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日本共産党 岡山市議団

3月 2nd, 2018

岡山市の公共交通予算は、わずか0.03%(中核市の5分の1) 3/2河田正一質問から

18年03月2日

 

2018年2月議会の個人質問2日目にトップバッターで登壇した河田正一議員は、両備HDによるバス路線廃止届の提出を受けて、岡山市の対応や公共交通を守る市の責務について論戦しました。

 

市は、今回の両備HDの廃止届の動きを11月に把握していたことを認めました。

河田議員が「(市は)廃止届を出すのを手をこまねいて傍観していた」と厳しく指摘したのに対し、市長が「最善の方法をとってきた」と述べましたが、どんな方法をとったのか重ねて尋ねても、抽象的な答弁に留まりました。

また、河田議員は、地域公共交通に関する市予算が全体のわずか0.03%であることを指摘し、市に予算拡充を求めましたが、市側は最後まで、後ろ向きな答弁を繰り返しました。

 

論戦の模様を以下に、全文ご紹介します。(文責:市議団事務局)

正式な議事録は、6月ごろに市議会ホームページで公開されます。また、来週中ぐらいには動画が公開される見込みです。

 

 

◆河田議員

1 地域公共交通について

コンパクト+ネットワークという考え方で、コンパクトシティの都市機能は、どこに住んでも最低限サービスは受けることができる日常生活に必要な機能がベースにあり、その上に中心拠点があると考えます。
また、ネットワークの基本となるのは公共交通であり、根幹は地域公共交通網ができているかどうかです。
車を持たない人を含む不特定多数の人が、公共交通を利用して拠点間を移動するようにする必要があります。
中心市街地と結ぶだけではない、生活拠点間を結ぶことで、周辺部でもサービスが受けられるネットワーク化ができます。生活を維持する拠点は身近な地域で担保する。生活拠点を結び付けて基本となる生活を維持できるまちをつくることがベースにあって、そのうえで、もっと楽しく時間を過ごしたい人に対して、魅力的な場として階層的な生活に深みをどのように生み出すかというのが中心市街地という場になります。

公共交通として必要なモノは、①交通の頻度 ②近くの停留所 ③適正な運賃
日本の公共交通は民間任せになっています。昔は開発とセットで民間が行ってきて経営的に儲かっていました。プロ野球の球団をいくつもの交通事業者が所有していた時もありました。
しかし、現在は、事業者は不採算路線を止めたくて仕方がない。そうした中で、規制緩和により、路線の新規参入や廃止が届け出制となったために、赤字路線を切り捨てて儲けを出そうとしています。
この度の両備HDの31路線の撤退表明は、まさに採算性のみを考える企業の論理で表明されたといわざるを得ません。
公共交通の役割を考えた時、「エレベーターは単独で見れば赤字なので廃止しました。各自で階段を使って高層階まで行ってください」は通用しません。ホテルの良し悪しの評価の基準は、エレベーターの利便性が大きな要素になります。エレベーターは縦の移動手段ですが、横の移動手段が公共交通です。地域で済み続けるためには地域公共交通は欠かせないものなのです。

自治体の一般会計の何%が公共交通に使われるか
他国では公共交通に責任を負うところがあります。例えば、エストニアの首都タリン市では、道路予算とは別に 10%が使われています。
日本では、中核市の財政出動を高松市が調べています。それによると上位10市は予算の0.84~0.24%、平均で0.15%です。
一方、岡山市はH28決算でわずか0.03%です。(97,217千円、路面電車・路線バス・生活交通を含め)
地域交通は黒字でなければならないという発想からは、住民が「おでかけ」できることの大切さを感じ、地域や利用者に「ありがたがっていただける」公共交通にすることはできません。人の流れをつくりだし、地域を躍動させることが地域公共交通ではないでしょうか。
公共交通を黒字にする必要はありません。黒字にしなければならないのは「まち」です!
「地域公共交通」の多くは、2つの「バイ」になっています。1つは、採算性の「ショウバイ路線」、2つには、路線があるだけの「アリバイ路線」。これでは住民のニーズはかなえられません。「お出かけ」しやすくすることは、地域をイキイキ、ワクククするための重要な要素です。
事業者と自治体が対等の立場で一緒に走らせる路線が公共交通として必要です。
そのためには、自治体がイニシャティブをとり、地域公共交通網を確立する必要があります。

