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日本共産党 岡山市議団

【資料】討論原稿(議案反対) 2017年8月議会 田中のぞみ(2017.09.15)

17年09月15日

【討論原稿】田中のぞみ(2017.08議会 170915)

日本共産党市議団を代表して、「甲第136号議案 平成29年度岡山市一般会計補正予算について」と、「甲第167号議案 事業契約の締結について」の2件について、委員長報告に反対の立場で討論します。

 

甲第136号議案 平成29年度岡山市一般会計補正予算(第2号)について

まず、「甲第136号議案 平成29年度岡山市一般会計補正予算」中、債務負担行為の新斎場整備事業50億円についてです。これは、富吉地区に建設しようとする新斎場に係る設計及び工事費等50億円を5年間に渡って債務負担を設定しようとするものです。

北区富吉の新斎場について、地元町内会に突如候補地の話が打診されたのが、奇しくもちょうど5年前の今日、平成24年9月15日です。この間の地元住民の方々の苦しい思いについては、察してあまりあるものです。先日の都市計画審議会でも、地元住民の中で諸手を挙げて賛成されている方は誰もいない、という発言もありました。そうだろうと思います。そういった中で現在も「新斎場整備事業推進協議会」に入っている町内、入っていない町内、賛同している方、していない方がいることは事実であり、民事の裁判闘争も続いています。それぞれの方にとって辛く苦しい5年間であったと思います。しかし、それは、今後も続く苦しみかもしれないこと、ここにずっと生涯住まなければならない方にとって取り返しのつかない事態に陥っているということについて、その大きな責任が岡山市にあるということをまずもって指摘させて頂きたいと思います。

岡山市民70万人に必要な火葬場の、約半分を占める新規斎場建設の候補地として当該地区を「決定」するに当たり、今もってその根拠とされているのが、平成24年9月29日の地元富吉町内会臨時総会におけるたった一度の採決です。現在に至るまで後にも先にも、富吉町内会で市が認める住民の採決が行われたことはありません。
しかも、そのわずか2週間前の9月15日に他の候補地を断念したばかりであり、加えて富吉の候補地は産業廃棄物処理場の跡地であるわけです。岡山市において、産廃跡地を活用した前例は、ありません。
しかしながら、富吉町内の住民が意思決定を迫られた臨時総会の前に岡山市は一度も斎場に関する説明会を行うことはなかったのです。事前に配られた資料はたったの3枚。新型火葬炉の説明図や敷地等のイメージ図のみです。

たとえ、地元町内会から事前説明を求められなかったとしても、このような重大な事案について、市の説明責任を事前に果たさなかったこと自体が、当時から住民の間に認識不足や周知不足、誤った情報に基づく焦りや一部の住民への誤報や誤解を生んでしまい、現在も続く混乱の最大の要因であることは間違いありません。
岡山市は結果的に、情報不足の中で行われた地元町内会の決議に頼り、事前説明は求められなかったと答弁し、町内会のことに市は口を出せないと逃げる、この岡山市の姿勢は、巨大迷惑施設の建設是非を一町内会に押しつけたとしか、私には思えません。しかも今議会においても、事前説明の法的義務はなかったという答弁に終始することは、一切反省もしていないということの表れです。

その後、どれだけ丁寧な説明を行っても、何回全戸訪問を行っても、一度かけ違えたボタンは、決して元には戻ることはありません。
これまで、議会の中においても何度も指摘をされ、いったん白紙に戻して仕切り直すチャンスは何度もあったにもかかわらず、今回50億円もの税金をつぎ込み、建設につき進んでいこうとするこの予算については、到底認めるわけにはいきません。

加えて、当該地区は産廃跡地であり、今後どのような不測の事態が起こる分からない点、4億3000万円余で購入した価格については、この度民事裁判の中で正式に証拠として提出された、横浜の鑑定士による完全なる第3者による鑑定結果が、わずか6700万円余であった点を付け加え、市民の血税がムダに使われたかもしれない、また今後も使われる可能性が高いことを指摘し、本議案に反対いたします。

 

