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日本共産党 岡山市議団

【資料】 2016年11月議会 陳情討論原稿 田中のぞみ(161215)

16年12月15日

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討論(陳情) 田中のぞみ161215

 

日本共産党岡山市議団を代表して、陳情第35号、第36号、第37号、第38号、第39号の5件について委員会報告に反対の立場で討論します。

 

まず、陳情第36号「すべての原発再稼働と増設の中止を求める意見書の提出について」です。

 

福島第一原発事故から5年と9ヶ月が経ちました。あの時、4つのうち3つの原子炉で核燃料が溶け落ち、3つの原子炉建屋が爆発し、莫大な放射性物質が放出されました。人類史上最も過酷とされる原発事故は、そこに暮らす人々の生活を土台から破壊し、ふるさとを奪いました。今もなお、9万人近い方が避難生活を続けています。

溶け落ちた燃料棒は、5年経った今も建屋のどこにあるかすら判明していません。原子炉格納容器では致死量を超える高い放射線が放出され続け、未だに大量の汚染水を止めることも、出来ていません。

事故収束のめどが立たない中で、この度政府は、福島第一原発の事故に関わる費用についての試算を、当初の2倍の21.5兆円と発表しました。原子炉を廃炉にするだけでも8兆円かかる見通しです。しかし、この費用には大量に出る核廃棄物の最終処理や、今後数千年~数万年にわたって維持・管理するコストは入っていません。なぜなら、その方法や技術が確立していないからです。試算のしようがありません。ゴールの見えない研究費を含めたそのコストが莫大にかかるであろうことは間違いありません。

しかも、廃炉作業は東電が最大値として示す40年では到底足りず、100年単位でかかると指摘されています。廃炉先進国といわれるイギリスで、20年前に始めた小規模原発の廃炉に合計90年必要としている事を見れば妥当です。1基廃炉にするのに100年です。誰が、責任を取れるのでしょうか。

「将来にツケを先送りしない。」よく聞く決めゼリフですが、これ程大きなツケを100年、さらに数千年、数万年も先送りにする、こんな無責任なことはありません。

これは他の全ての原発にも言えることであり、原発を稼働すれば稼働しただけ、処理技術が確立していない使用済み核燃料は増え続けます。今後数万年管理しなければならない、この行き場のない使用済み核燃料は、すでに今も全国の原発のプールに保管されています。そのプールももう8割方埋まってしまっている。プールの水が抜ければ、福島と同じような大事故につながる。これまで知らされることのなかった事実が次々と突きつけられています。

福島第一原発事故を通して私たちが学んだことは、人類は核を完全にコントロールする技術をもっていない、という「事実」です。原子力発電は不完全な技術のまま、見切り発車してしまっていたのです。

この一点だけにおいても、原発を再稼働することがいかに無責任かということを示すには十分だと思います。

 

ましてや我が国は火山大国であり、地震大国です。

現在稼働している鹿児島県の川内原発と愛媛県の伊方原発はいずれも、一連の熊本・大分地震の活断層の延長線上にあります。伊方原発のすぐそばには国内最大級の中央構造線が走っています。

川内原発の周囲には、阿蘇、霧島、雲仙、桜島などの大きな火山が集中しており、鹿児島湾自体も過去の巨大噴火でできたカルデラです。ひとたび噴火が起きれば川内原発も火砕流に襲われることが指摘されています。九州電力は、「噴火を事前に予知して核燃料を搬出する」としていますが、原子炉から取り出した核燃料は少なくとも数年はプールで冷やさなければ搬出できないそうです。数年も前から噴火を予知する技術がないことは周知の事実です。過去に火砕流が到達した可能性があると指摘されている地域には愛媛の伊方原発も含まれます。

これほど活火山や活断層が多く地震の多い小さな島国に、これほど多くの原発が集中していることに世界の人々は驚きます。原発大国アメリカの立地基準をあてはめれば、日本の原発は1つたりとも認められることはありません。あの福島第一原発事故に遭いながらも、新たな日本独自の安全神話までつくりだして、なぜ、再稼働出来るのでしょうか。

 

原発が稼働していなかった期間、電力が足りなかった地域はありません。原発なしで火力発電が増える状況下でもエネルギー部門のCO2削減は進みました。

 

子どもたちや孫たちそして遠い子々孫々に、美しいふるさとを残すために、今私たちに求められているのは、これ以上の核のゴミを遠い未来まで押し付ける事ではなく、英知を集めて原発に代わるエネルギーのあり方を未来にしっかり示す、ということではないでしょうか。

よって、全ての原発再稼働と増設の中止を求める陳情第36号の採択を求めます。

 

 

次に、陳情第37号「『復興加速化指針』の閣議決定による一方的な避難指示解除をやめるよう求める意見書の提出について」と、

陳情第38号「原発事故の被災者に寄り添い、被害の実態に応じた支援・賠償等を求める意見書の提出について」です。

 

政府は、「原子力災害からの福島復興の加速化に向けて」(以下、復興加速化指針)に基づき、避難指示を次々と解除しています。復興加速化指針に示される避難指示解除の条件に、①住民との十分な協議、②追加被曝線量が年間20ミリシーベルト以下、③生活できるインフラが整備されていること、の3要件を満たしていることが挙げられていますが、実際には条件が整わないままの避難指示解除となっています。

