【資料】2018年2月議会 個人質問原稿(3/6田中のぞみ)
市議団事務局(東田) 18年03月6日
※大項目2の質問ア・イ・及び大項目3は、本会議場で割愛しました
1 教育環境の充実について
小学2年生になる息子は、学校が楽しくない、と漏らします。親としても、せめて小学校低学年にとって、学校は楽しいところであってほしいと心から願います。
一方で、先生をとりまく環境は依然厳しい状況です。先日、教員志望の大学生が、教育実習で学校現場を訪れて、あまりの大変さに教員になるのをやめたという話を私も聞きました。過労死レベルの残業時間が浮き彫りになり、授業づくりや、一人ひとりの子どもと向き合う時間の充足感が低いままでは、良い人材も集まりません。
(1)教員不足について
ア ある中学校で産休に入る教諭の代替講師が見つからないというお話を聞きました。現場が必死で探しておられました。教えるべき先生が不在で学力向上はありません。現時点での欠員数、その原因と対策についてお示し下さい。
イ 非正規の教員が担任したクラス数と割合を小学校、中学校でお示し下さい。教員の非正規率は政令市中もっとも高い水準で、なかなか改善傾向が見られないのではないですか。なぜですか。
(2)少人数学級こそ
ア 先生の負担軽減や分かる授業づくりのためには、ひとクラスの人数を減らす事が最も効果的です。鳥取県、島根県では小学1、2年生で30人以下学級を実施しています。山口県、長野県、福井県では中学3年まで35人以下学級を完全実施しており、いくつかの政令市でも税源移譲のタイミングで少人数学級を拡大していました。その一つである新潟市では「その効果は誰の目にも明らか」で「一人ひとりの理解度が把握でき、個別指導もできる」「向き合う時間が増え子どもの学習意欲が喚起され、家庭学習の習慣化につながった」とのことです。岡山市の35人学級が選択出来る学級の制限を無くしませんか。
イ 30人学級を実施してクラスが15人程度になった場合に、教育環境規模として不適切との答弁を繰り返されますが、先進自治体等で具体的に課題が報告されていますか。
ウ 少人数学級は、独自財源で行っていないと聞いています。岡山市でも30人学級を実施しませんか。
(3)不登校の支援について
文科省通知の「不登校児童生徒への支援の在り方」では、不登校を「問題行動」と判断してはならない。不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し、寄り添うことが自己肯定感を高めるためにも重要、とはっきり示されています。
ア 岡山市の教育大綱や「教育振興基本計画」において、不登校を問題行動と同列に扱い、防止する対象と決めつけるべきではないと思います。文科省通知に対する認識をお伺いします。
イ 「適応指導教室」という名称はまさに不適応を指導する事を表しており、保護者や本人から根強い反発があります。文科省通知が示す「教育支援センター」等に改め、訪問型支援にも取り組みませんか。
保育園や幼稚園にも不登校の状態は存在します。この場合の主な要因は本人ではなく家庭環境にあります。そのまま小学校に上がっても、本人が自力で登校できるとは思えません。家庭支援をどう具体化するのか、は大きな課題です。
ウ 保育園、幼稚園等で不登校状態にある子どもの数をお示し下さい。
エ どのような対応が出来ていますか。中長期的な支援方針を持つべきではないでしょうか。
オ 進級先の小中学校に配置されている不登校支援員には、福祉の視点が必要です。またスクールソーシャルワーカーの必要性がここにあると思います。不登校支援員への福祉分野の研修はどうなっていますか。
(4)家庭学習の充実について
教育大綱の目標である学力向上に向けて、家庭学習の充実が強調されています。「保護者の協力が不可欠」と新聞広告まで打っています。しかし今、共働き家庭やひとり親家庭は増えています。がんばって夕方6時頃に仕事から帰っても、子ども達のご飯をつくり、食べさせて、お風呂に入れるだけで9時を過ぎます。翌日のランドセルの準備をするのに精一杯で宿題を見てあげられる時間はほとんどありません。自主学習を一緒にするなんて到底余裕が無いといった現状をどう捉えているのでしょうか。
ア 社会構造の複雑化や家庭環境の変化は、子ども達の学習環境への影響も大きいはずです。成績と家庭学習の量の分析は、その背景にある保護者の就業状況や所得と合わせて分析するべきではないのでしょうか。
2 保育環境の充実について
(1)民営化ではなく公立園の充実こそ
安倍政権は、先の衆議院選挙で突然幼児教育無償化を打ち出し、認可園の3才以上において段階的に無償化を実施する方針です。1600人も保育園に落ちる現状が続く岡山市においては、大きな方針転換を突きつけられていると思います。無償化を先行実施している自治体では、無償になると、幼稚園要件の家庭も保育園を希望する例が多数出るそうです。同じ無償であれば、当然の選択肢です。無償化となれば全ての子どもを受け入れる前提に立たなければなりません。122の公立園を30園に統合し、残りを廃止・民営化する岡山市の方針は時間もお金もかかります。全ての公立園幼稚園・保育園こそ有効活用するべきです。
ア まず、公立園の民営化が待機児童対策となるという市の見解には納得出来ません。民営化対象になっているいくつかの公立保育園について、すでに保護者や職員に説明に入っていると聞いています。保育園を民営化することがなぜ待機児童対策になりますか。定員を増やすことは公立でも出来ます。
