(資料) 6/20河田正一 個人質問(原稿)
市議団事務局(東田) 16年06月20日
160620 河田正一個人質問(原稿)(PDF 7ページ)
(質問全文)
1.アベノミクスの失敗と市税への影響
~税金の集め方について~
安倍首相は、消費税10%への増税を2年半先延ばしすることにしました。「海外経済の不透明感を増税延期の理由にするのは、新興国への責任転嫁に等しい(朝日)」などメディアからも批判が噴出しています。海外メディアも、景気認識の判断材料となった統計の扱いに疑問を投げかけ、首相の悲観論を「消費税増税延期の口実」と見透かす識者の見方を交えて伝えました。
日本の景気が上向かないのは、購買力そのものが落ち込んでいるからであることは多くの人が認めていることです。
実質賃金は5年連続で減少しており、個人消費は2年連続で落ち込んでいます。2年連続の落ち込みは戦後一度もないことで異常な出来事です。その原因は明らかです。消費税が5%から8%になり、消費の落ち込みに対応する施策を行ってこなかったからです。中小企業にも大きな負担でした。倒産や廃業に追い込まれた事業所もたくさんあります。全国では2012年に比べ2014年では中小企業の数は4.4万社減っています。
消費税を納められない中小業者が多く生まれています。国税庁の発表では。2014年度の滞納発生額は5914億円です。そのうち消費税の滞納が3294億円と55.7%を占めています。
一方、輸出企業では巨額の戻し税があり、3兆円以上にもなります。トヨタは1社だけで2594億円の還付を昨年受けたとの推計があります。(湖東京至:税理士)
エンゲル係数は、貧困の度合いを示す指標と言われています。近年、エンゲル係数が上がっていて、2005年には22%台だったものが2015年には25%に達したという調査(本川裕:統計データ分析家)があります。
安倍政権になってから、格差の拡大が指摘されます。国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が伸びていないことが、国民生活と日本経済に悪循環をもたらしています。
一部の富裕層に富が集中しています。米誌「フォーブス」がまとめた日本長者番付の上位40人の保有資産は、’12年から‘16年に2.15倍に膨れ上がりました。この40人の資産は日本国民の下位半分の総資産に匹敵するものです。
史上最高益を上げている大企業は内部留保を増やし続け、安倍政権下の3年間で15%増え300兆円を超しました。そうした中で、安倍政権は、発足時には37.0%だった法人税率を29.74%まで下げました。
税金の負担は、応能負担が当たり前です。
しかし、現在の税制は、儲かっている企業には減税をしており、「実効税負担率」は大企業でも低くなっています。三井住友FG,ソフトバンク、みずほFG,三菱UFJFGなどはいずれも1%以下の実効税負担率です。
さらには富裕層の、「税逃れ」も格差拡大、税収の空洞化を招いています。資産額2兆円のY氏は、所有する自社株をオランダの資産管理会社に譲渡する形で年約7億円の「税逃れ」をしています。タックスヘイブンでまったく税金を払わない企業や金持ちが横行しています。不足する税金を消費増税などの庶民増税に振り替えることは許されません。税金の集め方は、応能負担の原則に立った公正で民主的な税制が必要です。現在の税制は資産家ほど低税率の株式が分離課税されているためにより実効税率が低くなっています。
また、消費税増税は社会保障のためと言いながら、充実のためには使われていません。消費税増税延期を理由とした社会保障充実策の先延ばしは認めるわけにいきません。
1世帯当たり184,000円(財務相答弁)も増税になる庶民いじめの消費税10%増税は、延期ではなくきっぱり中止すべきです。
質問します。
(1) 財源不足と言いながら、法人税の税率は下がり続けています。法人実効税率の1980年代の税率と2016年の税率を示してください。
(2) 富裕層に対する所得税の最高税率も下がっています。1980年代と2016年の最高税率を示してください。
(3) 2014年4月消費税が8%に増税された影響について、市の税収にどのような変化がありましたか。また、地域経済の面からどのような変化を認識していますか。
(4) 安倍政権発足時の2012年と2015年の法人市民税額を比べてどのようになっていますか。
(5) 岡山市に法人市民税を払っている事業者数は、2012年と2015年ではどのように変化しましたか。また、岡山市の個人事業主を含めた全事業者数はどうなりましたか。
2.子育て応援施策について
~社会保障の強化を~
合計特殊出生率が2.81と全国一高くなった奈義町の議員の話を聞く機会がありました。「様々な施策を実施することにより、住みやすい・子育てしやすいまちと感じてもらえているのではないか」「よく自衛隊があるからできるといわれるが、収入に占める割合は多くない。要は税金の使い方による」と語っていました。
そこで、様々な若者と子育て応援施策がある中で、いくつかに限って質問します。
(1) 給付型奨学金の創出
大学生の半数が奨学金を借りています。大学を出ると借金を300~400万円、大学院では1000万円も背負って社会に出ていくわけです。
