市議団事務局(東田) 18年03月16日
【印刷用PDF】2018年2月議会 議案反対討論(0316林潤)
日本共産党岡山市議団の林潤です。
私は、党市議団を代表して、2月定例会で各常任委員会に付託された108件の議案のうち、甲第4号議案平成30年度岡山市一般会計予算について、以下20件の議案について委員長報告に反対する立場で討論いたします。
(反対する議案)
甲第4号 平成30年度岡山市一般会計予算について
甲第5号 平成30年度岡山市国民健康保険費特別会計予算について
甲第17号 平成30年度岡山市水道事業会計予算について
甲第22号 岡山市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例の制定について
甲第32号 岡山市特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第36号 岡山市指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第38号 岡山市指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例の制定について
甲第41号 岡山市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第42号 岡山市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第43号 岡山市指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第44号 岡山市指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第45号 岡山市介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第46号 岡山市指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第47号 岡山市介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の制定について
甲第48号 岡山市指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について
甲第56号 岡山市立認定こども園条例の一部を改正する条例の制定について
甲第58号 岡山市立幼稚園型認定こども園,保育所型認定こども園及び地方裁量型認定こども園の認定の要件を定める条例の制定について
甲第95号 平成29年度岡山市一般会計補正予算(第5号)について
甲第96号 平成29年度岡山市国民健康保険費特別会計補正予算(第3号)について
甲第109号 岡山市国民健康保険条例の一部を改正する条例の制定について
【待機児童解消にならない認定こども園に金や人を割く一方で、公立施設を減らす】
まず、甲第4号議案平成30年度岡山市一般会計予算のうち、
第2表 債務負担行為
鹿田認定こども園(仮称)施設整備事業 限度額6億2千40万円
宇野認定こども園(仮称)施設整備事業 限度額4億3千970万円
高島認定こども園(仮称)施設整備事業 限度額4億5千170万円
第3表 地方債
保育園・幼稚園一体型施設整備事業費充当17億4千470万円
歳出、第3款民生費第10項児童福祉費第16目認定こども園費中、
認定こども園整備費20億1千300万円
第25款市債第1項市債第3目民生債中、
保育園・幼稚園一体型施設整備事業費充当17億4千470万円
及び甲第56号議案
は、認定こども園を推進しようとするものです。
保育園の待機児童解消は、岡山市にとっても重要な課題です。児童福祉法で定められた地方自治体の保育の義務をしっかりと果たせるようにしなくてはなりません。
働く保護者にとって保育園と幼稚園を合体させることは優先課題ではありません。安心して預けられる質が保証された保育園を必要な数だけ作って欲しい、というのが願いです。
保育園と幼稚園を一体化して作る認定こども園では、定員が増えるわけでもなく、財源のことを言う割には市の持ち出しで作る幼保一体型認定こども園に予算や職員のマンパワーを割いて、公立施設を減らしていくのは方向性が間違っています。
よってこの予算に反対です。
【地方裁量型認定こども園の基準では安心して預けられない】
甲第58号議案
は、岡山市立幼稚園型認定こども園,保育所型認定こども園及び地方裁量型認定こども園の認定の要件を定めようとするものです。
地方裁量型認定こども園とは、国基準に満たない認可外保育所です。
昨年4月に、姫路市の認定こども園で、定員を大幅に上回る受け入れなど子どもの安全に関わる重大な法令違反が発覚し、全国初の認定取り消しとなったのは地方裁量型認定こども園でした。
3歳未満の子どもを見る資格が小学校教諭でいい、というのは子どもの発達や資格の専門性を無視した乱暴な基準です。保育に当たる職員の内、一人は無資格者でいい、というのも保育の質を低下させます。
安心して預けられる保育園を、という保護者の願いに逆行するものです。
よってこの条例案に反対です。
【富吉の新斎場は建設強行で地域にしこり】
同じく甲第4号議案中、債務負担行為