しかし、自治体だけで公共交通ネットワークを作り上げることには制約があります。国が制度をつくり、予算をしっかりつける必要があります。
地域住民も、自治体や事業者と一緒に交通問題に取り組むことが求められます。
地域の具体的な取り組みが考えられる一例を述べます。
御津宇甘西地区は、岡山市の外れに位置し、高齢化が進む地域です。住民の足として、コミュニティバスが走っています。しかし、山の中腹にある家からバス停まで歩くことが困難な人は、バスを利用できません。また、便数は限られており、土日は運行していません。そのうえ、一日おきの運行で、金川病院は診療科目により週1回しか診察しないので、診察日が合わず困っているとか、介護施設に外国から介護職員を多く雇ったが、休日に街に出かけることができないので、まちなかの施設に転職を言い出す人がいるなどの声が寄せられています。地域内にある福祉施設では福祉有償運行を行って要介護者等の搬送を行っています。

しかし、この地には朝日塾中・高があり、通学バスをたくさん運行しています。これらをうまく結びつけることができれば、住民の足は飛躍的に便利になります。コミュニティバスの運行も幹線に特化することができれば、便数を増やすことができ、利用者が増えることにつながります。

質問します。
(ア)自家用車を利用できない高齢者等、移動が大きく制限される「移動制約者」が増大しています。交通移動の権利を保障し、安全を大前提に公共性を重視した「交通基本法」に改めるように国に要望しませんか。
(イ)現在、国の公共交通予算は300億円です。大幅に引き上げることを求めませんか。当面、せめて1000億円にすることを要望しませんか。
(ウ)両備HDが31路線を廃止する意向があることを市長が知ったのはいつの時点ですか。
廃止の意向を知ってから市としてどのような対応を行いましたか。
(エ)地域公共交通の衰退を止め、維持確保改善することはもはや、事業者任せにできません。国に補助増額を求めるとともに、市としても公共交通確保のための予算を増やしませんか。
(オ)新年度予算に地域公共交通網形成計画策定事業費が計上されています。交通ネットワークの形成実現のための方策を示してください。
(カ)網計画をつくるためには、住民に、必要な「地域公共交通」とはどんなもので、どのように支えていけばいいかを地域でまともに話し合う機会が必要ではありませんか。
(キ)地域資源を活用して、住民の足を確保するためにこそ規制を取っ払うことが求められます。現在は住民の移動手段となっていない企業の従業員送迎バスや車、民間の介護者輸送交通、スクールバス等を、住民の足となるように、新しい交通モデルを、岡山市が主導して行いませんか。
(ク)路線バス、コミュニティバス、デマンドタクシーの効率的な組み合わせで、地域の需要に応じた交通体系を真剣に取り組みませんか。

 

