【資料】 2016年11月議会 個人質問(原稿) 12/6河田正一
市議団事務局(東田) 16年12月7日
1.国民健康保険について
国民健康保険は、元々制度の成り立ちからして、構造的課題があります。
①年齢構成が高く、医療費水準が高い。②所得水準が低い。③保険料負担が、健保組合に比べ加入者一人当たりの保険料負担が重い。④保険料の収納率が低下している。
今、厚労省は70歳以上一般所得者の外来の自己負担上限額を12,000円から57,600円に大幅に引き上げようとしています。市民の社会保障負担は増えるばかりです。
せめて、市が今できることを行い住民負担の軽減を図る必要があります。
国保はH30年度から県広域化がされます。H29年度は市町村が自由に予算編成できる最後の年です。
岡山市の国保基金は35億円あります。国が示す国保基金保有額の目安は過去3か年間の給付費平均の5%とされています。岡山市に当てはめると29億円あれば足りることになります。
さらに国からの保険者支援制度繰入金が年に7.7億円あります。
H27年度の政令市20市の国保料を見ると、10万円台が4市、9万円台は9市、8万円台が6市、7万円台が1市となっています。岡山市の国保料は91,378円です。
9年間値上げをしないで頑張ってきた努力は評価します。しかし、所得200万円で大人2人・子ども2人の世帯では国民健康保険料は36万円で、健保組合に比べて2倍です。
岡山市の国保料は決して安いとは言えません。
ア)H29年度に国保料の引き下げをしませんか。
国が市町村の担う国保を都道府県化するための財政支援を来年度、3400億円から減額する動きがあると伝えられています。国保財政には由々しきことです。
イ)岡山市として、国に対しはっきりと意見を言うことを考えませんか。
2. 事業系ごみについて
家庭系ごみは減少傾向にあるが、事業系ごみは、H23年に比べ7%以上増えています。
ごみ処理費用を見ると、H26年度実績で焼却費用はトン当たり17,026円かかっています。
ア)減量化目標に比べどのようになっていますか。
イ)減量化するための方策としてどのような対応をしていますか。
ウ)事業系ごみの処理費は10kgが130円です。トン当たりにすると13,000円になります。事業系ごみ手数料は改定する必要はありませんか。
エ)焼却場等において、収集業者の搬入量を確認するのはどのようにしていますか。
3. 御津虎倉産廃について
(株)西日本アチューマットクリーンは、御津虎倉産廃最終処分場計画の「補正」申請を行い、岡山市は8月31日受理しました。
告示縦覧を10月17日から11月16日まで行い、11月17日から12月2日まで意見書の受付を行いました。
裁判で争点となった豪雨時の浸出液超過について、今回業者が提出した「補正」書類には浸出液を軽減するためとしてブルーシートの敷設図面が添付されていました。しかし、この図面や降雨、浸出液計算結果などが告示縦覧に添付されていませんでした。縦覧文書に不備があることを住民から指摘され、縦覧手続きをやり直すことにしたようです。不備を認め縦覧をやり直す態度は評価します。
しかしながら、最初から見直すといっていた申請手続きを、途中の告示縦覧から出発することは納得できません。
昨年12月、最高裁の口頭弁論開始の報を受けて、市が許可を「職権取消」で取り消しました。そもそも「取り消し」行為が行政法の立場から「有効であるのか」に法律の専門家からも疑問があがっています。
産廃施設の計画地一帯は環境が優れ、多くの希少動植物が生息していることでも知られています。
御津虎倉産廃処分場は、下流に一切汚染水を流さないクローズドタイプです。
前計画では下流に汚染水を流す恐れがあり、住民の健康被害を起こす蓋然性があることから、裁判で建設差し止めが確定しています。
ア)許可取消は行政手続きの上では、どのような場合に行えますか。又過去に許可取り消し処分を行いながら、「補正」により再度許可あるいは不許可にした事例を示してください。
イ)専門家に意見を聴いて、告示縦覧から手続きを開始したとのことですが、専門家とはどのような立場の人が居て、それぞれの人がどのような意見を述べましたか。