新斎場整備関連事業(集会所等整備)限度額1億2千50万円
新斎場整備関連事業(農業施設等整備)限度額1億1千350万円
新斎場整備関連事業(道路河川等整備)限度額4億2千570万円
歳入第25款市債第1項市債第4目衛生債中、
斎場整備事業費充当17億9千20万円
歳出第4款衛生費第1項保健衛生費第30目火葬場費中、
斎場施設関連整備事業費20億7千780万円
は、北区富吉での新斎場整備事業に係るものです。
地域の意思決定のあり方、賛成地域に補助金を配分するやり方などに批判があります。
土地の値段、安全性などに疑問が出されています。
このまま富吉に新斎場を建設しては、地域にしこりが残りかねません。
よってこの予算に反対です。
【ゴミ袋有料化に反対】
同じく甲第4号議案中、歳入第17款使用料及び手数料第2項手数料第4目衛生手数料中、
家庭系ごみ処理手数料9億3千88万円
債務負担行為
家庭系指定ごみ袋作成経費1億4千万円
歳出、第4款衛生費第5項清掃費第1目清掃総務費中、
家庭系ごみ有料化事業3億8千180万円、指定ごみ袋保管配送業務委託料3千272万3千円
は、家庭系ごみの収集有料化に伴う予算です。
どんなに心掛けても生活していれば、必ずごみは出ます。安全で衛生的な市民生活の基盤を守ることは自治体固有の事務です。
お金を出して袋を買わなければごみを集めない、というのではなく、税金で処理するのが当然です。
また市は、ごみ袋代を環境関連の拡充経費に充てている、と言いますが、不法投棄対策やエコの推進は、手数料を取らなくてもやらなければならない時代です。市民から税金の二重取りのようにごみ処理手数料を集める理由にはなりません。
よって、この予算に反対です。
【毎年22億円かけて無駄な水を買うべきではない】
同じく甲第4号議案中、第3表 地方債
岡山県広域水道企業団水源開発出資金充当2千880万円
第25款市債第1項市債第4目衛生債中、
岡山県広域水道企業団水源開発出資金充当2千880万円
歳出、第4款衛生費第15項上水道整備費第1目上水道整備費中、
岡山県広域水道企業団運営費等負担金2千163万1千円、
岡山県広域水道水源開発等出資金1億1千691万8千円
及び甲第17号議案中、支出第1款水道事業費用第1項営業費用第2目受水費中、
22億7千390万4千円
は岡山県広域水道企業団からの受水に係る費用です。
日本共産党は、苫田ダムは不必要なダムだ、と反対してきました。広域水道企業団の水の供給計画は極めて過大です。
市長は、苫田ダムは需給ギャップが大きい、との認識を示しています。他の自治体から、全体の2次の計画は見直す必要があるのでは、との認識が示されています。
にもかかわらず市は毎年、22億円も掛けて同じ量の水を買い続けています。
市の節水努力や設備のコスト削減とは別に常に同じ量を買い続けなくてはならないのは税金の無駄遣いです。苫田ダムの利水・治水の計画を見直すべきです。
よってこの予算に反対です。
【不正常な固定資産税課税はやめるべき】
同じく甲第4号議案中、歳入第1款市税第2項固定資産税第1目固定資産税には、
平和町1番地区に掛かる超過税率3千459万9千円が含まれています。
再開発に市が過大な補助を出し、後で区分所有者から超過税率で回収しようとするものです。再開発で利益を得た者から回収するのが筋です。
不正常なやり方であり、このような歳入に反対です。
【自衛官募集事務を市はやめよ】
同じく甲第4号議案中、歳入第18款国庫支出金第3項委託金第2目総務費委託金中の
自衛官募集事務費委託金9万6千円
は、市が委託を受けて行う自衛官の募集事務に係る予算です。
安倍政権の下で、長距離ミサイルや攻撃型空母の保有の動きなど、歴代政権の憲法解釈ではできなかったことが進められようとしています。集団的自衛権行使容認の閣議決定がなされ、安保法制・戦争法が強行されて、自衛隊は海外で戦争する組織へと変えられてきました。仕上げに憲法9条の改悪が狙われています。
外交、安全保障は国の専管事項と言いながら、自衛官募集を市が行うことはありません。
よってこの予算に反対です。
【路面電車駅前乗入より先にやることがある】
同じく甲第4号議案、歳出第8款土木費第20項都市計画費第1目都市計画総務費中、
都市交通戦略推進事業費4億5千20万円中、7千190万円
は、路面電車の駅前広場乗り入れに係る予算です。
言うまでもなく、公共交通の充実は、交通弱者に必要な事であり、CO2排出削減の為にも進めなくてはなりません。民間の競争任せではなく、公が一定の責任を果たすべきことは、バス路線廃止問題で改めて明らかになりました。
その上で、路面電車の駅前広場乗入れが公共交通政策の中で優先施策でしょうか。
延伸や環状化の全体構想の中で考えるべきであり、総合交通計画が遅れ、地域から疑問が出されているにもかかわらず前のめりで進めるべき事業ではありません。
よって、この予算に反対です。
【学校給食の民間委託は止めるべき】
同じく甲第4号議案中、歳出第10款教育費第30項保健体育費第15目学校給食費中、
学校教育施設等整備基金運営費2千788万8千円、給食業務委託8億9千380万5千円
及び甲第95号議案中、歳出第10款教育費第30項保健体育費第15目学校給食費中、
学校教育施設等整備基金積立金6千259万5千円