◆都市交通公園担当局長
交通基本法に改めるように国に要望してはどうか、それから国の公共交通予算を大幅に引き上げることを求めてはどうか、国に補助増額を求め、市の公共交通確保のための予算を増やしてはどうかについて一括してお答えします。
H25年12月に施行された交通政策基本法では、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保や、高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動のための施策が位置付けられており、現在のところ国に改正を要望する考えはありません。財源確保の要望については引き続きこれまでと同様に国に対して要望を行ってまいります。また、市の公共交通確保のための予算増額については、今後、法定協議会での議論なども踏まえ、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
次に、廃止する意向を市長が知ったのはいつ時点か、またその後市としてはどのように対応したかとのご質問です。昨年11月に両備HDから、今後、八晃運輸が運行するめぐりんの西大寺線が認可された場合には、両備バス・岡電バスの一部赤字路線を廃止せざるをえない旨を国に対して伝えると私がうかがいましたので、市長に報告いたしました。新規路線の認可は国の権限であることから、その動向を注視しておりましたが、認可の同日2月8日に、両備が廃止届の提出を発表したことを受け、市民の足を確保するために迅速に対応する必要があると考え、法定協議会の立ち上げを前倒しして今月中に開催し、交通事業者や利用者代表者等と議論を始めることにいたしました。
次に、交通ネットワークの形成実現のための方策、それから網形成計画をつくるためには地域で話し合う機会が必要ではないかとのご質問です。現在策定中の総合交通計画では、公共交通が不便な地域での移動手段の確保の他に、都心内の回遊性向上や都心と拠点間をつなぐ交通連携軸の強化のため、路面電車・鉄道・バスなどの公共交通を中心とした交通ネットワーク構築をめざすこととしております。来年度からはこれらの施策を着実に遂行するために、地域公共交通網形成計画の策定に着手することとしており、計画策定にあたっては今月中に立ち上げる法定協議会に利用者代表にも参加していただき、幅広くご意見をうかがいながら、市民の足の確保についてしっかり議論してまいりたいと考えております。
次に、新しい交通モデルを岡山市が主導してはどうかとのご質問です。本市では新たな交通モデルとして、デマンド型乗り合いタクシーの導入に向けて、現在迫川地区で試験運行を実施しており、この4月からは本格運行に移行する予定でございます。また、迫川地区以外の4地区においても、試験運行実施に向けた運行計画を検討しているところです。議員のご提案については、道路運送法等の制約が考えられることから、今後の研究課題とさせていただきたいと考えております。
最後に、路線バス・コミュニティバス・デマンドタクシーを効率的に組み合わせて、需要に合わせた交通体系にしてはどうかとのご質問です。既存の公共交通とコミュニティバス等を効率的に組み合わせることは、地域内及び都心と地域の間のスムーズな移動を実現するために非常に重要であると考えております。現在運航している御津建部コミュニティバスや足守地区生活バス、迫川地区はもとより4地区で取り組んでいるデマンド型乗り合いタクシーの運行計画を検討する際は、出来る限り既存の鉄道や路線バスとスムーズに接続できるダイヤを設定することとしております。

◆河田議員
それでは順次、一問一答形式で質問したいと思います。
交通基本法の改定は求めないということでございました。地域公共交通に対する社会の見方が変わりつつあります。収益事業という認識が薄まり、急速に進展する人口減少と超高齢化に対応するための重要な政策手段ととらえる考え方が浸透してきています。交通基本法に要件を盛り込む必要性はあるのではないかと思うんですけど、再度この点について今までと変わってきつつある国民の意識等考えて答弁をお願いします。

◎都市交通公園担当局長
議員おっしゃられたとおり、確かに情勢変わってきておりまして、今後の人口減少等を考えると、需要の少ないエリアでは特に今回の件のように、路線バスの廃止というようなことが考えられると思います。しかし、現行の法律では自由競争を前提とした体形となっておりまして、そこのところは確かに、現状と若干の食い違いがあるものの、今の所、国に対して法改正を要望する考えはありません。

◆河田議員
現状とずれがあるということを認識しながら法改正は求めない、ちょっと矛盾がありますね。これについて、岡山市はそういうスタンスだってことを念頭に置きながら、また質問を続けていきたいと思います。
国の予算のあり方として、リニア新幹線に9兆円かかる、そのうちの3兆円を財政投融資でやりますとか、整備新幹線をどんどんやるとか、そういう大型な公共交通網、高速交通網にはお金をどんどんつぎ込んでいる。しかし、地域公共交通という一番大切な、住民に直結しているものについて、金が足らないじゃないか、それを増やしてくださいというその要望をしっかりしていくことは、これ絶対必要なんですよね。ただまあそれは、今まで通り要望続けますというんだけど、もっと強く要望しなければ、今回の両備HDの投げかけた石は、我々がしっかり受け止めるということにはならないんじゃないですか。どうですか。

◆都市交通公園担当局長
この点についてはおっしゃる通り、H28年度から岡山市として地域公共交通の確保に向けて必要な財政措置を講じることということで、国に対して要望をしております。今回のようなことも受けて、この点についてもしっかり国に対して要望していきたいと思います。

◆河田議員
県は法定協議会の前に、両備HDの2社だけを事業者として呼んだ協議を行うと表明しました。県の考えてる協議をどのように感じてるか、また、市が3月中に開催するという法定協議会の役割をどのように考えているか、それをお知らせください。

◆都市交通公園担当局長
この度県の方で開催しようとしている会議体は、県と関係4市、それから両備バス、岡電バスということでございまして、関係者が集まって、どういうことなのかということをまずお聞きしながら、その対策を考えるということだと認識しております。一方で、岡山市の方で考えております法定協議会につきましては、そもそも総合交通計画の策定後、それを具体化させるために法定協議会を起こして、具体の施策として考える場所として法定協議会を設置することにしておりましたけれども、この度の廃止の届け出を受けて、それを前倒ししてやろうというものです。岡山市内の公共交通網全体がどうあるべきかについてしっかり議論をする場と思っております。

