【質問原稿】 2018年6月議会 林潤個人質問(2018.6.18)
市議団事務局(東田) 18年06月18日
※事前提出した版であり、実際の読み上げとは一部異なる場合があります。
1.公共交通政策
(1)新総合交通計画及び地域公共交通網形成計画について
市は、総合交通計画及び地域公共交通網形成計画を策定しようとしています。17の課題が挙げられています。これらの課題について優先順位と対策のあり方、市の関わり方に疑問があります。
5月に日本共産党岡山市議団で、富山市と新潟市の公共交通政策を視察しました。どちらもLRTやバスの路線も料金もまちづくりの中に位置づけていました。地域の足の確保や高齢者施策として考えられていました。
例えば富山市も新潟市も昼間の高齢者の乗車に補助をしていました。新潟市では65歳以上の方のバス料金の半額を市が負担するシニア半わりで高齢者のお出掛けを促進しています。富山市では、65歳以上の方に利用者負担金1,000円の「おでかけ定期券事業」を行っています。お出かけ定期券所有者は外出に伴い、歩くことが増えました。国土交通省の「まちづくりにおける健康増進効果を把握するための歩行量(歩数)調査のガイドライン」(平成29年3月)に基づく試算で年間約7,900万円の医療費削減につながっているとしています。高齢者の外出機会を増やすと共に企業にとっても昼間の収入を増やすことになります。
岡山市で4月26、27日に両備バスの料金徴収のストが行われ、実質無料で乗車できた際に、西大寺から天満屋へ買い物に行く人達が大勢いたそうです。交通費の負担軽減は外出を増やします。図らずも社会実験になっていました。
富山ライトレールは政策的に100円で乗車できていたものを200円にしても乗客はそれほど減らなかったそうです。キャンペーンで公共交通を使ってもらい、車社会の市民の意識に公共交通が選択肢として入ればそれ以降も効果があるということです。基幹交通の沿線に人口を誘導する政策も採っていました。
岡山市でも課題に挙げてはいます。17の課題の04「交通不便地域の移動手段の確保」で「駅から800m、バス停から300m以上離れた地域に居住する人口は、約20万人(そのうち65歳以上の高齢者人口が5万人)」としています。このような課題に対応することこそが市民が暮らしやすい、暮らしていけるまちづくりです。それには移動権の考え方や交通の公共性に基づいた公的で面的な取り組みが必要です。
ところが岡山市では、目立つこと、単体のことに具体化が偏っているように思います。
そこで質問します。
ア 17の課題の重要度、優先順位はどのように付けたのですか。
イ 吉備線LRT化は、市全体のまちづくり、公共交通網のあり方として全市的に説明し、意見を聞くべきではありませんか。
ウ 公共交通の利用促進を高齢者の健康増進策に位置づけて、昼間の高齢者の利用に補助を出しませんか。
エ バスの乗り継ぎ割引・高齢者割引は、事業者だけでなく政策的な料金設定のために市も主体として関わるべきではありませんか。
オ 区役所等の公共施設への交通の確保は総合交通計画でどう位置づけていますか。
カ 交通不便地域の解消の位置づけはどうなっていますか。
(2)バス交通の充実について
両備バス、岡電バスの路線廃止届けと取り下げの経過で公共交通の整備が大きな関心を集めています。前述の党市議団の視察でバスも勉強してきました。
新潟市では市周辺部から長いバス路線が中心部に集中すると、周辺部ではバスの便数が少なく、中心部では過密になる、という問題をバス結節点を周囲に設けることで改善しました。中心部の便数の過密の解消で運転手を周辺部に振り分けることができました。
また周辺部から市中心部を直結する長い路線は快速バスに連節バスを導入し、一人の運転手で大量の旅客を運べるようにしていました。運転手不足への対策になります。
岡山市ではバスで市内を移動しようとすると一旦、天満屋バスターミナルもしくは岡山駅に出てこなくてはなりません。市内での移動、各区で公共施設に行くためのバス路線も不便です。
岡山市が強力にバス路線のあり方の調整を行うべきです。
バスの利用を促進するには行きたいところへ向かうバスが分かりやすい必要があります。
ところが地下街からどの階段を上がると目的のバス停に最も近いのかが分かりにくい状態です。○○行きは何番まで分かってもその乗り場へ上がる階段がどれか、分かりにくい地下街とバス停の配置図です。
そこで質問です。
ア バス路線に掛かる法定協議会に利用者の公募委員を入れてはどうですか。
イ 区別に住民意見を聞いて交通政策を策定するべきではありませんか。
ウ 区別にバス路線確保に取り組むべきではありませんか。区バス事業は考えませんか。
エ バス結節点の配置の構想はどうなっていますか。
オ バス路線の整理で、周辺部の路線確保のために運転手を振り分ける取り組みのイニシアチブを取りませんか。
カ 駅地下街の案内図をより分かりやすいものに見直しませんか。
(3)吉備線LRT化について
吉備線(愛称桃太郎線)をLRT化する際の費用負担の割合についてJRと総社市長、岡山市長が合意をしました。しかし、まだ予算が組まれたわけでも議会が可決したわけでもありません。