は、学校給食調理業務の民営化に係るものです。6施設の契約更新が予定されています。
昨年の今頃、調理業務委託の指名を受けた業者が、調理員を確保することができず、辞退して投げ出しました。
他の学校から給食を別々に運ぶ事態になり、他校の献立にまで煽りを受けました。安全で安定的な給食調理業務が維持できず、子どもたちに影響が出ました。
給食調理員の処遇の低さが人材確保の障害になっている、と指摘をしましたが、今も最低賃金ぎりぎりの求人が出されています。
民営化で浮くとされる金額を算出して、民営化すれば施設整備を進めるというやり方は教育的ではありません。給食調理業務は民営化推進ではなく、直営で責任を持つべきです。
よって、この予算に反対です。
【国民健康保険会計の黒字は保険料引き下げに使うべき】
甲第95号議案中、歳入第22款繰入金第1項特別会計繰入金第1目特別会計繰入金中の
国民健康保険費特別会計繰入金21億4千598万1千円
甲第96号議案 平成29年度岡山市国民健康保険費特別会計補正予算(第3号)中、
歳出第15款諸支出金第1項操出金21億4千598万1千円
は、国民健康保険費の黒字分を国民健康保険費特別会計から一般会計へ繰り入れようとするものです。
これまで平成26年度は、一般会計からの繰入を減額した上で一部を積み立てました。平成27年度は全額を積み立て、平成28年度は全額を繰り越し、平成29年度は一般会計からの繰り入れを減額した上で、一般会計に繰り入れようとしています。
国保財政の運営が場当たり的で定まりません。
繰り越し分は、基金として積み立てたり、保険料を値下げしたりするために使うべきです。
よってこの予算に反対です。
【国民健康保険料の引き上げに反対】
甲第5号議案
は、岡山市国民健康保険の保険料率を引き上げようとするものです。
今年度も市民から国民健康保険料を引き下げて欲しい、という署名が寄せられました。
国民健康保険制度は、全ての市民が安心して医療を受けられる基盤となる社会保障制度です。
県単位化されるからといって、市がこれまで取ってきた保険料値上げ抑制の予算を減らすことは間違いです。
基金を活用し、一般財源も適切に使って、値上げは抑え、さらには引き下げるべきです。
甲第109号議案は、国民健康保険制度を県単位化しようとするものです。
国保の構造的な財政基盤の脆弱さや加入者減は、県単位化では解決しません。市民から遠くなり、市民の願いが反映されにくくなる弊害の方が問題です。
よってこれらの条例案に反対です。
【マイナンバー拡大はすべきでない】
甲第4号議案中、第2款総務費第1項総務管理費第1目一般管理費中、
社会保障・税番号制度関係事務費1億100万円
は、マイナンバーに掛かる予算であり、
甲第22号議案
は、マイナンバーの利用を拡大する条例案です。
マイナンバー制度の本質は、国民に番号付けをして国が把握するものです。取るものはしっかり取り、給付は抑えることに利用されます。
また、この議会中にも岡山市でマイナンバーの記載された住民票を誤って交付する事故があり、生涯変わらないはずの番号が変更されました。個人情報漏洩の危険が改めて明らかになりました。
マイナンバー制度は、利用拡大ではなく,廃止すべき制度です。
よってこれらの予算案と条例案に反対です。
【療養病床の削減と受け入れ先の基準引き下げを許すな】
甲第47号議案
は、療養病床を削減して、介護医療院を新設しようとするものです。
甲第32号議案、甲第41号議案、甲第42号議案、甲第44号議案、甲第45号議案
は、療養病床の削減の受け入れ先になれる特養、小規模多機能、養護老人ホーム、老健施設などの食堂や風呂、施設基準を緩和しようとするものです。
甲第32号議案及び甲第46号議案
は、介護施設の規制緩和を延長しようとするもので、療養病床削減の一環です。
国が進める病床削減は、行き場を失う人を生むことになります。
よってこれらの議案に反対です。
【訪問介護の回数制限はだめ】
甲第43号議案
は、訪問介護の回数制限など受けられるサービスが一様に抑制されます。訪問回数が一定数を超えるケアプランをケアマネージャーが市に届けることが義務づけられます。地域ケア会議が利用抑制の場になり、必要な支援が抑制される可能性があります。
今でも高い介護保険料を払っていても、いざという時にその人に合ったサービスが受けられず、「保険あって介護なし」「国家的詐欺だ」という批判があります。
この条例案はさらにサービス抑制に繋がります。
よって、この条例案に反対です。
【「共生型サービス」で質を下げるな】
甲第36号議案、甲第38号議案、甲第41号議案、甲第42号議案、甲第48号議案
は、共生型サービスに伴う条例改正案です。
法改正の際の審議で「施設・人員基準が”低い方”にあわせられ、サービスの質が低下するのではないか」という懸念に対し、政府からは具体的な答弁はありませんでした。
高齢者、障害者・児が共に生きるというと聞こえはいいですが、高齢者施設が指定を受ければ専門職がいなくても障害者・児を受け入れられるという制度変更には問題があります。
障害者・児の対応で、必要な資格者がいないと安全やサービスの質が保証できません。
よってこの条例案に反対です。
以上、反対の理由を申し述べました。
議員各位の賛同を賜りますよう、よろしくお願い致します。