しかも、就職先がこの借金を払うに足る安定した給料を払う保障はないのです。低賃金のブラック企業や非正規・派遣などの働き方を余儀なくされて、奨学金返済のめどさえ立たなくなるケースが多くあることが報道されています。生活できないと学生生活をアルバイトに明け暮れて、本業の勉強する暇がないという笑えない現実があります。
若い人材を育成することは社会に必要なことで、日本や岡山への投資です。岡山市として給付型の奨学金制度を創設すべき時ではありませんか。
(2) 就学援助拡充と入学祝金
6人に1人の割合で子どもの貧困が広がっています。岡山市の就学援助を受けている児童数は小学校では5,541人で 14.61 %、中学校では3,287人17.97%に達しています。
ア 入学時の最低限の学用品代等は、小学校で3万円、中学校では4万5千~6万4千円にも上ります。これには、ランドセルや自転車の購入代金は含まれていません。
就学援助の新入学児童生徒学用品費は、小学1年生が20,470円、中学1年生が23,550円で、必要額とに大きな差があります。しかも後から助成される仕組みです。
就学援助で後から返るとはいっても、貯えがないから就学援助を必要とする家庭が支払うのは容易なことではありません。
事前支払いを実施すれば良いと考えますが、事前支払いの為には前年度収入でなく前々年度の所得を参考にすることになる。さらに転居をするかもしれないからとの理由で難しいと我が党議員の質問に答えています。
岡山市は、PTA会費、クラブ費、生徒会費について就学援助金を支給していません。
名目は何であっても、必要なお金が確保されることが求められます。
そこで提案します。低所得者に限定するから所得把握が必要となるということですので、新入生全員に入学祝い金を支給する子育て応援施策を考えませんか。小1と中1の人数は合わせて13,000人程です。1人当たり2万円を支給するとして2.6億円が必要ですが、子育て応援事業として喜ばれることは間違いありません。「新入生祝金」を検討しませんか。
(3)学校給食と校納金同意書
学校給食は、育ち盛りの子どもにとって大切なものです。貧困のため朝食が十分食べられない子どもが多く存在することも報道されています。また、給食は食育という面でも教育の一環です。本来、教育の一環であるから給食費は無料にすべきです。残念ながら現在はそうはなっていません。保護者は食材費分を負担しているものと考えていましたが、驚いたことに、燃料費も岡山市では保護者負担となっていることを知りました。
また、ごく一部の保護者が給食費等を払わないからと、岡山市は2014年から校納金同意書をとっています。校納金を払っていない保護者は1%以下です。99%以上の保護者は、いわれのない誓約書を出さされて、不愉快な思いをしています。校納金同意書を実施する前と実施した後の納付状況について変化はなかったと聞いています。校納金同意書はやめるべきと考えますが、いくつか質問します。
ア 給食の燃料費を保護者負担としている政令市はどこがありますか。
イ 給食の燃料費を市費で負担することはできませんか。
ウ 校納金同意書を提出しなかった場合にはどのような対応をしていますか。また、
校納金同意書を集めることが新たな教師の負担になっていることはありませんか。
エ 校納金同意書をやめませんか。
オ 一部から、給食費の滞納をなくすために公会計にする声が出ています。他の都市で導入しているところではどのような問題がありましたか。
3.不安定雇用から正規雇用に
~岡山市の働き方について~
(1) 臨時栄養士
ア 市費の栄養士は51人います。そのうち18人が臨時栄養士です。2017年度から県費負担教職員の給与負担等が岡山市に移譲されます。県費の臨時学校栄養職員は9人います。給与面で岡山市の臨時栄養士とは経験年数によっては2倍以上の差があると聞きます。格差はどのように解消されますか。
(2)司書
岡山市の教育水準の高さを誇るものとして、図書館司書の全館配置及び学校司書の全校配置があります。この伝統に育まれて、岡山市民は図書館利用者が多く、県立図書館は何年にもわたり全国一の貸し出し数を誇っています。しかし、近年岡山市の優れた伝統が崩されています。10館ある公立図書館のうち正規司書は4館しか配置されていません。また、非正規司書の比率は68%になっています。また、14%を占めるパート・アルバイトのうち81%は司書資格を有していない人を配置しています。
学校司書は129校のうち93人が非正規の司書で、72%に上ります。
質問します。
ア 図書館に全館司書を置くという全国に誇る岡山市の図書館政策はどのようになっていますか。
イ 正規職員司書の比率が低下していることに対して、岡山市は今後どのように対応しますか。
ウ 子どもの成長と教育の上で学校図書館及び司書の役割をどのようにとらえていますか。
4.御津虎倉産廃について
(1) 許可の「職権取消」について
2015年12月25日、岡山市長は「産業廃棄物処理施設にかかる設置許可の処分を取り消し」ました。
岡山市は、御津虎倉産廃処分場建設許可は、「適正」であるとこれまで何度も私の議会質問に答弁してきました。
ア 市の「許可」は適正であったとの認識に変わりはありませんか。