ウ)行政手続き上、「許可取消」は処分に当たると考えますが、専門家からはこれに対する意見はありましたか。
エ)専門家の意見を聞いたのは、いつの時点ですか。「補正」を受理する前か、後かどちらですか。
オ)今回の「補正」には地元関係者の同意書は添付されていません。今から15年以上前に同意した町内会長(区長)と水利土木委員は2人ともすでに亡くなられています。改めて同意書は現在の役員から徴取すべきではありませんか。
カ)「補正」により提出された書類は、従前のものがそのまま使われている部分が多く、環境影響調査とりわけ生物の調査は十数年前に行われたものです。準絶滅危惧種のオオタカや絶滅危惧種として環境省のレッドデータブックに記載されているブッポウソウの棲息、絶滅危惧ⅠB類に選定されているナガレホトケドジョウは本州の西限として棲息が確認されたなどは、環境アセス以降発見されたものです。また上流に残土処分場もつくられました。時間的経過で変化したものの調査はどう考えますか。
キ)縦覧に付したのは事業計画の一部だけでした。しかし、審査対象とすべきはこの事業計画全体について専門家の意見を聴取すべきではありませんか。
また、設置審査会の委員は前回と同じ人を任命する予定ですか。
ク)業者の浸出水の計算には誤りはありませんでしたが、浸出係数は全都清の資料をそのまま使用しています。しかし、この係数はひと月を通算してのデータは正しいかもしれませんが、ブルーシートで被覆されていない部分は埋立途中の為窪地になっており、連続して大雨が続くときは、蒸発散はほとんどなく、この部分に降った雨は大部分地中に浸透することになります。そうであるならば、浸出係数を絶対視することに疑問があります。この見解に対しての所見をお聞かせください。
ケ)最終処分場は20年間稼働すると聞いています。中間処理施設の焼却施設も同じ間稼働するでしょう。毎日130㎥の処理水を焼却施設の冷却水として蒸発させることにより、下流に汚染水を流さないことになっています。この施設は、焼却場の運転中止とともに大量の汚染水を下流に排水することになります。このことは、民事裁判で業者が建設差し止めをされた事項に該当します。運転中止後の生態系への影響評価は欠かせないのではありませんか。
4.富吉新斎場について
平成28年8月と9月に行った溜まりガス等の調査結果が発表されました。これによるとメタンは爆発限界5%に近い4.3%を検出した箇所も有ります。可燃性ガスの目安値「1.5%以下」を超える値が多数検出されています。
平成27年6月5日には中段の観測井、平成28年9月7日は上段・中段の2か所の観測井で目安値を超えています。
二酸化炭素は8か所のいずれも目安値を超え、最大のものは3.8倍にも達しています。
ア)ガスの発生はなく安定しているとして産廃処分場は廃止されましたが、ガスはいまだに発生しています。安定した土地であるとは言えないのではありませんか。
新斎場の用地取得費について改めてお聞きします。不動産鑑定士の一人は宅地見込み地としてスティグマ5%を引いて算定したと証言しました。
私は、土地評価の手法として、国税庁の原価方式が妥当だと考えます。汚染地の相続財産評価は、汚染がないものとした場合の土地評価額から浄化・改善費用相当額、使用収益制限による減価に相当額及び心理的要因による減価相当額を引いたものが土地の評価額であると6月議会で明らかにしました。
富吉の産廃跡地の不動産鑑定には、埋め立て地であるから発生する建造物の基礎地盤まで長い杭が必要となる地盤対策費、産廃跡地が故の調査費や石綿含有廃棄物が埋め立てられていることによる使用制限などの費用は考慮されていません。
イ)土地の売買において存在するリスクは買主が負担するものですか。
この度、東区役所跡地を森学園に売買することになりました。入札の最低額を決めるのに近隣の宅地取引価格から建物撤去費及び地下に杭が残っているリスクとして1,096万円を引いて算出しています。
ウ)岡山市は土地を売る場合は、リスク相当額を引いて算出する。買う場合はリスクを考慮しない評価額で購入する。これでは、整合性が取れていないのではありませんか。