昨年9月に避難指示が解除された楢葉町(ならはまち)では、5ヶ月経ってもわずか6%の住民しか戻ることができていません。町内に医療機関は一つも無く、半年経ってようやく診療所が開設されました。生活に欠かせない水も、除染されていない木戸ダムから取水するため広範な住民から不安の声が上がっていますが、特別な対策はありません。荒廃した住宅の解体も半分しか進んでいないため、戻る家もないという状況です。商店も仮設店舗で再開しても住民がいないため、このまま賠償が打ち切られれば経営は困難です。

そもそも年間20ミリシーベルトという基準も途中で20倍に引き上げられた基準であり、帰還への不安が払しょくされないのは当然です。

避難指示が解除されれば、その後1年で月10万円の精神的賠償が打ち切られます。帰還できず避難を継続する人は賠償が打ち切られたままの避難生活を強いられ生活の困窮が深刻化しています。復興とは名ばかりの国の方針はあまりにも一方的です。

 

復興加速化指針では、その10万円の精神的賠償も避難指示の解除にかかわらず再来年の3月で打ち切るとしました。併せて福島県は仮設住宅の入居期間を来年3月までとし、自主避難者への住宅無償提供も来年3月で打ち切るとしています。

また、福島県内の事業者のうち3万8000件が受けている東電による営業損害補償では、その申請内容を東電が一方的に審査し、合意を渋ったり、賠償の打ち切りや値切りをおこなっている事例が次々と報告されています。この問題は国会でも取り上げられ、東電側の判断に何の基準もなかったことが指摘されました。

原発事故さえなければ、ふるさとを奪われることはなかった。原発事故さえなければ生業を続けることができていた。あまりにも多くの人の人生を狂わせたその責任は非常に重い。安全神話を振りまき、安全のための対策をあいまいにしてきたもとで引き起こされた過酷事故の加害者である東電は、その責任の所在を明らかにし、被災者の生活再建に真摯に向き合うべきです。

その東電が賠償責任額に上限を設け、超過分を私たち国民の電気料金に上乗せをすることなど到底受容できるものではありません。

よって、陳情第37号、第38号の採択を求めます。

 

次に、陳情第35号「年金の毎月支給を求める意見書の提出について」です。

これは現在2ヶ月に1度支給されている年金の毎月支給を求めるものです。

私たちも、もし自分だけお給料が2ヶ月に一度しか払われないと想像すれば、やりくりが難しくなることを容易に想像できるのではないでしょうか。

私たちの生活サイクルは多くが月単位で構成されており、家賃や公共料金などの支払いは基本的に月単位です。これはお給料が月単位であることと大きく関係があり、ニュージーランドでは、2週間単位で給与を受け取れるため、家賃も2週間単位という場合が多くあります。年金支給も2週間単位です。

現在、年金受給者の4割が月額10万円未満です。基礎年金のみの人は788万人でその平均月額は5万円弱だそうです。単独ではもちろん、夫婦2人合わせても生活保護基準に達しない低年金世帯は増えており、少しでも臨時の出費があれば2か月後を待つのに大変な苦労を強いられています。生活保護世帯では最低限の生活を保障するために、当然毎月支給となっています。

わが国でも25年前には、3か月に1度の支給から2ヶ月単位に改善された経緯があります。システム改修等の課題解決は決して難しくありません。

多くの高齢者にとってただ一つの収入である年金の毎月支給を求めることは、至極自然なことであり切実な要求であることを考えれば、地方から国に改善を求める声を届けてほしいというだけの本陳情がなぜ不採択とされるのか理解できません。改めて本陳情の採択を求めます。

 

 

最後に、陳情第39号「地域の実情に応じた医療提供体制の確保を求める意見書の提出について」です。

これは、2014年の医療介護総合確保法に基づき都道府県が策定する「地域医療構想」における病床数の大幅な削減について見直しを求めるものです。

地域医療構想は、「団塊世代」が75歳を迎える2025年の医療需要と病床の必要数を推計し、医療費削減を図ろうとする構想です。その推計方法は基本的に現在の受診状況や入院状況を将来の人口推計に当てはめたもので、必要病床数については全国一律の病床稼働率が充てられています。

岡山県においては合計4046床の削減となり、とりわけ県北の削減率は高く、高梁・新見エリアでは45%、真庭エリアと津山・英田エリアでは31%もの病床が削減されることになっています。

後期高齢者数がピークを迎える2025年に病床数が大きく削減されることは、つまり次々に病院を追い出される人が出てしまうということです。在宅医療や介護の充実が抜本的に進まない中で、身近な病院にかかれない医療難民、介護難民を多く生み出すことになります。それはまた、中山間地域の医療従事者にとってもさらに働く場が奪われることにつながり、都市圏との医療格差を助長するものではないでしょうか。

高齢化率の高い中山間地域で24時間体制の在宅医療の確立は大変大きな課題です。だからこそ国の示す計算方法に当てはめるだけの一方的な病床削減値を出すのではなく、そのエリアでどの病院がどんな役割を果たしているのか、その地域の開業医の状況や在宅医療の資源、介護施設との連携状況など地域の実態を十分に調査して初めて、2025年問題を見据えた地域包括ケアシステムのあり方を示せるのではないでしょうか。

よって、陳情第39号について採択を求めます。

 

以上、議員各位のご賛同を求めて討論を終わります。



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