◆河田議員
安倍首相は両備HDの撤退届けを受けて、地方ではバス路線が競争と路線の維持を両立は難しいという問題提起があったと受け止めていると答弁しました。競争によることが、他の地方バス事業を困難にしているという理由だと考えていますか。

◆都市交通公演担当局長
反問です。もう一度質問を教えてください。

◆河田議員
安倍首相の言う、競争によって地方のバス路線が困難になっているという、そういうことだけの認識だけでいいかということを聞いてんです。競争によって地方のバス路線は厳しくなってる、難しくなってると、そういう認識でいいかという、そのことについての所見をお伺いしたんです。

◆都市交通公園担当局長
地域、岡山市でも周辺のバスが衰退していく原因の1つにはなっているのかもしれませんけれども、ほかにも原因はやっぱりいろいろ考えられまして、例えば人口が減少するとか、利用がそもそも減っているというようなことが、衰退につながっているんだと思います。

◆河田議員
また、首相は各地方のバス事業の状況をしっかり把握、検証しながら地方公共交通政策を進めると強調しました。岡山市としてバス事業の状況把握はどのように把握していますか。

◆都市交通公園担当局長
市内には多数のバス会社がおりまして、中心部に近い所では本当に競争の原理を働かせながら、低料金の運賃での運行なんかもされております。一方で郊外の路線については、年々路線が短くなったり便数が減ったりというようなことが起きとります。

◆河田議員
両備の撤退するという意思を去年聞いてから、どういう風にしなければならないと市は考えたんですか。それともずっと黙視というか黙って見ているだけの対応だったのですか、今まで。

◆都市交通公園担当局長
昨年11月に、廃止せざるを得ないかもしれないというお考えを示されました。市としましては、今回の八晃運輸による新規路線の参入そのものについては、沿線地域の方にとっては、便数も増えるし、低料金のサービスが提供されるということで、必ずしも悪いことではございません。そういうことも考えますと、市として具体的にどうするということは厳に慎むべきだと考えたところです。

◆河田議員
今の聞くと、国に廃止届出すのを手をこまねいて傍観していたと言わざるを得ないんですよね。今回の両備のやり方については、市民の足を人質にとったやり方だってことで、市民を不安に陥らせる行為ですんで、これに対して市の対応としては市民の足を確保するために対処法を、ちゃんと腹案を持ってあたっていく必要があったんではないかと思うんですけど、その点はいかがですか。

◆市長
昨年11月に廃止届を出すかもしれないという事実を承知してから、我々としては当該状況、まず認可申請がどういう風になっていくのか、そしてこの廃止届なるものが出されたらどういう影響出てくるのか、そしてそれらに対してどう対処していくのかということを常に考え、情報をまた分析し、我々としてできる最善の方法をとってきたところであります。

◆河田議員
今言われた最善の方法とはどんな方法なんですか。

◆市長
最善の方法、それはいろいろなものがあると思います。我々にとって最善の方法、これだけで言うとまたお怒りになるかもしれないんで、それは、道路運送法関係者とのやりとりもございます。そして、様々な今回の認可廃止届に係る関係者もいます。そういった人との話し合い。そして我々の中での検討。法定協議会についてどうしていくかってこともあります。そういった様々な分析そして対処の方針、それらについて協議し、行動した、そういったことを最善の方法と呼んでいるところであります。

◆河田議員
先ほど局長は、法定協というのは具体の策を決定する場だけど、それをしっかり関係者の意見を聞いた上で協議したいというニュアンスで言われました。それだったら先ほど市長が答弁された、最善の方法を考えてきたということと矛盾するように思うんですけど、その辺はどうなんですか。