甲第167号議案 事業契約の締結

次に、「甲第167号議案 事業契約」案件についてです。
これは、北長瀬みずほ住座再生事業において、併設施設を含めたPFIによるプロポーザルの落札事業者との契約案件です。
本事業の提案内容は、214戸の市営住宅の建て替えと合わせて、隣接する約5,000㎡の用地に最大342人規模の3階建て認可外保育園が併設されるものです。北長瀬駅前の市民の貴重な財産である公有地を認可外保育園に貸し出すという事に対して、多くの市民や関係者から怒りや疑問の声が上がっており、私立認可保育園・認定こども園園長会からも白紙撤回を求める陳情が出されたところです。

最大の疑問点は、プロポーザルの募集要項となる「北長瀬みずほ住座再生事業要求水準書」において、保育園を提案する場合になぜ「認可外保育園」に限定してしまったのか、ということです。
このことについて、入札前のQ&Aにおいて、事業開始が平成33年になることに対し、本市の保育所整備計画である「子ども・子育て支援事業計画」が平成31年度末で待機児童ゼロを達成する予定であることから、需要と供給のバランス上、認可できる保障がないため、認可保育園は不可、という旨まで明記されています。今議会でも同様の説明があり、岡山っ子育成局審議監から、条件設定に関してもっと主体的に関わるべきであった旨、都市整備局長からは、配慮が足りなかったことと、勉強不足で保育園整備の計画等についてよく理解していなかった旨、副市長からは連携不足であった旨の反省がありました。
しかし、連携不足の原因は何だったのか、今後どうすることが本当に市民のためになるのか、ということについてはっきり示されていないと感じます。

本事業は、国の補助事業である「公営住宅等整備事業対象要綱」に則って公募されました。この要綱によると、100戸以上の公営団地の建て替えについては、「保育所」又は高齢者施設を併設することが、補助の要件となっています。子育て支援施設ではありません。国は、はっきりと「保育所」と限定しています。
したがって、岡山市の要求水準書においても「保育所」又は高齢者施設を必ず1つ整備することを条件にしています。
にもかかわらず、都市整備局が建設委員会に何度となく示した本事業の説明資料には、「子育て支援施設」又は高齢者支援施設としか、記載されることはありませんでした。国庫補助の必須条件は「子育て支援施設」ではなく「保育所」です。所管外の施設であるからこそ、建設委員会には、基本構想の段階から正確な説明がなされるべきでした。さらに加えて市独自で「保育所」を「認可外保育園」に限定したことはなおさら建設委員会に示されていないことについては、当局も認めているところです。
市長が岡山市の重要課題と位置づける待機児童対策について、都市整備局が勉強不足であったというのであれば、確かに市当局幹部の連携不足は甚だしいのかもしれませんが、市民の代表である議会の意見を聞く姿勢そのものにも大きな疑問を感じます。

また、岡山っ子育成局においては、全国2位の待機児童数を抱え、あらゆる手段を講じて待機児童対策を行うと公言し、保育所整備計画を自ら作成する中で当該エリアが保育所不足であると認識していながら、昨年募集条件設定の段階で保育所の提案があるかもしれないと把握しても、平成31年度より後の開設であるからという、これだけの理由で、結果的に一切関わりませんでした。たった1年後の開設予定であるにも関わらず、です。このまるで他人事のような無責任な姿勢はどこからくるのでしょうか。

まずもって、平成31年度以降の保育ニーズについて長期的ビジョンを持つべきだという再三の指摘に対して、一切答えようとしなかった姿勢がこのような無責任さにつながったと改めて厳しく指摘します。今後も長期的に保育ニーズが拡大することについては、いくつかの研究がありますが、たとえ平成31年度末で本市の待機児童数が減少したとしても、そもそも待機児童の定義が曖昧な中で、岡山市が標榜する「保育を希望する全ての人に質の高い保育」が提供されているかは大いに疑問です。反対に、待機児童ゼロが達成されていたとしたら、その後にできるこの巨大認可外保育園は認可どころか、不要ということでしょうか?需要が無いとされる中で園児が集まらず経営不振に陥るという事でしょうか。何のための子ども・子育て支援事業計画なのでしょうか。いずれにせよ、あまりに無責任な募集要件の設定だったと言わなければなりません。
国は、この度新たな子育て安心プランとして平成34年度末まで待機児対策を5年延長し、待機児童がゼロになった後もさらに10万人の受け皿を増やす計画をこの1月に発表しています。平成31年度より後は、「知らない」という姿勢を改めるべきです。