イ 「職権取消」は業者にとっては不利益となるものです。しかし、事前に市が業者に話して納得してくれたから、「不利益処分」ではないというのでしょう。業者が納得するに至った理由は何ですか。
ウ 今回の「職権取消」は軽微な変更で事足れると考えていますか。
(2) 行政手続について
また、2016年1月19日に出された岡山市の代理人による上告審への答弁書には、「本件処分の効力は処分時に遡及して消滅した」と記述されている。
ア 「本件処分」とは、誰が、何を求めて起こした申請に対して行ったものを指していますか。
イ 産廃処分場建設「申請」に当たって、岡山市はどのような手続きを求めてきましたか。
ウ 職権取消」は「違法」または「不当」なことに対して行う処分です。今回の岡山市が行った「職権取消」はどこに「違法」「不当」性があったのですか。
エ 今回の取り消し処分は、廃掃法第15条の3に該当する処分ですか。
オ 「取消し」する場合には基準を定め、公表することが求められるのではありませんか。今回の「職権取消」の基準はどこに公表されていますか。
(3) 環境アセスの有効期限
前回申請時に用いた生活環境影響調査(アセス)は2003年に提出されたもので、13年も経過しています。また、事業許可そのものが「許可取消」により、申請行為自体が否定されたのに、過去に行っているものをそのまま流用するということは許されません。改めて、調査を行った結果、前と変わりがないということが分かったときに、前のものを流用するということはありうるかもしれませんが。即ち、アセスを改めて行うことなしに、取り消し処分を受けた申請物件が存続することはありえません。
岡山市はこのことに対しどのように認識していますか。
5.新斎場について
新斎場予定地は、産廃処分場跡地です。廃止された最終処分場は、廃棄物処理施設として維持管理を行わなくとも、そのままであれば生活保全上の問題を生じる恐れがないものの、廃止後の最終処分場跡地において土地の形質変更が行われる場合には地下の廃棄物が攪拌されたり酸素が供給されたりすることにより、廃棄物の発酵や分解が進行し、生活環境に影響を与える恐れがある。このことから、廃掃法が改正され「土地の形質変更にかかる施行方法の基準」(H17ガイドライン)が決められました。
(1) 5月下旬から6月上旬にかけて、馬屋上地域全住民と対話がされたと聞いています。そこでお尋ねします。
ア 住民との対話結果について
イ 反対する住民に対する対策
(2) 周辺河川等の水質調査結果について
奥田下池の水素イオン濃度指数が、環境基準の6.5~8.5に対し8.7となっていました。
「PHの上昇は珪藻やプランクトンなどの光合成による可能性がある。」として、何ら問題がないように報告しています。
また、「河川B類型の環境基準は、サケ科魚類及びアユ等貧腐水性水域の水産生物が生息できる水域」と、わざわざ注釈がつけてあります。
ア 水素イオン濃度指数(PH)の上昇は、光合成による他にどのような原因が考えられますか。
イ アユは、PH8.7でも生息は可能ですか。
ウ 農業用水の基準は、利水地点については、水素イオン濃度(PH)6.0以上、7.5以下となっています。この水は農業用水としては適さないということではありませんか。
エ 水素イオン濃度指数(PH)上昇の原因を究明すべきと考えます。究明に尽力しますか。
(3) 調査業務について
基礎的調査業務を745万円余で契約していました。今回進入路の計画を追加するとして1160万円余に契約変更されました。元々は進入路の動線計画などの基礎的調査であったものなのに、進入路の立体交差計画業務を追加するやり方には疑問があります。しかも契約金額が当初より55%も増えています。
ア これまでに実施した環境調査等は、廃掃法の「指定区域の指定」に基づき、「最終処分場跡地形質変更にかかる試行ガイドライン」に沿って行われたものですか。
イ ガイドラインに基づき調査した費用は今までにいくらかかりましたか。
ウ 今回の変更契約は業務内容が違うので、別契約にすることは考えませんでしたか。
エ 岡山市として今回の変更契約についてどのように考えていますか。
(4) 鑑定評価における産廃最終処分場の扱いについて
ア 土地鑑定評価において、産廃処分場跡地であることが何々考慮されましたか。
イ その結果、土地評価は産廃処分場跡地でない土地といくら差がありましたか。
6.瀬戸内海と河川の一斉清掃を
瀬戸内海は、我が国のみならず世界においても比類ない美しさを誇る景観を有しています。風光明媚な多島美が売り物ですが、近くに行って見たらゴミがたくさん浮いていたというのでは魅力が半減します。
昨年、「瀬戸内海環境保全特別措置法」が改訂されました。関係府県は瀬戸内の環境の保全に関する計画を立てるとともに、国及び地方公共団体に、基本計画都府県計画達成に必要な措置を講ずるように努力義務を課しました。
また、昨年10月、瀬戸内四県都市長会が出来ました。瀬戸内海を一つに地域として人の交流やインバウンドに結び付けようとするものだと思います。瀬戸内海が新たな地域資源と見直されてきたこの機会に、瀬戸内海及び流入する河川をきれいにするための活動に関心を持つ諸団体とともに行うことを提唱します。
「森・川・海流域管理」や「里海」という考え方も生まれています。
関係諸団体や住民・漁業者などに一斉清掃を行うなどの呼びかけを岡山市がしませんか。