◆都市交通公園担当局長
関係者、市民の方としっかり議論することが最善の方法だと思います。

◆河田議員
議論は必要だと思います。ただ、市としてのイニシアチブはきちっと取ることが必要じゃないかと思うんでね、そういうことは今、市長は最善の方法を考えてきたということですから、それはどんなものか経過を注視したいと思います。
市として公共交通に対して予算を出すということ。隣の総社市では「雪舟くん」が結構皆さんから喜ばれております。年間5万人ほどが利用してて、全部合わせて6,000万ぐらいの事業費を使っておりますので、1人当たり1,200円ぐらい使ってる計算になるんですけれども、こういった中で、いろんな利用するための方策ってのはとられてるみたいなんですよね。こういう風な地域の足を守るために市が金を使うということは必要だと思うんで、その点、岡山市のやり方は先ほど言いましたように、予算の0.03%ですからね。もっともっと増やしていく、これは絶対必要だと思うんですけど、その辺はいかがですか。

◆都市交通公園担当局長
財源の前に、特に、公共交通がなくなった地域の方々と一緒になってやるということが重要だと思っております。予算の多い少ないではなくて、地域の方と一緒に公共交通をつくっていくということが重要だと思っておりますので、その点に力を入れてやっていきたいと思います。

 

【資料】 2018年2月議会 質問原稿(3/1河田正一)

18年03月2日

【印刷用PDF】個人質問(180301河田正一)

 

1 地域公共交通について
コンパクト+ネットワークという考え方で、コンパクトシティの都市機能は、どこに住んでも最低限サービスは受けることができる日常生活に必要な機能がベースにあり、その上に中心拠点があると考えます。
また、ネットワークの基本となるのは公共交通であり、根幹は地域公共交通網ができているかどうかです。
車を持たない人を含む不特定多数の人が、公共交通を利用して拠点間を移動するようにする必要があります。
中心市街地と結ぶだけではない、生活拠点間を結ぶことで、周辺部でもサービスが受けられるネットワーク化ができます。生活を維持する拠点は身近な地域で担保する。生活拠点を結び付けて基本となる生活を維持できるまちをつくることがベースにあって、そのうえで、もっと楽しく時間を過ごしたい人に対して、魅力的な場として階層的な生活に深みをどのように生み出すかというのが中心市街地という場になります。

 

公共交通として必要なモノは、①交通の頻度 ②近くの停留所 ③適正な運賃
日本の公共交通は民間任せになっています。昔は開発とセットで民間が行ってきて経営的に儲かっていました。プロ野球の球団をいくつもの交通事業者が所有していた時もありました。
しかし、現在は、事業者は不採算路線を止めたくて仕方がない。そうした中で、規制緩和により、路線の新規参入や廃止が届け出制となったために、赤字路線を切り捨てて儲けを出そうとしています。
この度の両備HDの31路線の撤退表明は、まさに採算性のみを考える企業の論理で表明されたといわざるを得ません。
公共交通の役割を考えた時、「エレベーターは単独で見れば赤字なので廃止しました。各自で階段を使って高層階まで行ってください」は通用しません。ホテルの良し悪しの評価の基準は、エレベーターの利便性が大きな要素になります。エレベーターは縦の移動手段ですが、横の移動手段が公共交通です。地域で済み続けるためには地域公共交通は欠かせないものなのです。

 

自治体の一般会計の何%が公共交通に使われるか
他国では公共交通に責任を負うところがあります。例えば、エストニアの首都タリン市では、道路予算とは別に 10%が使われています。
日本では、中核市の財政出動を高松市が調べています。それによると上位10市は予算の0.84~0.24%、平均で0.15%です。
一方、岡山市はH28決算でわずか0.03%です。(97,217千円、路面電車・路線バス・生活交通を含め)
地域交通は黒字でなければならないという発想からは、住民が「おでかけ」できることの大切さを感じ、地域や利用者に「ありがたがっていただける」公共交通にすることはできません。人の流れをつくりだし、地域を躍動させることが地域公共交通ではないでしょうか。
公共交通を黒字にする必要はありません。黒字にしなければならないのは「まち」です!
「地域公共交通」の多くは、2つの「バイ」になっています。1つは、採算性の「ショウバイ路線」、2つには、路線があるだけの「アリバイ路線」。これでは住民のニーズはかなえられません。「お出かけ」しやすくすることは、地域をイキイキ、ワクククするための重要な要素です。
事業者と自治体が対等の立場で一緒に走らせる路線が公共交通として必要です。
そのためには、自治体がイニシャティブをとり、地域公共交通網を確立する必要があります。

