【しんぶん赤旗から】 「18歳成年」改定法案の問題点 18・19歳も悪質業者の標的に
市議団事務局(東田) 18年05月9日
成年年齢を20歳から18歳に引き下げるとともに、若者として保護される年齢を個別の法律ごとに規定する民法の改定案の審議が国会で始まっています。自民・公明・維新だけで強引に審議入りされました。
弁護士でもある仁比そうへい日本共産党参議院議員が、この改定案の問題点をしんぶん赤旗で語っています。(2018.5.8付)
仁比議員は、今回の改定案では男女の婚姻年齢を18歳に統一することや、飲酒・喫煙・ギャンブルなど多くの若者保護規定は20歳のままで変わらないよう立法上の手当てがされていることを踏まえたうえで、問題点を指摘しています。
それは、契約や取引に関する若者保護規定=「未成年者取消権」(第5条)です。未成年でも売買や契約などの「法律行為」はできますが、親権者など法定代理人の同意がないときは後から取り消すことができます。一般に社会的経験の少ない18歳や19歳の保護規定をなくしたら、マルチ商法やサラ金も含めた社会の危険にさらされることになります。若者の本当の意味での自立もさまたげることになってしまいかねません。
この保護規定をなくす理由について、政府も自民党も自分たちがそう判断したからという以外に具体的な根拠を示していません。飲酒や喫煙については「心身の未成熟」、ギャンブルについては「依存への脆弱性」から20歳までに据え置いていることと比べても異様です。
世論の大勢は保護年齢の引き下げに反対です。政府の世論調査(2013年10月)では約8割が「反対」「どちらかといえば反対」でした。法案が審議入りした時期の読売新聞世論調査でも、反対(56%)が賛成(42%)を上回っています。
成年年齢の引き下げ自体は、若者の政治参加、国民主権を実現するために大切なことです。けれども、社会的未経験につけこむ被害からの保護を外すことは全く別問題です。
仁比議員は、「国会で、若者たちが置かれている実態をしっかり検証しながら、国民的議論が慎重に尽くされなければなりません」として、自民・公明・維新が数の力で無理やり強行するなど絶対許されないと結んでいます。
成人して本格的な社会参画の一歩を踏む出す若者たちを、悪質な商法の被害にさらしてしまうことは、今の日本の状況を考えたとき、非常に大きな危険となるのではないでしょうか。岡山市内でも消費生活センターなどが悪質商法や詐欺・犯罪に関わる事例について、たびたび情報を出して警告しています。全く他人事ではありません。
その若者の将来や希望をゆがめるだけでなく、家族や周りの人にもマイナスの影響となりかねません。仁比議員が言っているように、国民的な議論をしっかり行って法案審議を進めるべきです。