【資料】 2016年11月議会 個人質問(原稿) 12/5田中のぞみ
市議団事務局(東田) 16年12月6日
1.受動喫煙防止対策について
この9月に厚生労働省は、受動喫煙による我が国の死亡数が年間1万5000人、受動喫煙による肺がんリスクは1.3倍と発表しました。本人が吸っていないのに、です。
また、厚労省の「健康日本21」によると喫煙は、日本人の死亡要因の第1位です。
さらに、コスト面ではたばこ税の収入よりも医療費などの損失の方が大きいという研究もあります。個人の嗜好としてタブー視されがちなタバコ問題ですが、健康寿命延伸おいても医療費抑制においても、タバコと健康の問題こそしっかり正面から取り組まなければならない課題です。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックにむけ受動喫煙防止の対策を強化するとしている厚労省は、10月12日に新たな法整備の「たたき台」を発表しました。それによると、不特定多数の人が集まる官公庁は建物内禁煙で喫煙室も不可という案が示されています。多くの政令市でも市庁舎の建物内禁煙はもはや常識で、本市は遅れていると言えます。法制化されるのを待つのではなく、健康福祉の先進都市岡山として何ができるのか今から対策を考えるべきです。
(1)受動喫煙には、喫煙者の衣服や呼気にさらされる第3次受動喫煙も含まれます。また「受動喫煙症」という病状も診断基準が確立しています。少しの煙なら健康に影響がないという考えがあるのかも含め、「受動喫煙防止」について市のお考えと市政における位置づけをお示しください。
(2)大気汚染で問題視されたPM2.5ですが、タバコの煙の粒子はもっと細かいそうです。しかも毒性の強いタールの粒子です。そもそもPM2.5とは何なのか。その健康被害についても併せてお示しください。
(3)不特定多数の市民が出入りする岡山市の市有施設(特に本庁舎、分庁舎、区役所、支所、公民館)において、現在どこを喫煙場所に指定していますか。そこは健康増進法25条の「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努め」られていると認識しているかもお答えください。
(4)岡山市のポイ捨て条例では路上喫煙禁止区域内の岡山駅周辺で3カ所の喫煙場所が設けられています。学生や子ども達も行き交う主要駅であり、今後増やそうとされている外国人観光客にとっても玄関口となる駅前です。国際常識に照らしても、「受動喫煙防止のために必要な措置」を講じるべきではないですか。
(5)健康増進法25条及び度重なる厚労省からの通知からも、市には受動喫煙から市民を守る責務があると思います。レストランや民間企業への周知啓発をはじめ、環境整備を具体化するために受動喫煙防止条例やガイドラインを制定するべきと考えますがいかがでしょうか
2.待機児童解消に向けて
(1)まず、来年4月に向けて800人の定員を増やす計画についてです。小規模保育と事業所内保育所の追加募集を合わせて合計634人分の確保と聞いています。
ア)小規模保育や事業所内保育の定員が300人近くありますが、3歳になるとほかの保育園に移らなければならない3歳の壁があります。3歳以降の連携園の設定が新規園募集の申請条件で「原則」としかありません。3歳以上の連携先を確保できていない園がありますか。
イ)800人を確保できる見通しでしょうか。未入園児は1300人を超えます。民間に頼るばかりではなく公立保育所を整備できませんか。
ウ)来年度の1次募集の申請数をお示しください。
(2)次に幼稚園の空き教室活用についてです。待機児童の緊急一時預かりの案が示されています。
ア)待機児童解消の上でどのような位置づけになりますか。
イ)多くの空き教室が未活用のまま残されています。市立幼稚園はほとんどの場合小学校に隣接しており給食の搬入は可能です。抜本的な活用に向けて真剣に検討するべきではないでしょうか。
(3)次に保育士不足をどう打開するのかについてです。
