【資料】 質問原稿 2017年8月議会 田中のぞみ(201.09.05)
市議団事務局(東田) 17年09月5日
1.視覚障害者にとっての岡山市について
(1)点字ブロックの整備について
岡山市は点字ブロック(視覚障害者誘導ブロック)の発祥の地として知られています。しかし先日、視覚障害がある方から、修繕が必要な点字ブロック、規格が違うために認識しづらい点字ブロック、区役所周辺や主要道路での未設置などについてお伺いする機会がありました。
修繕については、各区役所でその都度対応されているようでしたが、定期的な点検が行われているようには感じません。また、新規の敷設に関して、数年前から要望している区役所周辺道路も未だに「順次敷設していく」との回答のみで予算化されているのかも不明です。点字ブロックは、視覚障害のある方にとって命に関わる重要な誘導設備です。めくれていたりするだけでも転倒の危険があります。
ア. 点字ブロックの定期点検が必要ではないでしょうか。各市有施設について、新規建設の場合は「岡山市くらしやすい福祉のまちづくり条例」にもとづく協議がなされるようですが、その後の管理についても、施設管理者任せではなく、一斉に点検する時期を決める事が必要ではないでしょうか。
イ. 市内のバリアフリー整備の点から、主要道路について点字ブロックを増やす整備計画はありますか。
ウ. 銀行や病院など市街地の主な公共施設とバス停を結ぶ動線は考慮されていますか。また、どこがバス停か分かる仕様になっていますか。
エ. 統括的に管理・整備する所管部署はどこですか。
(2)市からの郵送物や発行物について
市からの郵送物は保険証や臨時給付金案内、各種料金や納付料のお知らせなど重要な物ばかりです。しかし視覚障害がある方にとって一般の封筒やハガキでは選別できず、捨ててしまうこともあるそうです。
ア. 医療費、水道料金、保険料通知、住民税など多岐にわたります。また、ゴミの出し方やふれあい収集の案内、ハザードマップ、避難所一覧は早急な対応が必要です。いつ頃を目安にどのように対応できますか。
イ. 視覚障害者の国保保険証の点字表示は、お申し出の有無にかかわらず対応が必要ではないですか。
ウ. 障害者差別解消の観点から、全庁的に取り組むべき課題かと思いますが、各課によって対応やそのスピードがバラバラにならないよう、どこがどのようにイニシアティブを取りますか。
エ. また、視覚障害に限らずハンディーキャップを持っている方の不便さについて、拾い上げ、計画的に解消していく取り組みは、何にあたりますか。機能していますか。
2.中央公民館のあり方について
7月22日に中央公民館利用者に対して、中央公民館を閉館・廃止するとの説明がありました。操山公民館(仮称)の4月開館に向けたクラブ講座の申請開始に関わる説明会でした。
中央公民館については、2012年11月議会において、入居している福祉文化会館の廃止の方向性が示され、その際に、これまで中央公民館が担ってきた操山中学校区の地区公民館機能は、新たに施設を整備し、中央公民館という名称は廃止するが、その機能は残し移転すると説明されました。
しかしその後の検討状況について議会への報告はありませんし、市民的な議論も行われていないと認識しています。このまま岡山市公民館条例から、中央公民館の名称が削除されれば、存在の位置づけそのものが無くなってしまいます。
岡山市には、現在36館の地区公民館があり操山公民館(仮称)ができることで全ての中学校区に1館の公民館が整備されたことになります。この岡山市の公民館活動は、国内外で高く評価され、2014年のESDの世界会議の開催につながりました。さらに2016年に日本で初めてかつ唯一岡山市がユネスコ日本ESD賞を受賞し、2017年には、これもまた日本で唯一ユネスコ学習都市賞を受賞しました。昨今も、アジア諸国での事例発表に公民館職員が招かれ、インドネシアなどからCLC関係者が岡山市の公民館の視察に訪れていると聞いています。また政府文科省が設置する「学びを通じた地域づくりに関する調査研究協力者会議」の委員に岡山市の職員が任命されていました。
このように国内外で認められてきた岡山市の公民館活動の発展は、中央公民館なくしては難しかったのではないかと思います。36館それぞれが地域に根ざして課題解決に向けた学習活動を行っていますが、カラーも温度差もちがってきます。中央公民館が全市的な課題や施策について企画・助言・指導の面で役割を果たしてきたからこそ、たとえば、ESDにおいては中央公民館が公民館活動の柱に据えてきたからこそ、今日にみられる全市的な活動に広がったわけです。