LRTの先進事例である富山市ですが、LRT化で踏切が信号になったのは富山駅から三箇所ほどです。あとは従前の踏切のままです。LRT化イコール踏切の信号化でも渋滞の緩和でもありません。
富山市のLRT化はまちづくり、バス路線と一体に行われました。LRTが15分に一本で、バスは30分に一本で乗り継ぐことができるように時刻表が組まれています。
岡山のようにこれから停留所の位置を考える、というLRT化ありきでは交通網としての全体像が見通せません。
そこで質問します。
ア JRと総社市長、岡山市長の合意で決定、推進なのですか。
イ 三者合意に基づく岡山市の負担約70億円の妥当性はどう検証しますか。
ウ 吉備線LRT化は、沿線住民への説明も不十分ではありませんか。町内会単位での説明会を行うべきではありませんか。
エ LRT化に際しては、既存の線路をそのまま活用するのですか。
オ 踏切を信号に変える為に必要な制度変更は何ですか。
カ 踏切の拡幅はJRの判断で可能ではありませんか。踏切の幅には何か、規制がありますか。
キ 吉備線の増便が今でもできる利便性向上ではありませんか。
ク 既存の駅へのバス等の公共交通の確保が今でもできる利便性向上ではありませんか。
(4)路面電車の延伸・環状化について
5月22日に開かれた「第五回路面電車乗り入れを含めた岡山駅前広場のあり方検討会」で、路面電車を岡山駅前広場に乗り入れる際には、現行のタクシー乗り場と一般車送迎場所を入れ替える「第2案」が了承されたことになりました。岡山県タクシー協会は、第2案での了承を表明したものの、岡山県バス協会は渋滞を懸念し、実証実験を求めていました。
乗り入れの効果については、この会議は「広場のあり方を検討する場だ」として回答がされていません。懸念だけでなく、期待に応える保証もしない会議になっています。乗り入れた際の影響を、駅前の自動車交通への影響に矮小化しています。
路面電車の沿線の人はみな、岡山駅からJRに乗るわけではありません。路線沿いのお店へ買い物に行くために使用している人もいます。市民が市内を移動するためには、岡山駅前広場への乗り入れよりも延伸や環状化が役に立ちます。
先日、富山市を視察した際に環状線に乗ってみました。200円均一で乗った場所へ間違いなく戻ってくることができるのは、地理に不案内な外来者には安心感がありました。車内でWi-Fiが使えるのも便利でした。
路面電車の岡山駅前広場への乗り入れは、JRからの乗り換えの分かりにくさが理由に挙げられています。もっと分かりやすくすることは可能です。平成27年6月議会で質問した際に、地下街から路面電車の乗り場への上がり口の写真を示しました。茶色い板に日本語で「路面電車のりば」と書いてあるだけで、写真もイラストもありませんでした。MOMOの写真でもあれば印象が変わる、と指摘しました。今は英語とハングルと中国語の表記が加わり、路面電車のアイコンと後楽園・岡山城の写真があります。路面電車で後楽園・岡山城へ向かう道筋であることが、少しは分かりやすくなりました。
観光の足を向けてもらいたい、路面電車を利用してもらいたい、というなら、こうした改善を進めるのが先決です。
また、岡山駅前で少々乗り換えの距離が短くなっても、降りる先が不便では路面電車の全体としてバリアフリーになりません。
そこで質問します。
ア なぜ、岡山駅前広場乗入れが延伸、環状化より優先順位が上なのですか。市民の日常の足のためにも、観光客の回遊のためにも、延伸や環状化が有効かつ優先ではありませんか。
イ 岡山駅前広場への乗り入れを前提とした「路面電車乗り入れを含めた岡山駅前広場のあり方検討会」の前に「路面電車の路線のあり方検討会」が必要だったのではありませんか。
ウ 乗り入れが新規利用者増にどれくらい繋がるのですか?
エ 路面電車の小橋、中納言電停のバリアフリー化と安全確保についてご所見をお聞かせ下さい。
2.岡山市立図書館整備実施計画
(1)中区の図書館の必要性について
市は、平成9年に策定し、平成14年に改訂した岡山市立図書館整備実施計画を見直そうとしています。
平成29年2月議会で私の質問に対して、公共施設等総合管理計画との関係では「まだないものをつくらないようにという、そういった計画ではございません」との答弁があり、図書館整備実施計画における東部地区の状況変化としては、人口増と道路の開通、供用開始が挙げられています。
図書館の役割は、単に本の貸し出し・返却の窓口ではありません。公民館での受け取り、返却で代替できるものではありません。司書がいて、専門家として市民の知的要求に応える場です。
先行取得されている図書館用地のある地域には「老後は図書館に通って過ごそうと思っている」という方がいました。子どもや高齢者が気軽に安心して過ごせる場にもなります。状況の変化はむしろ、東部地区図書館を整備すべき方向です。
そこで質問します。
ア 公共施設等総合管理計画を図書館を作らない口実にすると整合が取れないのではありませんか。
イ 図書館整備実施計画を見直すに当たっては、市民の意見を集めるアンケートを行い、議会で議論できるスケジュールにすべきではありませんか。
ウ 中区に図書館の建設はしない方向ありきの見直しはすべきではありません。ご所見をお聞かせ下さい。
エ 建設用地を確保している東部地区図書館の建設は具体化すべきではありませんか。