市立保育園では非正規率が4割を超え、臨時保育士がひとりで担任を持っているクラスもあります。基準に対しても必要な臨時保育士が不足したままと聞いていますが、臨時保育士の募集には人が集まらない状況がいっこうに改善されません。
一方で私立の保育士不足では、賃金格差が他業種だけでなく大都市とも月額10万円ちかくの差があるため岡山での確保が難しい状況になっています。また、せっかく確保した保育士も離職率が高いという指摘もあります。労働環境の課題が指摘されています。
ア)どのように原因を分析していますか。
イ)9月議会の答弁では、保育士確保策として保育システムの導入やマッチング事業などがあげられていましたが、抜本的な処遇改善こそが必要なのではないですか。他自治体では、賃金の上乗せ、保育士の家賃補助、保育士就職の際のインセンティブなど、独自に処遇改善対策を打ち出している自治体が急速に増えています。保育士の労働実態を調査し、独自の処遇改善を実施するべきではないでしょうか。
ウ)また、現在見直し中の支援事業計画においては、保育ニーズの将来予測とともに必要保育士の数を割り出し、保育士確保計画をしっかり位置づけるべきです。待機児解消と保育士確保はセットです。今後の具体的な方針をお示しください。
(4)最後に企業主導型保育についてです。先に述べてきた事業所内保育との大きな違いは、①設置や利用について市町村が関与できないこと、②施設や保育士基準を必ず守らなくてもよいこと、③いわゆる院内保育のように事業所が自ら行う保育だけではなく、A社とB社が一緒にC社に委託するなどの形態もあり、何でもあり保育と言えます。
企業の福利厚生として社員向けの保育施設を作ることはワークライフバランスの上で望ましいことだと思います。しかし一般の地域枠を設け待機児童の受け皿とするならば、先に述べた事業所内保育として正式に認可されるべきではないでしょうか。その縛りを完全に外しているということに国の大きな意図があるわけです。岡山市の支援事業計画に位置づけるべきではないと考えますが見解をお示しください。
3.性的マイノリティの人たちの権利保障を
多様性のある社会実現調査特別委員会等を通して、性的マイノリティの人たちが、学校・職場での偏見や無理解、婚姻・戸籍変更の条件の厳しさ、生命保険や病院での家族扱いの壁、選挙の投票や就職活動での性別の壁など、人生のあらゆる場面で苦しんでいることを知りました。一方で子どもをもうける選択肢も増えていることも知りました。しかし、当事者にとって「自分らしく生きたい」という当たり前の願いが、様々な側面でまだまだ保障されていないことを痛感します。
少数者だからといって明らかな社会的不利益を強いられている現状を放置することは、基本的人権を保障する日本国憲法の精神にも反するところです。
無知による偏見や差別が若年層の自殺につながっているという指摘があります。近年は「マイノリティの人権を守るのは行政の役割」として多くの自治体が動き出しました。
(1)市の中期計画や第4次さんかくプランに文言は入りましたが、どこがイニシアティブをとりますか?啓発や相談窓口、情報発信など一本化された推進体制をさんかく岡山が担うことはできませんか。
(2)当事者で最もつらい事の一つに家族として社会に認めてもらえないことがあります。渋谷区のようにパートナーシップを自治体が証明することは、病院や銀行、民間企業にとっても大きなメッセージになるわけです。実施できない理由や課題はどこにあるでしょうか。
せめてパートナーシップ宣言や条例の制定で、誰もが自分らしく安心して暮らせる岡山市を大きく打ち出すべきだと強く要望します。
(3)次に学校での環境整備です。思春期を迎えるこども達の苦しみは、自殺願望が6倍という数値からしても早急に対応する必要があります。統計上はクラスに1人や2人の当事者がいます。「味方だよ」という発信が大切です。どう取り組みますか。また、全ての教職員にいつまでにどのような周知や研修が行えるでしょうか。市民協働事業で当事者団体が作成したパンフレットの活用についてもお示しください。
(4)市有施設の多目的トイレに表示の工夫ができないでしょうか。