しかし、自治体だけで公共交通ネットワークを作り上げることには制約があります。国が制度をつくり、予算をしっかりつける必要があります。
地域住民も、自治体や事業者と一緒に交通問題に取り組むことが求められます。
地域の具体的な取り組みが考えられる一例を述べます。
御津宇甘西地区は、岡山市の外れに位置し、高齢化が進む地域です。住民の足として、コミュニティバスが走っています。しかし、山の中腹にある家からバス停まで歩くことが困難な人は、バスを利用できません。また、便数は限られており、土日は運行していません。そのうえ、一日おきの運行で、金川病院は診療科目により週1回しか診察しないので、診察日が合わず困っているとか、介護施設に外国から介護職員を多く雇ったが、休日に街に出かけることができないので、まちなかの施設に転職を言い出す人がいるなどの声が寄せられています。地域内にある福祉施設では福祉有償運行を行って要介護者等の搬送を行っています。

しかし、この地には朝日塾中・高があり、通学バスをたくさん運行しています。これらをうまく結びつけることができれば、住民の足は飛躍的に便利になります。コミュニティバスの運行も幹線に特化することができれば、便数を増やすことができ、利用者が増えることにつながります。

質問します。
(ア)自家用車を利用できない高齢者等、移動が大きく制限される「移動制約者」が増大しています。交通移動の権利を保障し、安全を大前提に公共性を重視した「交通基本法」に改めるように国に要望しませんか。
(イ)現在、国の公共交通予算は300億円です。大幅に引き上げることを求めませんか。当面、せめて1000億円にすることを要望しませんか。
(ウ)両備HDが31路線を廃止する意向があることを市長が知ったのはいつの時点ですか。
廃止の意向を知ってから市としてどのような対応を行いましたか。
(エ)地域公共交通の衰退を止め、維持確保改善することはもはや、事業者任せにできません。国に補助増額を求めるとともに、市としても公共交通確保のための予算を増やしませんか。
(オ)新年度予算に地域公共交通網形成計画策定事業費が計上されています。交通ネットワークの形成実現のための方策を示してください。
(カ)網計画をつくるためには、住民に、必要な「地域公共交通」とはどんなもので、どのように支えていけばいいかを地域でまともに話し合う機会が必要ではありませんか。
(キ)地域資源を活用して、住民の足を確保するためにこそ規制を取っ払うことが求められます。現在は住民の移動手段となっていない企業の従業員送迎バスや車、民間の介護者輸送交通、スクールバス等を、住民の足となるように、新しい交通モデルを、岡山市が主導して行いませんか。
(ク)路線バス、コミュニティバス、デマンドタクシーの効率的な組み合わせで、地域の需要に応じた交通体系を真剣に取り組みませんか。

2 可燃ゴミ広域処理計画について
先日開催された岡山市環境政策審議会では、委員から多くの質問が出され、評価項目の点数の変更が一部行われることになりました。
しかし、候補地の場所選定の前に必要なことが議論されていないのではないかと感じています。
一つは、可燃ごみの減量化目標の設定。
二つは、減量化をするために何をなすべきか。
三つには、可燃ごみを焼却することを何の疑いもなく進めてよいのか、という疑問があります。

質問します。
(ア)基本計画では災害ゴミが81,816t発生する、それを3年間で処理するとしています。災害がいつ起こるかわからないし、より大きな規模の災害の場合は、仮設焼却炉を建設もしなければなりません。災害ゴミの数字の根拠を示してください。
(イ)今後のごみ焼却量予測で、玉野市▲3,162t、久米南町▲209tと削減目標が示されています。岡山市の減量化目標はいくらなのか。当新田、東部クリーンセンターの焼却量を増やしている。これは新焼却施設の焼却量を200t/日に合わせた、つじつま合わせの計画ではありませんか。
(ウ)ごみ減量化のため、生ごみの分別収集を実施し堆肥化すれば、40%焼却量は減ります。これだけで、新規焼却炉は不要となります。生ごみの堆肥化に取り組みませんか。
(エ)廃プラ類の焼却ではなく、高温蒸気による分解で油化し燃料として利用し、売却または発電に活用することで、焼却施設の維持管理費が減額できるだけでなく、採算がとれるようになるという新しいシステムが開発されていると聞きます。新システムの検討をしませんか。
(オ)家庭ごみ有料化を見直し、無償化して、市民と一緒にごみを燃やさないで資源化する、循環型の環境先進都市を目指しませんか。