中小企業の設備投資を税制で支援、民泊条例はつくらない ~2/19経済委
市議団事務局(東田) 18年02月19日
岡山市議会は、あさって21日の2月定例会開会を前に常任委員会を開きました。
事務局員Tは、党市議団が委員を出せていない経済委員会の傍聴へ行ってきました。
市内の雇用促進や中小企業支援、ヘルスケア産業創出・育成支援、新年度予算案の概要報告など、経済委員会が所管する産業観光局・農業委員会と市場に関する報告と議論がなされました。
その中で、いくつか気になったことがあるので、お伝えします。
1つは、中小企業が設備を購入したらその設備に係る固定資産税を一定期間ゼロにする制度の新設。
市内の中小企業(資本金1億円以下の法人等)が、市の認定を受けた計画に基づくなどのいくつかの条件で設備を購入した場合に、その設備に係る固定資産税をゼロにするというものです。2018年度から20年度の間に購入した設備が対象で、購入から3年間の固定資産税が免除されます。
さらに、この制度で特例を受けた事業者は、国の「ものづくり・サービス補助金」などの補助事業に優先的に採択されるとなっています。
制度実施に必要な市としての導入促進基本計画は4月以降の策定となるため、実際の事業開始時期はまだはっきりしていません。
先の国会で安倍内閣が成立させたいわゆる「生産性革命法」(生産性向上特別措置法)が根拠法です。
市は、「この制度による税収への影響は5年間合計で1億5000万円程度と見込んでいるが、もともと設備を導入しなければ税収自体が発生しないので、『税収減』ということではない」と説明しました。
決して悪い制度だとは思いませんが、「資本金1億円以下」となるとかなりの規模の企業も含まれるように思います。「景気の改善」とやらの余慶にあずかれず、機械などの設備を更新する余裕のない下請けや小規模、零細企業などにも効果のある制度となるのかどうか、内容の精査が必要だと感じました。
もう1つは、「民泊」条例について、岡山市としてはつくらないと表明したことです。
これも昨年成立した「住宅宿泊事業法」で、住居を宿泊業務に使うことが合法化されたことを受けて、自治体独自で期間やエリアなどを制限する動きが、全国では相次いでいます。近くでは、倉敷市が美観地区での民泊を全面的に規制する独自条例をつくろうとしているとの報道もあります。
岡山市の説明では、市や県警には現時点で苦情は寄せられておらずトラブルがないので、つくらない、とのことでした。
一方で、旅館やホテルなどの組合からは、住宅地では許可しないようにしてほしいなどとする陳情が議会に出されていて、前議会では、岡山市が詳しい意見聴取や実態把握を進める時間をとるために継続審査となっています。
委員会での議論では、当局が「もしトラブルが多発するようになったら条例化を検討する」と言ったのに対して議員から、「条例ができても、すでにそこで営業中の事業を直ちに規制できるわけではない」「岡山市には後楽園という観光名所もあり、条例化は必要だと思う」などの意見が出ていました。
岡山市は、これまでの経済委員会でも「外国人観光客は、東京や京都、大阪などの観光地で物足りなくなったリピーターが地方に流れてきている」「そういったリピーターは、パック旅行ではなく個人旅行で安い宿をネットで探す」として、外国人観光客の誘客強化を繰り返し強調してきました。
すでに民間業者の民泊ネットサイトが岡山市内の民泊物件についても情報を出しています。また、大手のマンション開発事業者が、売れ残りの部屋については積極的に民泊化する経営方針で動いているとの情報もあります。
いまのタイミングを逃したら、後になって条例をつくるには厳重な根拠と多大な労力が必要となります。トラブルが起こってから対処するのではなく、未然防止の観点で岡山市も独自条例を検討すべきではないでしょうか。
岡山市の産業や労働の関係部署は、市内中小企業の経営や人材確保の支援にとても意を配っていて、さまざまな支援制度を創設・改善したり、現場に足を運んで最新の状況をつかむなど、さまざまな工夫と努力をしておられます。そこに目を向けて、岡山市の地場の企業支援や産業振興などに、党市議団としても知恵と力を尽くしていきたいと考えています。
明日と明後日には団会議でこれら常任委員会での議論なども情報共有をして、予算審議の2月議会に臨みます。