次に、国が待機児童解消の手段として公有地の活用を積極的に促している中で、保育園不足エリアの市有地に「認可外保育園」を限定したことの大きな矛盾についてです。認可保育園に入れなかった待機児童がやむなく認可外保育園に入園しても待機児童数は減りません。岡山っ子育成局長が、「認可外保育園」を待機児童解消に資すると答弁していることは大問題です。保育の質の面においても、認可外保育園における乳児の死亡事故の発生率は、認可保育園の20倍以上あります。これは保育士資格者が1/3しか保障されていないことと大きく関係があると思います。子ども達のかけがえのない命と健やかな発達を保障する最低限の基準が認可基準であることは、認可されなければ給付費対象とならないことからも明白です。1,500人もの未入園児の保護者は一日でも早く、安心して預けられる認可保育園に入りたいと願っています。それは決して育児放棄ではなく、仕事復帰が迫り、あるいは家族の介護が突如として必要になり、或いは生活上働かざるをえない、などであり、その切なる願いに、どうして少しでも応えようとしなかったのか、心底残念でなりません。子ども・子育て支援事業計画に基づいて、認可保育園に切り替えて整備するべきです。
誰のための市有地活用なのか、今一度原点に戻ってどうあるべきか考えるべきです。

最後に、岡山っ子育成局は、市有地における保育所整備の可能性があったにも関わらず、これまで岡山市の保育行政が子ども・子育て支援事業計画に基づいて、保育提供区域単位で事業者を広く公募してきた経緯を全く無視したプロセスを容認してしまった点についてです。ここに欠けていたのは「配慮」や「丁寧さ」だけではありません。
これまで、岡山市が増やした新規の保育定員は全て民間事業者によるものです。民間事業者が最も苦労するのは土地の確保です。従ってもっとも公平性が担保されるべき公有地の活用において、この好条件とその獲得事業者がブラックボックスの中から突然出てきたわけです。これまで信頼関係を築いてきたという保育関係者の怒りと失望にどう答えられるというのでしょうか。
市当局に欠けているのは、待機児童解消は、「認可保育園」を基本とするという自治体保育行政の基本姿勢です。この視点に立っていれば、誰が担当者であっても、必然的にこれまでの手法、関係者への公平性の担保、子ども・子育て支援事業計画との整合性に思慮が及ぶはずです。市長を先頭に、待機児解消に「あらゆる手法を用いる」などとし、規制緩和に頼ろうとする、自治体の保育責任の放棄につながるその政治姿勢こそが、市当局の幹部間の独自判断を生み、連携の必要性に思いもおよばなかったという事態を生んだと背景にあると思います。
ちなみに、先日完成したさくら住座整備事業もこの国庫補助金の対象事業でしたが、併設施設については高齢者施設のみを必須条件として別募集を行い、この8月に老人デイサービスや介護事業所が決定されたところです。また出石小学校跡地活用PFI事業においても、初期の構想段階から保育園は認可保育園と限定され、別枠で募集を行い整備された事は周知の通りです。同じPFIを用いてもいろんな方法が考えられたはずでした。
待機児童対策を最重要課題の一つとされる市長におかれては、今回の事案をどこまで把握され、どのように感じておられるのでしょうか。多くの関係者や市民の不信を招いたこの度の事態について、最終的な責任は、岡山市のトップである市長にあるということはここで改めて指摘させて頂きたいと思います。

以上、本事業については市の募集条件設定があまりにも不十分であり、今後の保育行政に与える影響が大きいことから、白紙撤回することが望ましいと考え、本議案に反対します。

議員各位の賛同を求めまして反対討論を終わります。

 



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