イ 小中学校や高校を民営化するという話は聞きません。私立にはどうしても格差が出ます。また遠い将来、人口の自然減による保育需要が下がり始めたときに、私立ばかりでは熾烈な生き残り合戦になります。柔軟に対応出来るのは公立です。なぜ今、甚大な労力をかけてまで、就学前教育の質の担保、量の調整力をわざわざ失う必要がありますか。
ウ 財源に関して、公立園は自治体負担が10分の10という認識は違います。2015年3月24日の高市総務大臣の国会答弁を以前にも紹介しました。公立園の運営費は一般財源化される前と変わらないよう交付税措置されていると明言されています。たしかに、地方交付税算定の基となる、基準財政需要額の資料には、公立園も私立園と同じように欄があり、公立保育所の自治体負担額の全額がその対象という事です。「民営化により浮いた財源」というならば、具体的にいくらか例示して下さい。
エ 民営化も、こども園化も、保護者の間には当然不安があります。そのための保護者主体の学習会に、園舎を貸してくれないとも聞きました。不安解消は丁寧に行うべきではないのですか。園舎で会合を開かせない理由をお聞かせ下さい。
(2)障害児保育の充実について
11月議会で、障害を持つお子さんが認可保育所から退園しなければならいかもしれなかったというケースをあげ、改善を求めました。その後の検討状況についてお伺いします。
ア 障害児拠点園の障害児保育のあり方をどのように見直されますか。
イ 私立認可園の障害児保育補助金について来年度予算案で6100万円余の増額が示され、うれしく思っております。しかし、障害児1人あたり月に37,000円が40,000円に上がっただけでは、国が示す障害児2人に対し保育士1人を配置するどころか、すでに加配している保育士分もまかなえません。さらに国がこの4月から障害児保育の地方交付税を400億円から800億円に増額し、その算定方法もこれまでの包括算定方式から、受け入れ実数に応じた個別算定方式に改めます。国の実態調査にもとづけば、受け入れている障害児がこの10年で2倍の約6.5万人になったことが理由として挙げられていました。800億円を単純に割れば、障害児一人あたり月約10万円の計算になります。
市長にお尋ねいたします。岡山市の補助額をこの水準に引き上げませんか。
3 各施策料金算定における特別控除について
11月議会で、住宅の買い換えにともなう見かけの収入を所得として換算されるため、障害年金が打ち切られ、さらに各種料金も跳ね上がって払えないというケースを紹介しました。本議会で、介護保険の料金算出に当たって、特別控除を控除するという法改正に伴う条例改正が示されており、大きな前進だと思っております。そこで質問です。
ア 国保料の法定軽減算出と児童扶養手当の所得基準にも、特別控除後の所得を基準とするよう改めて国に求めて頂きたいがいかがでしょうか。
イ 心身障害者医療費助成制度は自治体単位で基準を定めることが出来ます。岡山市で同様の対応に変更する場合、予算額はどれほど変わりますか。お示し下さい。
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4 民泊と住環境について
2018年6月施行の住宅宿泊事業法は、これまで自治体の許可を必要とした宿泊営業の規制を緩和し届出だけで営業を可能とするものです。「民泊」は、2000年代後半から、インターネット上で個人宅やアパートの空き室を予約出来る「民泊」サイトが登場し、最大手のAirbnbでは、国内の登録物件もすでに5万件以上と急成長しています。岡山市で検索しても50件ほどヒットします。
「民泊」は、常駐の管理者がいなくても住宅街にある空き家やマンション・アパートの一室を貸し出す事ができるため、全国でトラブルが発生しています。突然多くの外国人観光客が行き来するようになった、夜中の大ゲンカや騒音、間違えてチャイムを鳴らす、タバコのポイ捨て、ゴミの散乱、違法駐車、先日は殺人事件まで発生しました。何よりもクレームを言う所有者が分からないという事も問題です。そもそも、管理人が常駐しないことや届け出制であることが、犯罪の温床となりやすい施設だと言えます。
今回の「民泊解禁法」の施行に当たって、特に都市部で独自の条例を制定する動きが広がっています。
一方岡山市では、苦情の報告が無いという理由で、法に基づく条例は制定しないと判断されました。しかし、不安を抱く市民に対して、岡山市の指導監督責任を明らかにする必要はあるのではないでしょうか。「市民の安全安心という観点からどう対処していくべきか、研究してまいりたい」との市長答弁がありましたが、具体的に示して頂きたいと思います。
ア 国は、細かいガイドラインを示していますが、周辺住民への説明は「望ましい」、宿泊者が所在不明になっていないかの確認も「望ましい」、ゴミだし、騒音防止、火災防止についての説明は対面の必要なしとなっています。しかも法的拘束力はありません。また、立ち入り検査は必要があるときのみ出来るという規定になっています。定期的に必要です。個人宅を対象としているのに、大量の法関連資料を読み込む事は難しいとも感じます。
宿泊者や市民の安全・衛生を守る上でも、市や事業主の責務を簡明、明確にした条例が必要ではないでしょうか。営業制限をしない条例まで、国は規制していないのではないですか。
イ 市内の民泊についてどのような実態調査をしましたか。周辺住民へのヒアリングを行いましたか。現在インターネット上で営業している市内民泊で旅館業法の許可を受けている物件と受けていない物件(いわゆる違法民泊)数をお示し下さい。法施行により、どのように違法物件を無くしますか。
ウ 苦情対応や衛生管理など担当課がまたがります。一義的に監督責任はどこにありますか。市民はどこへ苦情を言えばよいのですか。