事務的機能だけではありません。中央公民館は教育機関としての機能を自らも果たしていることが大切です。市民講座にしても発達障害やLGBTのテーマについて、地元地区館には行きにくいという声を受けて中央公民館が何年も前から取り組んでいます。各地区館職員の研修や相談の機能も果たしています。独自の事業展開のためには、土日が開館できる事務所以外の一定のスペースは、必ず必要です。
また、少子高齢社会において、地域社会で顕在化しにくい孤独死や、子どもの貧困、介護と子育てのダブルケアなど複雑化する課題解決に、地域共生社会の構築が求められています。公民館が持つ学びを軸とした人づくりは、こういった地域の中に核となるコーディネーター的役割を果たす上でも、大いに期待されるところです。
中央公民館の在り方については、社会教育委員会議や、専門家、職員、利用者である市民の意見も聞き、慎重に検討するべきです。
公民館が、社会教育法に位置づけられる教育機関であることの意義を改めて確認し、中央公民館の今後の在り方についておたずねします。
ア. 岡山の公民館活動と、中央公民館が果たしてきた役割についてどのように評価しておられますか。
イ. 中央公民館の機能とその移転先について、これまでどのように検討されたのかお示し下さい。
ウ. 中央公民館の今後の在り方について、専門家や市民を交えて検討するべきではないですか。
エ. そもそも中央公民館の名称を残してはいけない理由がありますか。
オ. 岡山市公民館条例にその機能と位置づけを明記するべきですが、どう考えていますか。
カ. 移転先について、本庁をお考えでしょうか。
キ. 福祉文化会館はいつまで存続しますか。すぐに移転しなければならない理由がありますか。
3.待機児解消と保育の質について
深刻さを増す待機児童対策について、今議会でも幼稚園の空き教室活用や保育支援員への補助について上程されています。
(1)「保育士さえいれば」の声は大きくなるばかり
6月議会で、H31年度までに約3000人分の保育定員を増やす上方修正に対し、必要な保育士が500人との答弁がありました。現在、公立私立含め保育士の総数が約3000人とのことですから改めて大きな数字です。具体的にどのように達成できるのか、そもそも今実際に何人不足しているのか、処遇改善策がどのように影響するのか、何も指標が無い状況です。施設だけ増やす計画ではこれもまた無責任です。
ア. 現在、認可定員に対し不足数は何人と把握されていますか。
イ. 再来年度に向けた認可保育園募集が二桁台で好調と聞きますが、保育士が集まるかは雲をつかむような話になっています。毎年の進捗やPDCAをはかる指標が必要ではないでしょうか。保育士増員計画こそ必要だと思いますが、なぜ作らないのでしょうか。市長にお尋ねします。
(2)保育の質確保について
企業主導型保育事業については、国も定期監査や抜き打ち監査の必要性に触れています。また認可外保育施設について、各施設の情報の公表や、事故防止の取り組み強化などが新規メニューとして予算化もされているところです。
ア. 北長瀬のみずほ住座再生事業の用地活用について、最大342人規模という大きすぎる認可外保育園の提案が「施設規模や職員の配置計画等に優れる保育園を提案」と評価され採用さました。しかも、もともと公募の条件として「認可外」であることが挙げられています。市民の共有財産である公有地を貸し出すにあたり、なぜ市の条例外施設である「認可外」なのでしょうか。応募の時点で「認可」が確約出来なくても、「認可申請」を条件にすることは可能です。保育の質をどう保障するつもりだったのか、募集するときに担当課に相談したのか、今後はどのように指導・助言されるのか、についてお示し下さい。
イ. 認可外施設にお子さんをあずける人が増えている現状を踏まえ、世田谷区のように保育のガイドラインを作るべきではないでしょうか。
(3)公立小規模保育をなぜ考えないのか。
19人以下の小規模保育であれば、公立であっても国の給付費の対象です。同じ、幼稚園の空き教室改修を行うのであれば、なぜ、それこそ財源が100%保障されている小規模保育にしないのでしょうか。給食も保障され、3・4・5才の連携先は、幼稚園が機能します。数年後に不要になれば公立であれば閉鎖も可能です。市長のお考えをお聞かせ下さい。