対応しながら、分離新設や通学区域の変更も視野に入れて検討します」

「まずは、余裕教室の転用やプレファブ教室の設置、校舎増築での対応を検討し、さらに対応が困難になるような学校については、分離新設や通学区域の変更を検討することを原則とします」としています。

「基本的な考え方」以降、プレファブ教室の設置と校舎増築は行われていますが、分離新設と通学区域の変更は行われたことはありません。

 

中央小学校は、700人規模を想定した校舎に900人を越える児童を受け入れている状況が続いており、ALTの部屋、第二理科室、図工室等が普通教室に転用されています。12月1日に現場を見させてもらいました。

元図工室を仕切っているため、他のクラスを通って自分の教室に行かなくてはならない学級がありました。(写真参照)

これがその現場です。一つの入り口に二つのクラスの表示が掛かっています。

第二理科室に新たに黒板を取り付けたため、他のクラスでは可動式黒板なのに、そこは固定式になっていました。黒板を取り付けるパネルでドアが一つ、使えなくなっていました。(写真参照)

全体としてオープンスペースの教室など工夫が凝らされた校舎が折角の機能を発揮できていません。

生徒の動線や採光、トイレの使い勝手も気になります。

そこで質問します。

 

(ア)中央小学校の過密化をどう考えていますか。統合時の児童数の将来予測が過少だったのではありませんか。

(イ)再び児童数が700人程度になる時期が近いと考えていますか。岡山市のコンパクトシティと人口分布は市内中心部の人口が減るようになっていますか。

(ウ)直通階段に至る歩行距離はどの教室も問題ありませんか。他の部屋を経由しての避難は経路として問題ありませんか。

(エ)採光に問題のある教室はありませんか。

(オ)分離新設や通学区域の変更には様々な課題があり、簡単には行えませんが、検討課題だと考えます。教育財産である後楽館高校跡地を教育委員会では利用しない、とさっさと決めたのは拙速であり、見直すべきではありませんか。

 

(5).学校評議員

市は平成37年度までに地域協働学校運営協議会に移行する方向ですが、学校評議員もいます。

現状をお聞きしたいと思います。

 

(ア)学校評議員の選出基準を把握していますか。

(イ)活動を充実させるためのメンバーのあり方について市教委としての助言はどのようにしていますか。

 

 

 



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